Mind Palaceがない代わりに

来年には大学生じゃなくなるのでタイトル改めました。

小林エルフィーの圧巻のDGに呆然『ウィキッド』1/23 S 感想

JR東日本四季劇場[秋]

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運良く閉幕週の公演を見てこられました(チケット取ってくれてありがとう友人!!)

前回の感想はこちら☟

キャスト

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グリンダ: 中山理沙
エルファバ: 小林美沙希
ネッサローズ: 若奈まりえ
マダム・モリブル: 秋本みな子
フィエロ: 富永雄翔
ボック: 緒方隆成
ディラモンド教授: 田辺容
オズの魔法使い: 飯野おさみ

+アンサンブル 17名

私は四季のチケットを複数枚取ると大体毎回同じキャストになるという宿命を背負っていたので、今回もきっと前回と同じキャストだろうな〜と思っていたら!エルファバ、グリンダ、フィエロはじめ結構別キャストの回に当たりまして、歓喜!!!やっぱり複数キャストいるなら見比べたいじゃないですか〜😆 

 

感想

小林エルファバ

タイトルの通り、とにかく小林エルフィーの圧巻の "Defying Gravity" に呆然としながら幕間に入りました。聴いている最中からマスクの中で口がポカーンと開き始め、幕が降りた後もしばらくの間は身動きが取れず、口と目を開いたままただただ幕を見つめていました。こんなことになったのは初めて。しばらくして、右側に座っていた友人の方を向くと「やばい」って呟きながら号泣していました。わかる。私もそのあと「やばい」しか言えず、2人で「やばい」「やばい」と連呼しながら幕間を過ごしました。

小林さんはこの公演の数週間前に喉が不調の公演があって、スケジュールを変更して三井さんが登板していた時期がありましたし、最終週も火曜日のみ小林さんと発表があり、その後は未定になっていたので少し心配しながら席に着きましたが、そんな心配は完全に吹き飛ばす圧巻の歌唱でした。幕間に小林さんの情報を探したら、ジャズダンス枠で入団して2作品目、初のプリンシパルが今回のエルファバと出てきて慄きました。逸材すぎる。

小林さんの歌声のすごいところは高音に上がるときに障壁や地声とファルセットの間の段差を感じさせないところ。もしかしたらそんな壁や段差は小林さんの声にはないのかも!高音に移るときの引っ掛かりが全くなくてスムーズに音が変わるので、エルファバの難曲たちが簡単に聴こえてきました笑 フェイク?も滑らかで自然で、力の込め方によってがなりっぽくしたりと歌に感情を乗せるのも上手かったです!!DGの「誰にも止められ『ない』」のところかな?を台詞っぽく噛み締めながら歌っていたのも好きでした。

三井さんは突き刺すような強くて硬い高音が魅力で地声とファルセットの段差はしっかりあるタイプの歌声なので、今回のWエルフィーはちょうど裏表のような特徴の歌声を持ってるな〜と感じました。私は2人とも好きです!台詞の発声も相まって、三井さんはド正論を投げつけて周りと馴染むのが難しそうなエルファバでしたが、小林さんはいたづらっ子っぽい雰囲気もあって状況が違えば他の子たちに馴染んでいそうだな~と思っていました。

 

中山グリンダ

中山さんのグリンダは私の心を完全に鷲掴みました。まず表情筋がものすごい。真顔だと眉毛が横一直線なんですけど、漫画みたいなハの字になったりもするし、目を見開くと眉が真ん中で折れて山型になるんですよ。眉毛って真ん中から折ったりできるんですか!?!?眉毛を筆頭に全ての表情筋がカートゥーンなみの動きをしていて、コミカルグリンダ好きとしては心が満たされました。歌は地声とファルセットの段差が激しいので、切り替えの部分は気になりましたが、あまりにもグリンダとしての在り方がドストライクでした。

お芝居もとても好きでした。中山グリンダは「遠く(物理的にも心理的にも)から見ているとなんだかイラっとしたりするんだけれど、距離が縮まると『あれ?素直でいい奴では?』ってなるタイプのクラスメイト」感が強いんですよね。ダンスホールでエルファバの前に出て行って踊るところなんかは、エルファバを見る眼力がすごくて「私は踊るぞ、これで私たちは一蓮托生だぞ、お前はどうする?」みたいな意思をビシビシと発していました。しかも後ろに2人で走っていく前に口パクでエルファバにしっかりと「ごめんね」と伝えていて、そこで2人がこれまでの確執を全て清算して心を許し合ったのが確認できてグッときました。タイマンを張ったらダチになる昭和のヤンキーみたい。

DTLで完璧な関係性が構築されている分、ポピュラーの2人も微笑ましくて仕方がなかったです。やたらハイテンションでオーバーなグリンダも心が近づいた状態で見ると可愛いんですよね~(エルファバ視点でも観客視点でも)。「きらきら~きらきら~はい」の言い方も「キダキダ~」に聞こえるような独特の言い方が面白いし、小林エルフィーも中山グリンダの言い方を真面目にそのまま再現するので面白いことこの上ありませんでした。歴史の授業でもグリンダと全く同じ謎ボイスでキラキラするので、富永フィエロもそのままを再現して、もう爆笑でした。

 

エルフィーとグリンダの関係性

今回はエルフィーとグリンダが心を許し合っているのがすごく伝わってきたので、DGでグリンダが着いてきてくれそうな気がしてしまい、「なんで来てくれないの!!!!」と『ウィキッド』初見ぶりに動揺してしまいました。2幕に入ってからも、グリンダが着いてきてくれなかったことが腑に落ちず、頭の中がもやもやしておりました。この作品って1幕での友情が輝けば輝くほど、DGで終わってしまえ!!ってなりますよね。

そんなこんなで「なんでグリンダが一緒に来てくれなかったのか」を考えながら鑑賞していたのですが、この物語のラストはフィエロを巡る恋愛パートがあることでわかりづらくなっているものの、国の不安を一身に背負いこんで消えるエルファバと、そこに希望の光として残り続けるグリンダを描いているんですよね。皆から嫌われるエルファバと皆から愛されるグリンダが手を組んで、オズ国民の目をくらませながら国を支える、そう考えると熱い展開なような気もしますが、どうして2人が一国の命運を背負わなくてはならないのだという想いはありますよね。この煮え切らなさは実際の国際政治をベースにしているからだと言われれば、まあそれまでなのですが、エルファバとグリンダというキャラクターがとにかく好きなので、2人が手を放さずに何かを成し遂げる未来を望んでしまいます。今回はエルファバが「愛を取った」とは思いませんでしたが、そう見えてしまうような展開も私的にはもどかしいです。

 

富永フィエロ

「変な人」感の強いフィエロで面白かったです。フィエロっぽい言動が全て、かっこつけというよりかは何を考えているかわからない不思議な人のような意味合いで伝わってきて、コミカルな中山グリンダとの相性も抜群でした。前半と「何も考えてないわけじゃないんだよ」以降のギャップも良かったです。歌はところどころ薄くなるのが気になりましたが、全体的に安定していた気がします。

 

若奈ネッサローズ

前回見たときも、ハリが強くて聴き取りやすい素敵な声だな~と思っておりましたが、3か月ぶりに見たらより一層、歌声にも表現にも磨きがかかっているように感じました。個人的に、前半のネッサローズが「可哀そう」な雰囲気に寄っていると2幕との人格の差が大きくなってしまうと思います。その点、若奈さんは前半から結構ネッサのエゴを強めに押し出しているので好きなんですよね。

 

秋本さんのマダム・モリブルはゴージャスで素敵でした~。面倒見の良さそうな1幕から邪悪な2幕への変化も楽しかったです。ゴージャスすぎてパティ・ルポーンみたいだな~と思いながら見ていました。

 

ウィキッド』についてはミュオタをしている限りぐるぐる考え続けるのだろうと思います。劇団四季におかれましては、エルファバとエルサと音域が被っているので難しいとは思いますが、何卒『エビータ』の再演をお願いしますね。

 

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