Mind Palaceがない代わりに

来年には大学生じゃなくなるのでタイトル改めました。

【WE観劇記1-3】時代の転換点に居合わせる The Phantom of the Opera 7/30 M 感想

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チケット購入までのあれこれ

詳しくはこちらを読んでもらえればと思うのですが、マチネに見る予定だったDEHが開演15分前に突然中止になりまして。何がなんでも昼公演を見たかった私は、同じく15分後にオペラ座が開演するHer Majesty's Theatreまでダッシュしました。別行動予定だった友人がオペラ座を観劇するということで、彼女がチケットを買うのに付き添って一度劇場を訪れていたのがよかった😭

劇場に着いてすぐにBox Officeに直行。2組ほど並んでいる方がいたのでその後ろに並びます。すると中国語話者っぽい女の子が話しかけてきて、言葉はわからなかったけれどどうやら彼女の持っている電子チケットを買い取らないか?という提案をされたようだったのですが、もうすぐ自分の番だったこともあり断ってしまいました。。

自分の番になって、今日の昼公演を見たいと伝えると「どのくらいの予算で見たいですか?」と聞かれます。私は大混乱×酸欠で頭が回らない上に焦っていたので「おすすめは??」と聞きました。するとStallsの5列目ドセンが120英ポンド代と言われました。ものすごい良席ですがさすがに高すぎるのでその旨を伝えると、4列目の1番端が75英ポンドとのことだったのでそこで即決しました

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見え方はこんな感じ!席に着いた時点で開演3分前とかでした〜息ぜいぜいでした😌

当日のキャスト

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デジタルのキャスボがありました!!ありがたい〜!!!!私が感想でたくさん名前出すと思われる人たちだけ書き出しておきます!

ファントム:Killian Donnelly

クリスティーヌ・ダーエ:Lucy St. Louis

ラウル:Rhys Whitfield

カルロッタ:Saori Oda

メグ・ジリー:Ellie Young

ルーシーさんのクリスティーヌと小田さんのカルロッタは前々から見たかったので、まさか2人とも見られるなんてラッキーがすぎる。BWとWEでは初となる黒人の方によるクリスティー英語圏では初のアジア人の方によるカルロッタの共演というわけです。彼女たちの素晴らしいパフォーマンスを浴びられる幸せを噛み締めると同時に、時代の転換点となるキャスティングが成された公演を目撃できることへの感動も大きかったです。

人種とキャスティングについては、これまであんまり考えを書いてこなかったのでこの機会に思うところを書いておこうかなと思います。(もしも私が何かおかしなことを書いていたり、それは間違っている、あるいは誰かを傷つけているということがあればぜひコメントかTwitterのDM経由で指摘していただけるとありがたいです。私自身は差別や偏見の足枷から自由になりたいと考えていますが未熟者ですので学ばなければならないことがたくさんあります。)POTOの感想だけを書くべきか迷ったんですけど、ちょうどルーシーさんの起用を「望ましい在り方とは思わない」とブログで書いている方がいてふーんなんで?(その人の言わんとしてることは伝わってきたが納得はできない)と思ったので私もこの配役が好きだということを明記しようと思った次第です。特に新しいことは言えないけれど、立場を表明しておくことは大事だと思うから。

多分、今回の配役を嫌う人の主張の根幹にあるのは「その時代の歌手は全員白人だったじゃないか」っていう考えだと思う。それはまあ事実なのかも(音楽史に詳しくないから全員白人は言い過ぎだったらごめんなさい)。でも今作は現代に上演される現代の舞台作品であって歴史の再現ではないわけで。歴史そのままを見たいならばドキュメンタリー映像を見るしかない。そもそも現代人が作った時点で仮にどんなに再現を試みたとしても現代人の価値観が反映されるものだと思うしそれでいいと思う。再現ではないという前提が成立すれば、描かれている時代にそぐわないからという意見は成立しなくなると思うのだがどうだろう。

そうなれば、役を演じるのに必要な才を備えていれば人種に関係なく登用されるという方向に向かう。そして私たち観客は作品を見るときに人種というものを気にしなくなっていく、それが行き着く先なんだと思う。黒人女性がクリスティーヌを演じたとしても、クリスティーヌという役があの時代に黒人女性がオペラ座に登板するという困難を背負うわけではない。つまり作品を見ている観客はクリスティーヌを演じている役者の人種には影響を受けずにオペラ座の怪人という作品を体験できるはず。

そんなことを言いながら、ブログの書き手だってある意味では人種を気にしまくりじゃないかと言われるかもしれない。でもここ数年は配役における人種の壁がなくなって、観客もそれを気にしなくなる、そんな未来に至るちょうど転換点なんだと思うんです。だからこそこれまでの配役の型に囚われないキャスティングがされたら賞賛したいんです。そしていつかは私もただ公演内容についてだけ感想を書くようになる。そんな時代が来るんだと思います。もちろんこの話は全ての作品に当てはまるわけではなくて、人種を重要なテーマとして扱っている作品ではその話を伝えるために必要なキャスティングがなされなければならないと思うけれど。

感想

オペラ座は25th円盤→四季1回→映画のみの履修。四季版は2階席から見たので4列目から見るオペラ座の臨場感が堪らなかったです!!シャンデリアが上がっていくのを真横から眺めました😂 当初勧められた席だと多分頭上を通るんだろうな。横から見ていてもかなりハラハラしたので頭上を通る席は私には怖すぎて無理だろうな。

ルーシークリスティーヌはとにかく可憐!少女性が強くてリトルロッテのまま大きくなったんだな〜って感じ。歌声は圧が強いわけではないのだけれど、綺麗で純粋な美しい音色で無垢という言葉が1番近い気がする。Angel of Musicでも音楽の天使を純度100%で信じきっているところは子どものようで、その少女性はファントムとラウルとの関係においてものすごい影響を持っていたんですよね。

私が今回の観劇で1番印象に残ったシーンはAll I Ask of Youの場面。この楽曲やシーンが特別好きかと言われるとそういうわけではなく、反対にそこまで意識してこなかったシーンなので自分でも意外でした。では、なぜ印象に残ったかというとリースラウルは怯えるクリスティーヌを一瞬にしてリトルロッテに戻すことができるんです。ルーシークリスの笑顔を引き出し自分も子どものように笑うラウル、あんなAIAOYを見せつけられたらファントムはそりゃ敵わないよ。こればかりはどうしようもないよ。って思わされてしまった。

しかもThe Point of No Returnでルーシークリスは自分を奮い立たせてファントムと対峙する。ファントムのせいでクリスはリトルロッテのままではいられなくなってしまう。おわかりの通り、私はルーシークリスの本質はリトルロッテだと思っているので、ファントムは何やってんだと思いましたね。

キリアンファントムについては、私の頭の中でもまだ「こうだった」という言葉が見つかっていない状態。歌声はオペラっぽくビブラートをかけるタイプではなくまっすぐと音を伸ばしてくるので表題曲はロックやポップス寄りに聴こえて新鮮だった!それでいてThe Music of the Nightのファルセットは優しくて優しくて。繊細な美しさとクリスへの行動の気持ち悪さのギャップが激しくて、そのアンビバレントさが前面に出ている。そんな印象で、そこに少女性の強いルーシークリスをぶつけると気持ち悪さがましましになる。というところかしら。あー!The Music of the Nightでクリスの腰から腿にかけてあたり触ってたの思い出した。そういうとこ!でも、"Christine, I love you〜"では本当に純粋な愛が見えたりして。その真っ直ぐな想いをもっと早くクリスに伝えられたら、恋人として愛しあえなくとも友人として愛されただろうにととても悲しくなった。

あとは箇条書きで

・冒頭ハンニバルのシーンで、私はエリーさんのメグ・ジリーに目が釘付けになってしまった!!手足の使い方がダイナミックでとても美しくて〜💓 インスタ見てみたらやっぱりバレエをしっかりやっている方みたいで納得。元々メグ・ジリーという役はとても好きだけれど踊りが好みでさらに好きになるとは思っていなかった!Think of Meでクリスティーヌがみんなを圧倒しているときの「すごいでしょ!」って誇らしげな表情も素敵だった〜!そして私はAngel of Musicで手を取り合うクリスティーヌとメグのシーンがとても好きなのですよ。しかも今回になってやっと気がついたんですけど(今まで私は何を見ていたのかな?😂)メグ・ジリーはクリスを救出するために男装までして地下に乗り込んできてるんですね。ああああ。メグ・ジリー最高じゃんか。

小田さんのカルロッタめちゃくちゃよかったな。硬くてまっすぐ飛んでくる声で歌声がとても好みだったのと歌唱力に裏打ちされた下手歌唱の塩梅が良くて。ルーシークリスの柔らかい声と小田カルロッタの硬い声の対比もいいしナイスキャスティングだわ。ビジュもだけど声質や演技も可愛いから今までに見たことのないタイプのカルロッタで新鮮だったな〜!

・Think of Meでファントムに怯えるバレエガールに別のバレエガールたちが後ろから肩をちょんちょんして怖がらせていたのがかわいかったな。目の前だったからバレエガールズばっかり見ちゃった。

・Little Lotte〜The Mirrorは角度的に楽屋のドアが邪魔になってみんなの表情が少し見えにくかった。このシーンをじっくり見たい人は上手側を取ることをお勧めします。他のシーンは特に見えにくいということはなかったと思う。

・至近距離で見るMasqueradeが最高に楽しかった。豪華絢爛で奇抜な衣装を着た面々がところ狭しと並んでいる状況にテンション爆上がりだし、曲も素晴らしい。ただしここでもメグ・ジリーをついつい目で追いかけてしまった笑

 

ちょっとした期末レポートくらいの長さになってしまいましたのでここらで終わっときます。ハプニングのおかげで素晴らしいオペラ座に出会えたので私は運がいいですね!