Mind Palaceがない代わりに

来年には大学生じゃなくなるのでタイトル改めました。

【🇮🇹欧州観劇記1-1】燃え盛るシャンデリアで娯楽色強め『The Phantom of the Opera』新演出版 ミラノ公演 10/14 J 感想

旅行先をイギリス、アメリカ、イタリアあたりで迷っている時に新演出版の情報が解禁され「それじゃあイタリアにしてミラノに寄ればいいじゃん!」となり、卒業旅行兼欧州遠征が決まりました🇮🇹

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まさかラミンのファントム本役を見られる日が来るなんて数ヶ月前までは思っていなかったので、いまだに実感が湧いていません😂

作品・公演概要

The Phantom of the Opera
作曲: Andrew Lloyd Webber(アンドリュー・ロイド=ウェバー)
作詞: Charles Hart(チャールズ・ハート)、Richard Stilgoe(リチャード・スティルゴー)
脚本: Richard Stilgoe、Andrew Lloyd Webber
初演: 1986年 ロンドン

The Phantom of the Opera (Original London Cast)

The Phantom of the Opera (Original London Cast)

  • Phantom Of The Opera Original London Cast
  • ミュージカル
  • ¥1731

The Phantom of the Opera
劇場: Teatro degli Arcimboldi(ミラノ・アルチンボルディ劇場)
公演期間: 2023年10月11日〜22日
演出: Federico Bellone(フェデリコ・ベロン)
製作: Broadway Italia

今年7月トリエステでの上演と同じくベロンによる新演出版。公演地はイタリアだけれど上演言語は英語です。

 

キャスト

ファントム: Ramin Karimloo(ラミン・カリムルー)
クリスティーヌ: Amelia Milo
ラウル: Vinny Coyle
アンドレ: Earl Carpenter(アール・カーペンター)
フィルマン: Ian Mowat
カルロッタ: Anna Corvino
ピアンジ: Gian Luca Pasolini(ジャン・ルカ・パゾリーニ
マダム・ジリー: Alice Mistroni
メグ・ジリー: Zoe Nochi
+14

 

チケット購入までのあれこれ

イタリアもチケットは買ってしまうと返金等できないので(できるの韓国くらいだよね)いつ買うか迷いつつ、そこそこ席も埋まってきていたので7/25に帝劇でMR!を見た帰りに買いました。


オペラ座の怪人』の公式サイトからミラノ公演のチケットを買おうとすると劇場公式サイトに飛ばされたのでそこで買おうとしたのですが、イタリアの住所や電話番号がないために登録ができず、困っていると外国に住んでいる人はTicketOneというサイトで買えと指示が書いてありました。


劇場公式よりはやや割高ではありましたが、無事購入することができました。席種はしっかり分かれていて座席指定もできます(これができないのは多分日本くらい😇)


ラミンファントムが見られるし!と思って私は上手ブロック6列目のチケットを買いました。席料80ユーロ+手数料12ユーロで合計92ユーロ。円安が痛い!!席種は色々種類があってよくわからなかったのですが「Platea Bassa」という枠。

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座席からの眺めはこんな感じ。右前が男性だったので上手手前がややかけましたがそこまでストレスなく見られました。「PHANTOM」って書いてあるのがちょっと面白い🤏

 

いざ、劇場へ

ローマからイタロで移動してきて一泊した次の日で、当日は朝からミラノ中央駅周辺でショッピングをしたりドゥオーモを(外から)見学したりして、そこから電車でアルチンボルディ劇場のある地域へと移動して行きました。

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劇場のある場所はミラノの中心地からはやや離れていて、電車で街の外へ乗って行ってそこからさらにバスに乗り換える必要がありました。

周りは完全な住宅街。観光客は全くいません(というかミラノ自体に観光客があんまりいない)。

劇場の周辺はかなり整備されていて治安も良かったのですが、終演後、ホテル方面に戻るバスの乗り場に行くために大きな線路を越えると一気に「ザ・生活圏」という感じ。人通りが少なくて、道路に割れた瓶が散乱しているような少し怖い雰囲気だったので、今後アルチンボルディ劇場に行かれる方は気をつけてください!

私たちは16:00公演を見たけれど同じ日には21:00公演もあったので、夜公演を見た方はみんなどうやって帰ったのだろうかと心配になりました🤔

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劇場はこんな見た目。レミゼのツアーもこちらの劇場に来るみたいですね。行かれる方は線路を渡らないでホテルに帰る方法をリサーチしておくことをおすすめします。

 

新演出の記録

今回はハロルド・プリンス演出版との違いが伝わるように印象的だった演出を感想を交えながら書き残そうと思います。

第1幕

幕の代わりにあるパネルが鏡の割れるような音を立てて上に引き上げられて作品が始まります。

まず1番の特徴はセットオペラ座の舞台を模したセット(額縁のような形)がドーンと舞台に乗っています。Overtureが演奏される中シャンデリアが上に上がっていくのは旧演出版と同じだけれど、シャンデリアが上がる先は観客の頭上ではなく額縁のようなオペラ座のセットの天井部分です。その間に額縁セットは大きいな盆で回転して、そこに舞台上でパフォーマンスをする演者たち、首を吊られるブケー、小部屋で話をするフィルマンとアンドレなどがスローモーションで登場し、オペラ座の栄華と惨劇をゆっくりと振り返り時間を遡るような演出になっています。セットが回転することで客席から見た舞台とバックステージ側から見た舞台が表現されるのも素敵でした。

額縁セットの側面はクリスティーヌの楽屋と支配人たちの部屋のセットになっています。

ハンニバルはこの額縁の中でパフォーマンスされるのでやや狭そう。狭いのを活かしてバレエガールズが他の演者に足を踏まれて呻いてしまうというような場面があり、会場は爆笑でした😂


The Phantom of the Opera動線も面白かったです。まず鏡の中に入っていって、その後は額縁セットの中を通って舞台上からオケピに降りて行きます。するとその瞬間、額縁側面の階段から再び2人が降りてきて舟に乗り込みます。オケピに降りていくのが影武者ですね。

そのあと舞台前方中央からオルガンのセットがもりもりと生えてきます(バルーンなのかな?)。スモークももくもく。


そしてそしてPOTOの曲中(だったと思う)にファントムがクリスティーヌに変なキャンドルを嗅がせて錯乱させていました👀 あとで書くと思うけれど、このプロダクションはクリスティーヌを「子ども」として描いているのでこの場面は犯罪感がとても強いです。

The Music of the Nightのラストはファントムがクリスをお姫様抱っこしてベッドに寝かせていました。


旧演出版を見たのが昨年の夏で記憶が定かではないのですが、クリス起床→仮面剥がし→一悶着→返却→早く戻らないとの流れがものすごくハイスピードに感じました。あまり情緒がないというか、え?もう?こんなに唐突だったっけ?という。


バレエシーンの後ろを「あーはっはっはっは!」って言いながらターザンロープでプランプラン往復するファントムが面白すぎました。レディベスといい韓国エリザといい、ターザンロープはおもろさしかないのよ😂 しかもファントムの笑い声がめちゃくちゃ陽気でそれもまた面白かったわ。観客も爆笑してたwwww


All I Ask of Youは屋上のセットで展開されるのですが、その下に天井裏の木の枠組みが表現された2階構造のセットになっています。ファントムは天井裏の柱の影に隠れて2人の会話を聞いています。リプライズで暗闇から突然現れるのでドキッとしました。狭い天井裏をマントが引っかからないようにクネクネと進む姿にはオペラ座で人に見られないように暮らすファントムの「リアリティ」があって好きでした?


そして!アウトロに合わせて天井裏のセットがはけて、その後ろにあるシャンデリアにファントムが乗り込みます。シャンデリアは燃えていて、客席に向かってスイングして火花が飛び散って暗転🔥

なんなんですかこのファイヤーシャンデリア演出wwwwww このためにロビーに消防士さんが何人も待機してるのも合わせて面白すぎて😂😂😂 これは新演出版がトンチキと言われる所以①ですね笑笑 爆笑しちゃいました🤣 観客もめちゃめちゃ沸いてましたが、笑ってる人も多かったですね。


第2幕

2幕はフィルマンのクオリティの低い女装で大爆笑からのスタート


Masqueradeは大階段なし。オルゴールの猿に扮したメグジリーが舞台中央に現れて始まります。各キャラクターが足がローラーになったマスク+マントのマネキンと踊りながら続々と登場します。大サビは客席降りでキャストが至近距離で歌い、金の紙吹雪が客席に降り注ぎます。観客はめちゃくちゃ沸いていて、何人も動画を撮り始めてしまう始末。特に注意もされていませんでしたね🙄

私はすぐ横の通路にマダムジリーが来てくれたのですが、オフマイクで聴こえてくる声量が爆音で最高に楽しかったです💕💕💕


Why so Silentはファントムが他のキャラクターたちに囲まれて詰め寄られて緊張感のある場面になっていました。1人がマントを剥ぎ取るとファントムは消えてしまいます。他のキャラクターの影にさっと消えるトリックだと思います。


Notes...ではピアノの上から指示を出すファントムの手が見えます。ピアンジのために音を変えてしまえという話になるとファントムの声とともにピアノがその場で高速回転します。ファントムの姿も消えています。このピアノの高速回転はスピードが速すぎて笑えちゃいました。


そして2幕のスーパートンチキポイントがやってまいります。墓場、Wandering Child黒い羽を背負って空に舞い上がりクリスとラウルに火花を散らしながら襲いかかるファントム😂😂😂 ファントムは何者なんwww奇術師なん??しかもここで襲いかかったとてクリスもラウルも無事なのでなんなの😂若干のトート閣下み😂


ファントムを迎え撃つためにラウルと警部が話すシーンは2階(向こうの1階)のバルコニーに警官役のキャストを配置してイマーシブな演出になっていました。ミラノの観客は客席降り大好きみたいでこのシーンもだいぶ沸いてました。


The Point of No Returnはピアンジとの入れ替わり&死体発見シーンがなし。

 

ラウルが地下に降りる前、マダムジリーの説明の場面では夜のライトアップされた遊園地の背景が出てくる。ラウルはPOTOと同じようにオケピに降りていく。


地下に降りてからは確か、ファントムがウェディングドレスを手渡す→捨てられる→カチューシャをつけて花束を持たせる→なぜか上裸のラウルが乱入してくる→クリスとラウルがいい感じの雰囲気に→ファントムがベッドに隠してあったロープをラウルの首にかける→ワイヤーでラウルが吊るされる(電動感がすごい)→キス→もう行ってよろしい→クリスとラウルばたばたしながら舟に転がり込む→ファントムが舟押す→ファントムソロの最中に忍び足でクリスが戻ってきて指輪を置きダッシュで帰る→ファントム指輪を手に歌う→マダムジリーが駆け込んできてファントムに隠れるように言う→ベッドに入るファントム→捜索隊が到着→マダムジリーは別の場所に捜索隊を行かせようとするが皆がベッドに注目する→布団をめくるとファントムは消えている→マダムジリーとメグジリーが残された仮面を持って幕

という流れでした。


色々おもしろポイントはあるのですが、やっぱり忍足で指輪を置きにくるクリスが面白すぎて😂😂😂嘘やろ????って!!

布団イリュージョンもなかなかに手品感があって愉快でした。もうおもしろポイントが多すぎる😂

 

アミューズメントに振り切ったような派手な演出が多くて「ちょっとやりすぎでは?」と思うのだけれど、観客の沸き方を見るに狙いは上手くハマっているんだろうなとは思いました。思うに、普段あまり観劇をしない人の多い地方や観光地での上演を想定してるんじゃないかな。

 

パフォーマンスの感想

劇場が音がややこもって聴こえる残念音響だったので辛かったのですが、皆さん本当に歌が上手くて幸せでした。

ラミンファントム

キャスボ等が特になかったので「本当にラミンが出てきてくれるだろうか」とドキドキしながら序盤観劇していました。第一声を聴いてテンション爆上がりです。

シングルキャストだし大丈夫なはず!と思ってはいたものの、なんと翌日の2公演はラミンが休演になったのであながち遠からずな心配だったというね。。。その次の日から復帰できたようで良かったですが。

POTOでは速攻音上げを繰り出していて大好きすぎました。本当に唯一無二の素敵な歌声。私がミュージカルを好きになったきっかけの1つで、私の中で基礎や基盤に近い存在になっているラミンのファントムが目の前に存在している状況がとにかく幸せでした。その分もっとベーシックな演出でシンプルに見たかったぞという思いもあるんですけどね笑笑笑

 

アメリアクリスがとても若くて幼い印象なので、その分ラミンファントムの年齢は高く見えるのですが、仮面を剥ぎ取られたあとの「ぎゃー!」だったり陽気なターザンロープだったりはとても子どもっぽくて、そのギャップによる歪さがファントムという人間の置かれた環境を表しているなと思いました。今回の演出のファントムはクリスに変なキャンドル嗅がせる最低野郎で、よくわからん奇術を繰り出してきて、それでいてAIAOYのリプライズとかラストとかは甘くて切ない歌声で歌うからしっちゃかめっちゃかとも言えますね。ただそれを歌でまとめ上げるだけのパワーがラミンにはあります👏

 

あとクリスが起きるまでオルガンを弾く後ろ姿がかっこよすぎましたね〜

 

アメリアクリスティー

年齢は調べてもわからなかったのですが、とても若いクリスティーヌでした。演出も全体的にクリスを「子どもらしく」見せるように意図されていたと思います。POTOで地下に降りたとき興味津々で目を輝かせているところやファントムに怯える姿の幼さが印象的でした。

クリスが幼い分、よくわからん男に求められて怖くて、別の男の人(ラウル)に頼って、囮ときて駆り出されて「巻き込まれてしまった感」が強かったです。こんなに「みんなクリスティーヌのことはほっといてくれよ!」と思うオペラ座は初めてでした。

AIAOYもクリスが幼いから、父→ファントム→ラウルとクリスの所有者が移っていくだけっていうような構図に見えてこれは新鮮でした。クリス楽曲序盤全然笑わないし。クリスティーヌが欲しかったなって安心できる場所であって、ラウルそのものではなくないか?そこに付け入るラウルってせこくない?って思いました。再会の後のラウルの「2分だ!」もかなり威圧感があったんですよ。それもあって支配されるクリスティーヌが見えてきました。

 

アメリアさんビジュが鬼強でスーパーかわいかったうえに歌もめちゃ上手かったです。ビジュとマッチした可愛らしい声質なのに迫力もあって真っ直ぐ飛んでくる歌声で聴いていて気持ちよかったです。Wishing You Were Somehow Here Againが素晴らしかったです!

 

ヴィニーさんのラウルも上手かったですし、とにかくみんな歌が安定しているので5重唱が耳福でした☺️ メグジリーもスパーンと通る強い歌声でとても好きでしたね✨

 

昨年夏の感想も貼っておきます。

 

観劇態度の記録

いや〜観劇態度悪い人多すぎました😂 最早みんな酷すぎて途中から全く気にならなくなっちゃいましたもん。

数席左も斜め左前も斜め右前も数席右もみんな携帯見るし(めっちゃ眩しい)、ロビーで配ってたポストカードサイズのチラシで音立てながら顔を扇ぎ続けてる人が何人もいたし(劇場は特段暑くもなかったのに)、みんなめっちゃ喋る(もしかしたらイタリア語上演じゃなかったから耳打ちで解説してた?)、隣の人は音楽を手で感じまくって指揮みたいに動かすし😂

1番面白かったのは、左前のご婦人が上演中に(開演後すぐとかマスカレードとか)撮影しようとスマホを掲げるのを同行者の男性が腕を掴んでやめさせてて、別の同行者の男性がスマホ見た時も仕舞わせてて「お、やるやん」と思ってたんだけど、2幕中盤でその男性本人の携帯の着信音が鳴っちゃって慌てて切ってたこと😂 詰めが甘い!!!

そんなこんなでそこそこストレスフルな客席だったんですけど、歓声がどっと沸くのはやっぱり楽しいんですよね。いつもとは違った高揚感に包まれます。

 

SDの話

この日は21:00公演もあったのでSD対応はないだろうと劇場をあとにしようとしたところバス停に向かう通り道にやや人が集まっていました。ダメ元でちょっと待ってみようかと立っていると、ラウル役のヴィニーさんが出てきてくれました。

私たちはちょっと高くなった塀に沿って立っていたのですが、隣の方がセルフィーを頼んだところヴィニーさんがひょいと塀の上に飛び乗って写真を撮って、そのまま私たちも塀の上からセルフィーを撮ってもらいました。ありがたや。

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ちなみに私たちは翌日ヴェネツィアに移動して仮面を買い、真夜中に部屋でマスカレードの振付を2コーラス分覚えて踊りました。楽しい!!そのせいで私は翌朝寝坊しました!!

 

【ラミン関連】

ラミンのチェがどうしても見たい。またやってくれないだろうか・・・

 

【ロイドウェバー関連】