Mind Palaceがない代わりに

来年には大学生じゃなくなるのでタイトル改めました。

ロックミュージカルを浴びてきた『ネクスト・トゥ・ノーマル』3/28 S 感想

ずーっと楽しみにしてきたN2N、そして結局各組1回ずつしか見られない貴重なN2Nでした!まずは無事に見られた喜び〜!

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なんですが、困ったことにブチ上がるバンドサウンドは歌詞の聴き取りを阻み、テンポ感の良さは私に考える隙を与えてくれないのです。てなわけで何も持って帰って来れてない。ただただ浴びて楽しんできちゃった〜☺ 

まずはキャスト感想を書き残して、そのあと持って帰ってきた要素をもとに考えたことを書きます!

アーロン好きだからCDだけはちょろちょろ聴いてきたけれどゲイブパートしか聴いとらんかったからなもうちょい予習しとけばよかったかなーって思ったりもする。世に言うネタバレの箇所もネタバレだと認識せずに知ってたし。とりあえずこの感想を書くにあたりスクリプトを読んだ。

キャスト感想

6人の演じ方がみんな素敵で見ていてとても幸せだったな。歌声も素晴らしくてLightなんて6人のカンパニーとは思えない音の厚みで歌声が完全にクリエのサイズを超えてましたね。

まずは歌唱力おばけ兄妹の話をさせてくださいー!!!

海昆兄妹って発表あったとき一瞬、オタクの妄言かと思ったけれど実在したわ。それぞれ役として素晴らしいし、Superboy and the Invisible Girlが楽しすぎる。海昆デュエットはサイゴン楽曲とかでよく聴くしもちろんそれも美しくて最高なんだが、ロック調の楽曲で声を張り上げて2人のつよつよボイスがぶつかり合うのが気持ち良すぎました。日比谷中に歌声響き渡るレベルの音量。

海ゲイブはわかっちゃいたけれど強いなー。Just Another Dayの時点でばちばちに音を飛ばしてくるからテンションぶちあがるし、ラストのLightで上ハモロングトーン入るところなんかきれいすぎて笑ってしまった。My Psychopharmacologist and Iではコーラスとして踊っていて、踊る海宝さん見る機会なかった身としてはとっても新鮮だったり。あそこの不思議な振り付けがかわいいのと曲終わりに「私のお気に入り」のメロディになるところがおしゃれで好きです。I'm AliveはCDでも昆コンでも事前に聴いたことがあったのだけれどその時点でもめちゃくちゃうまかったのにさらにパワーアップしていてなんなんだこの人は一体。。となる。個人的には「僕は!ここに!生きている!」って訳詞も好きだったので「アマライ!アマライ!」になっていたのは意外だった。歌いにくそう笑 I'm Aliveは家のセットの中をゲイブが暴れ回りながら爆音で歌うから、グッドマン家にいかにゲイブが影響を及ぼしているかみたいなものが感じられたー!

予想外だったのがThere's a Worldの場面で、もっと「救い」とか「天」とかそういう感じの高尚な白い光タイプで来るかと思っていたら、想像を遥かに超えて誘惑っぽくなっていたのでびっくりでした。ダイアナの手首を執拗に触りながら連れていく感じとかが。

ゲイブについてはもだもだ考えているところを感想後半に書き残そうと思うのでこの辺にしておきます。それはそうとDidn't I See This Movie?でストレッチャーを押すゲイブかわいかったな。

昆ナタリーも最高。好き。複雑な心境のティーン演技がうますぎる。家族やヘンリーを気にかけていないわけではないけれどぶっきらぼうな態度を取る感じがとてもいい。軽すぎず重すぎずそれでいて複雑でそんなナタリーから発せられるからこそ「Next to Normal」という言葉が観客の心にすっと入ってくるし腑に落ちるんだと思う。昆ちゃんの歌が好きなのはもちろんなんだけれど、演技も好きなんだなって再認識できた。

自分もいつか狂ってしまうんじゃないかと怯えるナタリーが辛いんだよな。ナタリーはあの場にいなかったとはいえ、ダイアナの母はhigh-spiritedすぎてPTAを追い出されたって話も出てきていたし。

兄妹の歌がつよつよだから、曲の途中から2人のどっちかが入ってくると歌の安定感が爆上がりします!

安蘭けいさんのダイアナも輝いてました。You Don't KnowDidn't I See This Movie?が強烈に印象に残った。感情を高ぶらせて叫ぶように歌うのがめちゃくちゃ良くてロックミュージカルとの相性の良さを感じる。安蘭けいさんが演じるとどんな役でもばちばちにかっこよくなるのあれなんなんだろうか。薬流した後の「うちの下水はご近所で1番ハイよ!」みたいな台詞が好きすぎた。安蘭けいさんの作り上げたダイアナ像がとても好きなんだけれどどう好きかと言われるといかんせん言語化が難しすぎて。とにかく好きだったな。

岡田さんのダンもよかったなー。歌う時最初の音のアタックが弱めでだんだん大きくなるタイプの歌い方だから若干歌詞聞き取りにくいところもあったりしたのだけれど、岡田ダンの柔らかい歌声とロックっぽい安蘭ダイアナの歌声の対比が2人の関係性とぴったり合っていてこれはぴったりなキャスティング!誠実に献身的にダイアナを支える強さを見せながらもそれが有害な男らしさにはなっていないところだったり、結局はダンもゲイブの死から逃れるようにダイアナにすがっていた部分があるそういう弱さが感じられる点だったりが素晴らしかったです。ナタリーにママは良くなるか聞かれてわからないと答えてしまい「普通の親みたいに嘘でも良くなるって言ってよ」って言われるところとかもよかった。誠実だけどそうじゃないだろ!っていうね。ダイアナの失った記憶をいい感じに書き換えようとしてくるところのダンは悪意はないけどまじで気持ち悪すぎてナタリーがいてよかった。

新納さ~~~ん!!ドクターファインの時点で好きでした笑 あの金髪きのこヘアは一体。。やたら似合ってたな。そしてドクターマッデンよな。突然の奇声にダイアナと共に???ってなった。しかも結構高めの音だったからすごい。やっぱり私としてはゲイブに感情移入してしまうところがあるので、マッデン先生のことはゲイブを消そうとする奴!って思ってしまうのだけれど、物語を通してちゃんと考えると先生だって誠実なんだよな。この作品は誰も悪意をもっていないしむしろ誠実にあろうとしているけれどうまくいかない状況を描いているんですね。その中で「Next to Normal」という考えに行き着く。

橋本さんのヘンリー、演技は好きなのだが歌がーーーというのが真っ先に来てしまう。おばけ兄妹を筆頭に歌唱力偏差が高めなのでその点かわいそうではあるのだが、ミュージカル歌唱にもロック歌唱にもなっていない感じでして。演技プランは好きだった!グッドマン家の全員がCatch Me I'm Fallingしている中で大麻常習者ではあるけれど誠実で少し不思議でNormalではない彼だからこそナタリーが落ちていくのをキャッチすることができたんですね。

ゲイブについて考えた色々

Superboy and the Invisible Girl"He is a hero, a lover, a prince"ってところが面白いなと常々思っていて。たしかに、時に母親にとって息子が恋人のようになっていることってあるし、実際に今日本編を見たらThere's a Worldでゲイブがダイアナを自殺に誘うところなんかは少し蠱惑的。そして、I Am the Oneではダンとゲイブがダイアナに同じ言葉をかけるように歌ってゲイブがダイアナの気持ちを勝ち取るような描写があってこの辺はエディプスぽいなと思ったり。I Dreamed a Danceなんかでもまさにヒーローで恋人で王子さまっていうのを感じられた。

劇中のゲイブの存在について、何なのかって考えるとそれはダイアナの頭が生み出した幻覚。そしてそれは死んだなんて信じたくないという思い、彼に生きていてほしかったというダイアナの願望から来るものだと思う。にもかかわらず劇中のゲイブが世間的に見て完璧な理想の息子ではないのが面白いなと感じた。ヒーローで恋人で王子さまではあるけれど、冒頭で夜遅くまで家に帰ってこない様子だったり(健全なティーンはそうであると言われたらそうなのかもしれないが)、I'm AliveではNightmare、fear、I'll hurt youといった表現があったり。ダイアナの頭の中での現象だから劇中ゲイブに自由意志があるとは思わないのだけれど、コントロールできない息子をダイアナの頭は生み出したというのが興味深いなと。

I Am the One、1回目もリプライズも両方とてもいいよねー。特にリプライズではこれまでダイアナの幻覚として登場してきたゲイブがダンの幻覚として現れる。ダンはこれまでダイアナを支えることを使命として生きてきて、ゲイブの死に向き合ったことがなかったんだろうな。だからダイアナが家を出た時に初めてゲイブの幻覚を見る。どこのシーンか忘れたけれどダンのソロ曲中にダイアナ不在の中ゲイブがダンを見ているシーンがあった気がして。そこは次回確認しよーっと。

 

だいもん家も楽しみだなー!!!