Mind Palaceがない代わりに

来年には大学生じゃなくなるのでタイトル改めました。

昆キムの幼さを中心に『ミス・サイゴン』8/27 M 感想

まずは、見られたことが嬉しい😭😭😭 抽選に落ちまくった結果、2回の観劇予定が両方8月後半になってしまって見られなかったらどうしよう・・・と不安に思っていました。

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今回は、屋比久ちゃんが休演で昆ちゃんキムに!屋比久ちゃんが無事回復なさるのを祈ると共に昆ちゃんへの感謝の気持ちでいっぱいです🙏

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そんなわけでサイゴン。25th円盤を遠い昔に見たきりで生で見るのははじめて!


まず幕があいた瞬間昆キムの幼さにびっくり。本当に子どもじゃないですか。ここまで子どもだと思っていなかったから、彼女を待ち受ける運命を思ってその時点でかなり辛い気持ちになってしまった。

クリスも一目見て「あの子は誰だ?」ってなったあとに「そんな子、まだガキじゃないか」と言うんですよ。そうだよ!子どもだよ!わかってるんじゃん!それなのになんで抱くの!!!!!!!!!!!自分で言ったじゃん!!!!!!!

そして、昆キムのクリスへの想いってのは本当に恋だったのかについては考えてしまう。いやキム自身にとっては正真正銘恋なんだろうけど、外側から見るとさ。身の上話をする昆キムの表情や叫びを見るに彼女はものすごくギリギリのところで生きていて、本人が自覚しているかは別として頼れる相手、心を許せる相手を求めていたはず。そしてあの状況ではクリス以外に頼れる人はいなくて、かつその人とセックスまですることになってしまってということを踏まえると恋と思わざるを得ない状況に置かれているというか。そんなことを、階段で小野田クリスにぶら下がってキスする昆キムを見ながら思ってしまった。あの体格差も昆キムをより幼く見せていて、彼女に必要なのは保護なんだが!!!!!!!となりましたね。


Last Night of the Worldもロマンチックな雰囲気を想像していたら、トゥイの乱入に怯えるキムをあやすようにクリスがあえて明るく振る舞ってみせているように見えたりしてそこでもキム=子どもって思わされた。そういえばトゥイの乱入を受けてクリスが「俺のものだ」って返していて🙄もの扱いすな。

先ほどからクリスに当たり強くない?って思われるかもしれないけれど、ちゃんと小野田クリスの好きなところもあるのでおいおい書きます。


3年後のキムは声色が変わっていて時間の経過と彼女がもう何も知らない子どもではなくなっていることがわかる。(それが一声目で伝わって来たので昆ちゃんさすがすぎるとますます好きになってしまった〜) ただ、完全に自立できているかというとそうではなくて、タムの存在と夢を支えとしてなんとか立っているんだと思いました。タムがいるから崩れるわけにはいかないし。そしてクリスが迎えにくる、アメリカに行く、そういう夢を語るときのキムの目は現実の一切を見ていない目をしていて、それが悲しくて虚しくて、怖かった。狂気すら感じられました。


命をあげようでは、タムからキムの顔が見えている状態の時は安心させるような笑顔で、タムを抱きしめて彼からキムの顔が見えなくなると苦しみを顕にしていたのが印象的でした。タムを不安にさせる表情は決して見せない。


3年後もぎりぎりの精神状態で生きている昆キムが崩れ落ちてしまうのが、エレンとの会話のシーン。その中でもエレンがクリスの妻であることをを知ったときではなくて、タムを引き取れない、母と子を引き離せないと言われたとき。悲しみと怒りに引き裂かれてメロディを壊しながら泣き喚く姿に子どもっぽさが感じられて悲痛さを増していた。もう子どもではないと思っていたけれどやっぱり彼女は保護を必要とする子どもじゃないかと思わされる。

次に舞台上に現れたときにはもう心を決めている表情で、ホテルを飛び出してから店に帰ってくるまでの道すがら覚悟を決めるに至ったその過程を想像して辛くなってしまった。


小野田クリスもかわいそうでよかったです。特にThe Confrontationでエレンにたたみかけられた結果どうしていいかわからずに泣きながら椅子をガンガン床に叩きつけはじめたのが最高でした。国のために戦っていたはずが帰ってみれば批判の対象になっていて、サイゴンは陥落寸前でなんの希望もなく疎外感を抱えて生きているクリスがドリームランドの中で明らかに異質だったキムに惹かれるというのもよくわかる。サイゴンではキムをアメリカではエレンを希望になんとか生きてきた、彼としてはどうすることもできなかったんだよな、そうだよなと駄々っ子がするように椅子をガンガンしはじめたクリスを見て、彼が抱えてきたものをあらためて突きつけられました。

 

自殺を図ったキムを見つけた時もすぐにはキムに近寄れずに怖がっていて、キムが腕の中で息絶えてからは自分の首に回された彼女の腕が滑り落ちてしまうたびに何度も何度も巻き付け直していて何も受け入れられてないんですよね。

 

小野田クリスのWhy God Why?は確実に傲慢さ全開で来るだろと勝手に予想していたのにそんなこともなかったんだよな。皮肉っぽかったり物悲しかったり困惑していたり切り取る瞬間によって色んな印象を受ける。見返したいよ〜見返したいのに小野田クリスは、というかどのクリスも1回しか見られないんですよ!!!


あととても好きだったのが結婚式で他の女の子たちにちょっと怒られたりはたかれたりしながら楽しそうに過ごしてるところですね。兵隊になる前の、あるいはベトナムに来る前のクリスってこんな感じだったのかもなというのが伝わってきて泣けますね。

 

駒田さんエンジニアはやっぱり愛さずにはいられないんだよな〜。MAのレオナールやレミゼのテナでも思うけれど駒田さんが演じると愛くるしさが増し増しになりますよね。匣ミュはそんなことなかったですけど、やべえやつの役だったので。今回も愛さずにはいられないオーラが出まくりでした。トゥイにキムを探すように言われた後の腕を突き上げながらへーこら退場するとことか笑笑 歌唱もさすがで安心と信頼の駒田さん。踊る姿を見るのははじめてだったのですが素敵でした〜


西川トゥイもよかったな。25thのイメージで私はトゥイのことをただただ怖いと思ってきたのだけれど今回でかなりそのイメージが変わった。必死で親が決めた許嫁のキムを探しにきて、知らないところで彼女が米兵と結婚していたとしても、3年が経っても彼女を探している。やっと見つけた彼女が米兵の子どもを産んでいることには気持ち悪さを感じつつも子どもを殺してキムと一緒に生きようと思う。ものすごくピュアにキムのことを一途に愛し続けているようにも見える。西川トゥイはそんな側面が強かった気がする。親の意向に従うべきだ、キムは俺のものだって主張する割にはあんまり家父長制に絡め取られている感じがしないというか。

そういえば亡霊トゥイの登場シーン、斜めにシャーって降りてくるのが面白くてちょっと好き。


この作品はここを見るためにある!!!みたいなシーンがだいたいの作品にはあると思うのです。サイゴンについては私の場合、トゥイの亡霊と入れ替わるようにクリスがキムを迎えにくるシーンなんですよね。待ち続けたキムのもとにあの日のクリスが駆け込んでくる、あそこのライティングと演出が大好き。


ミス・サイゴンという作品を生ではじめて観劇した感想としては、私はあまり感情を揺さぶられるわけではないがキャストのパフォーマンスから登場人物たちの感情を読み取ろうとするのがとても楽しい作品だなと思いました。戦争自体が描かれるわけではないからかな。なぜだかわからないけれど私比で一歩下がって見ている感じがする。


それから、ドラゴンダンサーズの群舞はそれ自体としてはかっこいいけどトンチキ日本描写に通ずるものを感じるよね。今後変わっていくのだろうか。