恋に落ちないキムとクリス『ミス・サイゴン』富山公演 10/15 M 感想

 

帝劇公演で屋比久キムと海宝クリスが見られなかった+U25チケットの販売があったので富山まで行ってきました〜!初の国内遠征!

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私は前日(10/14)のソワレ 帝劇でエリザを見て、友人と合流。そのまま八重洲から夜行バスに乗り、15日早朝に富山に到着し、マチネのサイゴンを観劇するというハードスケジュールでした。U25チケットの存在を調べ、高速バスの手配をしてくれた友人に感謝です〜

詳しい経緯は友人のブログを

オーバードホールについて

オーバードホールはとにかく音響が良くて、オケもキャストの歌声もものすごい迫力で飛んでくる。しかもオフマイクもかなり聴こえて、幕が開いてすぐのサイゴンの街中の人々の声もしっかり聴こえるから一気に没入できた。帝劇のぼやぼや音響はなんだったんだろう。。。G&Dとサイゴンはキャストのマイク小さすぎてほんとにもったいなかった。

座席は5階のE列(後ろは売り止めっぽかった)。背もたれに背をつけると低身長の私は舞台の下半分消える感じだったので、最後列特権で少し前のめりながら観劇した。背中バッキバキになり、前日からオペラグラスを覗くために酷使した肩の筋肉は1幕半ばでパンパンになりうまく手が上がらなくなった😂 ミュオタ、筋肉、大事。

 

屋比久キム

良い音響で素晴らしい歌声を浴びれる幸せを噛み締めました。歌が信じられないくらい上手い。全ての音が完璧に飛んでくる。屋比久ちゃんを見ると圧倒されて終演後「やびくちゃん・・・」「歌がうますぎる」しか言えなくなる現象に誰か名前をつけてほしい。特に3年後のトゥイとの対峙シーンでの「触らないでー!!」あたりの音圧が凄まじい。

屋比久キムは、感情を派手に爆発させないで心を奥に押し込めている。特にタムと一緒にいるときは自分の気持ちよりも「しっかりしなくてはならない」という思いが強くて、母から息子への愛というよりは、守り抜くべき存在への責任感みたいなものが前に出ている。

8月のサイゴン感想で、キムのクリスへの気持ちは本当に恋なのかについては結構考えていて、昆キムは状況からしてクリスに恋をするしか道がなかった、選べなかった、ただし本人にとっては正真正銘の恋なんだろうなと考えていた。屋比久キムの場合は、クリスへの恋心は完全な錯覚だと思う。辛い記憶に蓋をするように感情を抑えて生きてきたところに、なんだか他の人よりはキムのことを助けるそぶりがある人と出会ってしかもその人とセックスすることになった。抑えていた感情の波がこの辺りの出来事で突然高くなってそれを恋と錯覚したんじゃなかろうか。ちなみに私は海クリスも似た錯覚をしていたと思っている。

「今も信じてるわ」でもクリスの存在や彼の帰りを心の支えにしているというよりは何かを「信じている」ことで自分を奮い立たせているのかもしれないなというのを感じた。クリスがバンコクに来たことを知ったときの「両親に許された」という台詞も印象に残る。屋比久キムを一言で表すなら信念のキムなのかも。

昆キムほど壊れてなくて、クリス抜きの世界でも生きていけるキムです。まだ救える道が残されていると思うので誰か早く保護してください。

海宝クリス

なんとなく海宝さん=怒りってイメージがあって、海クリスは神にぶちぎれてんだろうなと思ってたらもう怒る気力すら残っていないぼろぼろのクリスが出てきたので驚いた。Why God Whyの序盤、呟くように音を切りながら歌っていたのがとても印象的。どうしようもなく無力だし自分がいかに無力なのかも嫌というほどわかっていそう。全てがどうでもよくなってしまっているし、皮肉屋っぽい。感情の波がなくなっているところにキムと出会って久しぶりに色んな感情が湧いたのと一緒に逃げる相手ができた嬉しさとを恋と錯覚したんじゃないかな。

劇中で1番感情を出すのが、サイゴン脱出の場面とバンコクのホテルの場面。ホテルでは、それまで椅子に座って困り果てていたところから突然飛び上がって「アメリカ人ならできると思った〜」の箇所を息も切れ切れになりながら歌うわけだけれど、今まで発してこなかった分の大きな感情が全部飛び出したみたいで衝撃的だった。あれだけの感情を溢れ出させたあとにキムの自殺に立ち会ってしまって、海クリスのただでさえぼろぼろな心はきっと完全に壊れてしまうと思う。立ち直って生き続ける姿が全くイメージできなかった。

あと、全然関係ないんだけど、ドリームランドにてオフマイクでエンジニアに暴言を吐く海クリスがめっちゃ刺さったんだけどなんて言ってたか忘れた。うるせえだっけな黙れだっけな、なんかそんな感じの聞きなれない言葉を発していた。ドリームランド海クリス、観察してると結構面白いんだよな。薬売りに来た人を無関心で追っ払ったり、ほどくのもめんどくさないのか女の子に巻きつかれたまま真顔で歩いてたり。

恋に落ちない屋比久キムと海宝クリス

屋比久キムは感情を抑えていて、海クリスは感情の波がなくなっていった人。2人ともひさしぶりに感情の波がうねったからそれを恋と勘違いしたんだと思う。そして、あくまで2人が求めているのは恋に没入することによるやすらぎであってお互いの存在そのものではない。

そんな2人のLast Night〜では、キスしていないと息ができないのかと思わされた。2番入る前ギリギリまでキス引っ張りすぎて「地球の向こうの〜」の入りに間に合うか心配になるくらい。ほぼ息吸う時間なかったと思うけど、そこは海宝先生なので大丈夫だった🙆‍♀️ 2人のキスには他のペアで見た時のロマンチックさみたいなものはなくて、むしろ病的な雰囲気があってやるせない気持ちにさせられる。

サイゴン陥落後、アメリカに行ったクリスは依存先をエレンに変え、残されたキムはクリスが帰ってくる、タムをアメリカに、そういったことを「信じる」こと自体を心の支えにする。やっぱりお互いにそれなりの愛着はあるんだろうとは思うけれど、こんなにも恋愛感情以外の面からミス・サイゴンという作品を楽しめるなんて〜!!

 

東山エンジニアもよかったな〜!なかなかに切れ者で、人に使われているときには小者感もあり世渡り上手な感じがする。アメドリも若さからくる野心みたいのものが見えて、結構私の中でのエンジニアのイメージど真ん中かも。あと、上野ジョンのブイドイが大迫力だった。

 

初めての国内遠征、いい音響でいい公演が見られて本当に幸せだったし、「新たなミス・サイゴン」を感じられてとっても楽しかったです!!

 

今期サイゴンの感想

ミス・サイゴンは25周年公演の円盤を数年前に見て、エヴァちゃんはじめキャストの方々の歌唱が凄まじいけれど演目としては刺さらんな〜と思っていました。でも今回、ミュージカルの見方みたいなものが少し備わってきた状態で見てみると解釈の余地が沢山あって見れば見るほど楽しくなる演目だと感じることができました。各役にどういう役者を配置するのか、どういう演出でどういう演じ方でキャラクターの新しい面を描き出すのか、これからも色んなプロダクションを見たい演目の1つになりました。

来年イギリスで開幕するサイゴンは、レプリカ版ではなく、エンジニアを女性が演じるそうですね〜気になる!!

 

昆キム小野田クリス駒田エンジニア回

昆キムサンウンクリス伊礼エンジニア回