Mind Palaceがない代わりに

来年には大学生じゃなくなるのでタイトル改めました。

私には愛よりも怒りが必要なのです『笑う男』2/14 M 感想

久しぶりの帝劇でした〜!

初日の開演20分前に公演中止になってしまうという衝撃的で恐ろしい事態を乗り越えて幕が開き、私も健康でそれを見ることができる。生の観劇がいかに奇跡的であるか改めて実感させられました!ほんとうに、公演再開できてよかった😭😭😭

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希帆ちゃんをやっと見られる幸せよ😌💕

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楽曲、衣装、美術は好きだけれど、肝心のお話がなんだかぼやぼやしていた印象。思うところは後にまとめるのでまずは好きだったところから


劇場に入った瞬間から、装飾が素敵でテンション上がりました!劇中も盆を回し、せりをふんだんに使い、ミュージカル沼に来てから見た作品の中でトップレベルにゴージャスなセットだったと思います。衣装も豪華で引きで見た時の統一感もあってよかった。韓国や他の国でのプロダクションを見て、いいなーこんなに豪華なセットで・・って思うこともあるので、ここまでやってくれると満足感があります☺️

見世物小屋のライトがとても綺麗。オレンジがかった色味でウルシュス一座のあたたかさが視覚的にも感じられました!


ワイホ楽曲はそこまで好みでないものも多いのですが、笑う男は全編通して結構好み!表題曲はとてもかっこいいし、楽曲の終盤に絶妙に変態っぽい音に行く曲が多くて楽しかった😆 韓国版OSTサブスクで探してるけれど見つからない。もし見つけた方いらしたら教えてください🙇‍♀️

今回はアンサンブルの方々が大優勝していて耳が幸せでした☺️ 音の厚みと迫力がとんでもない!ソロパートも多めでみんながみんなうまくて楽しすぎる。

浦井さんはちゃんと聴くの初めてだったのだけれど、これだけ曲数多く、難曲もある中できっちり歌いこなしていてさすがですね。祐様はクセとして受け入れればいけなくもないけどファルセットきつそうだしうんー、得意な感じの曲はいいけど、、Wとかにして選択肢は欲しいかなーというのが率直な感想ですね。

禅さんは相変わらずすんばらしいのでもっと歌ってくださいな。それならアン女王役の内田さんがえっぐいうまくてびびりちらかした。声量おばけがすぎる!最高!


そしてそして、希帆ちゃんデアがとっても素敵でした!圧倒的に清廉な歌声でこの世のものとは思えない。ふと消えてしまいそうな儚い美しさがありました。デアの役柄自体には思うところがあるのでそれは後々書きますが希帆ちゃんのパフォーマンスはドストライクでした。

デヴィット卿に襲われた後(このシーンの吉野さん最悪で最高でした🙌 床に倒れ込んだデアの前にスライディングするところが好きです〜)、傷心のデアを見世物小屋の女性陣が慰めるシーン「涙は流して(Drown Your Tears)」がめちゃくちゃよかった。私は本編通してこのシーンが最も好きです!まずフィーヴィーとヴィーナスが歌声もなにもかもつよつよで好き🥺💕 ってなるし、そのうえに「男なんてみんなクソだぜ(意訳)」と歌い上げるなんて!大好きでしかない😌✨だからこそ!ジョシアナ公爵もデヴィッド卿に平手打ちの一つや二つ食らわせて欲しかったー😭😭😭😭ってなるんですね。この件は後ほど


そんなジョシアナ公爵ですが、好きですよ、そりゃあ好きですよ。楽曲もかっこいいし(カテコなんてギターぎゅいんぎゅいんで最高だった🎸)。大塚さんは初めましてだったのだけれどとにかくかっこよかったな。役としての行いは特にそうでもないはずだから大塚さんの演じ方が好きだったんだなきっと。おうちジョシアナ様はおうちラドゥーみたいなカウチに寝っ転がっていて最高です。お金持ちのおうちにはみんなあのタイプのカウチあるの?🥺


こんな感じで、私は女性陣にわーきゃーしておりました。というのも、物語がぼやぼやしていて、その物語を押し進める役割を担う男性キャラたちも物語のぼやぼやの影響もあり思惑や感情がぼやぼやしていて私の感情が動かなかったからですね。これは演者さんのというよりは脚本に原因があると思うわ。


「金持ちの楽園は貧乏人の地獄によってつくられる」という言葉をまずはじめに提示したのにも関わらず、描き込みが物足りない気がする。格差への怒りどうしようもない悲惨な現実のへのやるせなさかどちらかを描いてくれると思ったのにその辺をすっぱり捨て置いてあたたかい愛でまとめられて???🙃ってなってしまったよ。私が恋愛要素苦手なのを抜きにしても、突然のエターナルラブに置いてけぼりを喰らったわよ。ラストもそれでいいんか。何も変わってない、グウィンプレン何も成し遂げてないと感じてしまう。


彼は貴族の身分、権力、財力を手にした。そのときにデアやウルシュスへの気持ちがあまり感じられず、はたまた彼らとは切り離されるけれどこの立場を使って世界を変える!っていう熱意も感じられず、なぜそんなに素直に貴族してるんだともやってしまった。もっと葛藤はないのかって、苦悩ソングの一つや二つほしい。そうじゃないとグウィンプレンに共感できない。

議席も手に入れて貴族たちに物申したはいいが、貴族たちには響かない。それはそれでいいんだけど、この訴えにもあまり必死さが感じられず、光のど正論ソング「目を開いて」(上手だったけど)では心が揺れない。貴族たちもそりゃあ動かないだろうよとなってしまう。その後の表題曲が恐ろしさや嘆きや諦めや憎しみや嘲りといった色々な感情がないまぜになった楽曲でとてもよかったので、議会でこれ歌ってみんなを怖がらせてきてほしかった。お前たちの盲目が俺を生んだんだぞ!と叩きつけてほしかった。アン女王がグウィンプレンの訴えを拒絶する「見えない方がマシだ!」は全編を通して1番重要な台詞だと思うけれど訴えのシーンのぼやっと感もあって決まりきらなかった感があるのが勿体無い気がする。


そうこうしているうちに「大事なものは全て見世物小屋にあったわけだ」って帰ってきてのエターナルラブ展開だからうーんってなってしまう。


デアという役も掘り下げて描かれていない印象。①盲目ゆえにグウィンプレンの醜い顔が見えない ②しかし美しい心は見える ③心臓が弱い。ほぼこの3点の要素だけで押し切っているように感じられた。描き足りないと思う。うろ覚えだけれどウルシュスが、「グウィンプレンは一生デアのそばにいろ!」的なことを言うし、デアも「グウィンプレンには羽があるからいつかどこかへ飛んでいってしまうと思う」的な話をするから、デアが「自分がグウィンプレンを閉じ込める鳥籠になってしまう」と考えて苦悩する、あるいは行動するといった展開があるのかと思ったら何もなかった。ただただ無垢な存在で深みが感じられない、そして彼女もまた何も成し遂げずに死んでしまうんよ。うーんってなる。

デアに関して好きなシーンとして、見世物小屋でグウィンプレンとダヴィッド卿がチャンバラするところ、デアは何が起こっているかわかっていなくて、そのときにヴィーナスたちがサイドからこんなことが起きてるよって話してあげているように見受けられてそこはすごいよかった。細かい演技からいつもの彼女たちの関係性や生活が垣間見える。そう思うとやっぱり一座の女たちの関係性はとても素晴らしく描かれていたな!


ウルシュスについては、グウィンプレンとデアも快く引き取るし、デアが死にかけていたらおいおい泣きじゃくる様子を見るにごく普通の感性を持った優しい感情的な男だと感じていたのに、最後、亡きデアと共にグウィンプレンが死ぬことに関してはそれで平気なのか・・そうか・・ちょっと人間の感情、よく、わからない、、ってなってしまう。一貫性が感じられない。

それからフェドロさんの思惑もわからんかった!瓶の栓抜き係の職につき、行方不明の貴族を見つけ出す。それで彼は何がしたかったんだ?まあここはなんらかの利益があるんだと捉えよう。では、ジョシアナ公爵の言った彼の「裏切り」とはなんだったんだ?ダヴィッド卿の悪事はグウィンプレンを誘拐して売り飛ばしたこと。それをジョシアナは掴んでいる。フェドロさんってなんにもやらかしてない気がする。わからない。あそこのシーン、私はジョシアナ様がダヴィッド卿に平手打ちの一つや二つ食らわせてほしかったって書いたけれど、デヴィッド卿を追い出し、フェドロも追い出したとなればかっこいいシーンのはずなのよ。それなのにフェドロの裏切りが何かわからないものだから肩透かし感が。私が何か見落としたか聞き落としたのかなとも思ったけれど一緒に見た友人もわからなかったらしいし、TLでもわからないとの意見をしばしば見かける。もし知っている方がいらしたらこっそり教えてください。


思い返すとデヴィッド卿が一番人間として一貫していたな。妾の子であるが故に正妻の子とは格差が生じる。貴族社会の中でも下賤な身として扱いを受け、それは決して覆らない。貴族の中でも幸せになる権利を持つものとそうではないものがいると考えを巡らせるきっかけになるし、それらの理由からグウィンプレンを追い出し、彼の持っていたものを手に入れようとする。理解できる。


そんなこんなで登場人物が掘り下げられなくてぼやぼやしたり、思惑がわからずぼやぼやしたりして、全体としての物語もぼやぼやしてしまった印象になってしまったのかなというのが私の結論。


そして、怒りや嘆きを込めて撃ち放つことができそうな題材でありながら、愛の話として片付けられてしまった虚しさみたいなものがあるのです。これについては私自身が愛というものの優先順位を低く位置付けていることにも原因はあると思うけれどね。題材も楽曲も美術も演者さんたちも素晴らしかったから、ほんと、好きになりそうなところがたくさんあるのに好きになれないのが悔しいの。という感想でした。

 

とりあえず音源を探す旅に出るよ〜