Mind Palaceがない代わりに

来年には大学生じゃなくなるのでタイトル改めました。

仏ミュ特有の高揚感×宝塚の相性の良さよ 星組『1789 -バスティーユの恋人たち-』7/30 M 感想

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めっっっちゃ楽しみにしてきた1789です!!

これまで映像で、2015年月組版(本格的にミュオタになる前だったのであんま覚えてない)→2012年仏版→2018年東宝版と見てきましたが生で見るのは初めてでした。この演目独特の不思議な高揚感を劇場で体感できて幸せです。フィナーレにサイラとか最高じゃん🙌

作品・公演概要

1789 - Les Amants de la Bastille
脚本:Dove Attia(ドーヴ・アチア)、François Chouquet
作詞:Dove Attia、Vincent Baguian
音楽:Dove Attia、Rod Janois、Jean-Pierre Pilot、Olivier Schultheis、William Rousseau、François Castello、Benoît Poher、Laurent Delort、Louis Delort、Silvio Lisbonne、Manon Romiti、Elio
初演:2012年 パリ

劇場:東京宝塚劇場
潤色・演出:小池修一郎

※(2023/12/20追記)この記事で取り上げている作品を手がけた小池修一郎氏は、元演出助手の方に対するセクシャルハラスメントがあったと告発されています。真偽のほどが明らかになっていない状況ですが、こうした告発があったときにはできるだけ告発者に寄り添いたいと考えているので、同氏が携わった作品にはひとまずこのような注釈を付けることとしました。

 

当日のキャスト

ロナン:礼真琴

オランプ:舞空瞳

アルトワ:瀬央ゆりあ

デムーラン:暁千星

ロベスピエール極美慎

マリー・アントワネット有沙瞳

ペイロール:輝月ゆうま

ダントン:天華えま

ソレーヌ:小桜ほのか

ラマール:碧海さりお

フェルゼン:天飛華音

 

歌とビジュがとにかく強い

最初に来るのはこれですよね。ロナン・デムーラン・ロベピで並んでる時のキラメキがえぐい。みんな脚なっが!眩しすぎる!しかも今の星組なんか私の好みのビジュの人ばっかいる!

 

礼真琴さん(以下こっちゃん)は、今回もかわいくてかっこよくて歌がうまくて最強でした☺️☺️☺️ ロクモ、1789とアチア率が高いというか、ロミジュリ、赤と黒も入れれば仏ミュ率がやたら高いのも納得なんですよね。仏ミュ楽曲特有のアップダウンの激しいメロディを完璧に歌いこなせる人はなかなかいませんもん。踊りも上手いですし!!もう全曲素晴らしく歌がうまくて目も耳もひたすらに幸せでした。

そしてロナンが似合う😭 少年っぽい歌声が役柄にあうのはもちろん、こっちゃん(の演じる役)は、瞳を輝かせながらまっすぐ生きているのに、幸せな世界にこっちゃん()自身がいない、みたいなやつが似合いすぎます。悲しみの報い(Pour la peine)でのやわらかく舞台全体を包み込むようななめらかな歌い方はとっても心に沁みました。笑顔が眩しい&切ない。

あと今回は拷問シーンもあったのが最高ですね。拷問され慣れてらっしゃる(役柄的に)ので、殴られたり蹴られたりした時のお芝居がとても上手い。楽しくてオペラグラスでずっとガン見してしまいました。焼きごてされたところを包帯で覆っているのも好きです。

 

舞空瞳さん(以下、ひっとん)は今回もスーパー可愛くて、活力と生命力に溢れていて素敵でした!!!何があっても生き延びられそうだし、アルトワにも負けなさそう。歌う時に音に乗せる空気の速さと質量感が強くてそこに思いっきり感情も乗っけてきて「重い」歌声になっているところが好きです。それでいて可憐で可愛くもあるので唯一無二だな〜と思います。かっこいいとかわいいが同時に押し寄せてくるんですよね。

 

有沙瞳さん(以下、くらっち)のアントワネット〜〜〜!素晴らしかったです!やっぱり歌がとんでもなく上手い👀 全てを賭けて(Je mise tout)は日本語だと歌いづらそうだな〜と常々思ってたんですけど、くらっちはピッチが完璧で、地声とファルセットを織り交ぜながら高音も攻略していて聴きながらにこにこになってしまいました☺️ 神様の裁き(Je vous rend mon àme)も美しかったです。

ロミジュリの乳母も大好きでしたし、退団とてもさびしいです。他のミュージカルでもたくさん活躍しているところを見られたら嬉しいです😌✨

 

瀬央ゆりあさんのアルトワはかっこよくてお話が変わる危険性があるビジュアルですが、ちゃんと嫌なやつです。

私は神だ(Je suis un Dieu)って仏版だとラマールちゃんが歌うんですよね確か。ポンコツラマールちゃんが「私は神だ」って歌うのが笑えるっていう雰囲気だったけれど、日本ではもっぱらアルトワ楽曲ですよね。この辺の背景はちょっと気になります。歌詞はそのままなのかしら?🤔 東宝版だとアルトワがオランプに催眠術をかけたりして「オランプがピンチ!」って感じなんですけど、今回の場合は瀬央アルトワはそこまで躍起になってないし、なにしろ相手があのひっとん演じるオランプなので危ない雰囲気は全然なかったのが面白かったです。

瀬央さんも専科に異動で星組からいなくなってしまうんですよね。。。ううう悲しい😢 星組でRRRって聞いた瞬間、ちょっと微笑んでわざと倒れる瀬央さんラーマを見て客席がなぎ倒されるやつ!!って思ったのに、そのあと異動のことを思い出してしょげました。

 

瀬央さんというか2番手あるあるだと思うんですけど、本編では悪役的ポジションでメインカップルの行く手を阻むのに、フィナーレ冒頭でメインカップルの歌を歌いあげるみたいなやつめっちゃ面白いですよね。ロミジュリだとティボルト役者が「バルコニー」を歌ったり、今回は二度と消せない(Tomber dans ses yeux)だったかしら?逆に男役群舞が「私は神だ」だったのも面白かったです。

 

暁千星さん(以下、ありちゃん)のデムーランは、とにかく歌声がでっかくて上手くてものすごかったです。声量がおかしい!!ありちゃんが歌うたびに毎度毎度驚いちゃいました。でもそうですよね、ありちゃん、みんな声がでっかい月組からやってきたんですもんね☺️☺️☺️

 

極美慎さん(語呂が良くていつも敬称略で呼んでます。すみません。)のロベピは、ビジュがあまりにも好みで死でした。まじで極美慎、美しすぎる。今回は前髪の立ち上がり方とシルバーっぽい色味のお衣装が天才でした。暗めの髪色も似合いますね素敵です。歌声をしっかり聴く機会が少なかったので、判断材料があんまりないんですけど、歌も上手くなってらっしゃる気がする。腹から声!って感じが良くて、誰のために踊らされているのか?(À quoi tu danses?)もかなりかっこよかったです。謎ボディクラップもキラキラ革命家軍団がやると眩しい。

 

1789はプリンシパルの曲数が結構均等なので、どの役を何番手の方がやるのかな、と気になっていて、私はありちゃんと極美慎が配役逆かなと思っていたんですけど、担当楽曲的に今回の配役で良かったなと思いました。いや見られるなら見たいですけどね、ありちゃんのロベピも極美慎のデムーランも。

 

あと小桜ほのかさんのソレーヌの地声の張り上げがいい感じだったのでJe veux le mondeのカットが悔やまれたのと、エトワールの詩ちづるさんの高音が美しかったです。詩さんビジュもばちばちにかわいかったです👀

 

Je veux le mondeの日本における扱い

そう、1789を語る上で避けては通らないのが世界を我が手に(Je veux le monde)問題ですよね。今回の上演だとまるっとカットされてしまっていてとても悲しいです。

仏版だとソレーヌが女たちを率いて歌うシーンになっていてとってもかっこいいんですよ。ヴェルサイユ行進を想起させるシーンでもありますし(バスティーユ襲撃は7月で、ヴェルサイユ行進は10月なので直接的にヴェルサイユ行進を描いているわけではないんですけど)、革命における女たちの活躍を示す重要な楽曲だと思うんですよ。。。それをカットするなんて。

いや、わかるんですよ。宝塚の上演形態上、女性役の3番手にあたるソレーヌのソロ曲を2曲設けるのは難しいんだろうな、とか。それでもやっぱり悲しいもんは悲しい。

まあ、楽曲終わりに男たちが出てきて「感情的な女たちを諫める」っていう展開にした東宝版を思えば「ないほうがまし」とも思えてきてしまいます。聞いてるか!小池修一郎

MAのヴェルサイユ行進も「女たちは金でオルレアンに買収されたから行進した」っていう話になってるし、日本ミュ界隈におけるヴェルサイユ行進の扱い、全体的に酷くない?

女性の革命への貢献と、人権宣言の「人」に女が含まれていないことへの怒りが、革命を描いたミュージカル作品に全然反映されていないのはなんでなんだろう。頭の中でThe Schuyler Sistersが流れはじめちゃう。こっちはアメリカの話だけども。

ただ、今回の公演ではフィナーレの娘役たちがトップを囲む場面でこの曲が使われていたのは面白かったです。一瞬「え?なんでこの場面で?」とも思ったのですが、娘役たちに囲まれているのは男役=女性であることを思うと、なんかこう、それはそれで「ありでは?!」とは思いました。

 

仏ミュ×宝塚 相性が良い!

仏ミュってポップス・ロック調の軽めの音楽とショーアップされた場面によって生まれる不思議な高揚感が特徴だと思っていて、その特徴と宝塚って「抜群に相性がいいんでは?」と今回感じました。だってどんな悲しい演目のあとにもミラーボールが回る華やかなフィナーレがあり、客席をものすごい高揚感で包み込んでくる劇団ですよ。

仏ミュのユニークな照明の中で派手な衣装を着たダンサーがとにかく踊りまくる圧倒的なスペクタクルを日本でやるなら宝塚が最適解じゃんか、と大人数で舞台上を埋め尽くす豪華な群舞を見ながら思いました。後半は正統派の「コスチュームもの」色が強くなりつつも、Je mise toutヴェルサイユとクラブが融合したような空間であったりに仏ミュ特有のトンチキ感もあって楽しかったです。

それから1789関連でよく話題になる、ロナンからオランプへの「お礼のキス」問題も、宝塚のトップ2人が演じて、2役が恋愛関係になることがほぼほぼ確約された共有認識ができることで、嫌な感じがしなくなるなと思いました。これもまた宝塚での上演だからこその利点ですね。

 

それにしても、今回書き下ろしの「愛しあう自由」に加えて「革命の兄弟」も「武器を取れ」も日本のために書き下ろされた楽曲なんだよな、すごいなと思いつつ、それだけ日本がアチアにとって「太客」ということなんだろうなと思うなどしました。1789の仏語wikiには、仏版、宝塚版、東宝版の違いが結構しっかり記述されていそうです。翻訳機能を使いながら今度じっくり読んでみようと思います。

 

星組関連】

星組さん、座組がとても好きなところに私の好きな題材とか演目とかばっかりやってくれるからそりゃ好きになるのよ。

 

【宝塚関連】

 

【ドーヴ・アチア関連】

今年秋には『LUPIN』年明けにはジョジョミュもありますよ!楽しみ!!