昨年の夏ぶりのMR!でした〜🌟 今回は日本語翻訳上演ということで、原語での上演のWEの話を出しつつ、訳詞だったり客席の雰囲気の話もすると思います。もちろん今回の素敵だった演者さんたちのことも書きます!↓ WEでの観劇レポ。
作品・公演概要
Moulin Rouge! The Musical
音楽スーパーバイザー:Justin Levine(ジャスティン・リーバイン)
音楽プロデューサー:Matt Stine(マット・スティーン)
脚本:John Logan(ジョン・ローガン)
初演:2018年 ボストン
2019年 BW
劇場:帝国劇場
日本語版台本:瀬戸山美咲
BW版のレプリカ公演
当日のキャスト
サティーン:望海風斗
クリスチャン:甲斐翔真
ジドラー:松村雄基
ロートレック:上川一哉
デューク:伊礼彼方
サンティアゴ:中井智彦
ニニ:藤森蓮華
ラ・ショコラ:菅谷真理恵
アラビア:MARIA-E
ベイビードール:シュート・チェン
皆さんかっこよかったです!!!!詳しくは「キャスト中心感想!」のところで書きますね~!
MR! と私
私はMR!が決して嫌いじゃないし、楽しめるし、毎日のようにOBCを聴いてるから歌はほぼ全部歌えるんだけど、好きなミュージカルかって聞かれると『・・・いや、そういうんじゃない』って答えるやつです。音楽面(選曲・編曲)と視覚面(振付・衣装・舞台美術)は大好物なんだけどな、メインプロットがな、いや悪いってことはないし、嫌いとかでもないんだけど、私の興味を惹かないラブロマンスなんだよな。
私が本格的にミュージカル沼に落ちたのは、「レミゼ映画→MR!」っていう流れがあったからだし、他のミュージカルのOBCと比べたら圧倒的にたくさん聴いているけれど、物販のトートバッグは「テーマが私っていう人間に合わないから持てない!」って買えずにいます。どの作品のトートを持って歩くかってわりかし思想が出るじゃん(ちなみに私はJCSとSIXのトートで歩いてます)。そんな関係です。
訳詞問題はどうなったか
MR!の日本公演が発表されたときにまず思ったのが「訳詞どうするの?そもそも訳すの?」っていうポイントで、17人のアーティストが1曲ずつ訳すというのが発表されたときにも「ミュージカルの訳詞に慣れている方に任せなくて大丈夫なのかな・・」と不安に思ったりもしたんですけど、実際に観劇してみると訳詞はあんまり気になりませんでした。とういうのも、ほぼ聞き取れないんですよね(良いか悪いかは別として)。
アップテンポで派手なナンバーになればなるほどそれは顕著で、英語詞を残しているパートだけが明確に聞こえてくるっていう感じでした。「Burning down the house」とか「Shut up and dance with me」とか。でもMR!に関しては歌詞が聞き取れなくても物語から置いていかれることはないですし、スペクタクルに圧倒されてオールオッケーになる感じがあります。
気になったところがあるとすれば、やはりYour Songの「気にしないで~気にしないで~ただ受けっとて~」とElephant Love Medleyの「2人はヒーロー」かな。後者は特に「We can be heroes Just for one day」って聴こえてきたら「ボウイだな~」って受け入れられるけれど、「2人はヒーロー」って来ると「なんで突然ヒーローに?何をもってヒーローになるんだ?」っていう戸惑いが生まれて、ジュークボックスミュージカルの翻訳の難しさをひしひしと感じました。Fireworkとかも普段何気なく聴いていて考えたことがなかったけれど原語の時点で歌詞がミュージカル的に機能しきれていなくて、いまいちサティーンの気持ちがわからなかったので、こういった部分は訳詞を聴いてはじめて気が付けたことでもあります。あとあれだCome What Mayが「愛してる」になるのはちょっと寂しく感じた。いや、仕方ないんだろうが。寂しいもんは寂しい。
私の耳が慣れたからかもしれないけれど、2幕の楽曲は結構訳詞がはまっていたように思いました。Backstage Romanceとかは特に、訳詞が英語詞の音の響きと近い感じがして聴きやすかったです!ラランドのサーヤさんの担当箇所だ!
あと、これは次に書く「メタな笑い」にも関係してくる部分で「日本語に訳されていると原曲がとっさに連想できない」っていうのは予想以上に強く感じました。MR!で使用されている楽曲はアメリカでヒットした曲ですし、元の曲をあんまり知らない人には(OBCを聴き始めたばかりのときの私がそうであったように)新たなメロディに出会う楽しみがあるんですけど、「ヒット曲なら洋楽も知ってるよ」っていう層は、訳詞になると元の楽曲に気が付かないかもなと思いました。普段楽曲を聴くときに「音楽」と「歌詞」をどれだけ拾うかの比重も関係してきそうですね。私は観劇しながら自分が思ったよりも「歌詞」に傾きながら音楽を聴いていたことに気が付かされました。知っているはずの使用楽曲が全然思い出せなくて。
「メタな笑い」が起こらないMR!
「メタな笑い」っていうのはWEでMR!を観劇したときに感じたもの。WEの観客は「自分が知っている曲が歌われること」を面白がっていたんですよね。登場人物たちがあたかも自分の感情であるかのように既存のこてこてのヒットソングを歌っている状況が笑えるみたいで。「デュークはローリング・ストーンズと来たか!笑」みたいな感じ。OBCから入って元の楽曲の知識もあまりなかった私としては「そこで笑いが起きるんだ?」っていう驚きがありつつ、でも元々知っていたChandelierの「one, two, three, one, two, three, drink」 に合わせて酒をあおるクリスチャンは流石に笑えたり。
あと、モンマルトルでロートレックとサンティアゴと机を囲むクリスチャンが突然顔を上げるとスポットライトが当たって、第四の壁を破って観客に話しかけるシーンとかも結構笑いが起きていて、そんなところからMR!は「音楽・スペクタクル・メタな笑い」の3本柱でできている作品っていう認識になりました。
WE観劇記でも書いた通り、翻訳上演にあたって、文化圏の違いからメタな笑いがなくなることは想定していました。そう、想定してはいたものの、クリスチャンが「タイトルはボヘミアン・ラプソディ!!!」って元気いっぱいに言い放った後で静まりかえる客席に「お、おう」となってしまいました。Queenは日本で人気があるし、そもそも日本の観客は私も含めてあんまり笑い声をあげないわけなんだけど、なんか猛烈にさびしくてだな!!!誰に非があるわけでもなくただただ物悲しい雰囲気になってしまったよね。
他の場面でも「メタな笑い」が起こることはなくて、そうなると作品がやたら真面目なラブロマンスになってくるんですよね。音楽面の面白さも訳詞によって目立たないとなると、そこに残るのは最高のスペクタクルと(私にとっては退屈な)ラブロマンス。視覚的には常に楽しいけれど、やはりどこか物足りなさを感じてしまいました。
こんなことを書くと「原語版だけを見ていろよ」と言われてしまいそうですが、そうではなくて、翻訳上演を見たからこそ新たに考えられたこともあるし、それに大好きな俳優さんたちが演じるMR!を見られたことは嬉しいので、これはありがたい上演なんです!愛する気持ちと批評精神は両立するので。
キャスト中心感想!
甲斐クリスチャン
めっちゃ「クリスチャンだー!!!」って思いながら見てました。私の中のクリスチャンのイメージど真ん中って感じ。大型犬オーラ満載でかわいいんだけど、それだけじゃなくて厄介で面倒臭い感じと青臭さと甘さとのバランスが素晴らしかったです。WEで見たJamieクリスチャンも大型犬系だったんだけど彼はもうちょっと頭がぱやっととした感じのお花畑男だったのでね。
そして闇堕ちが最高なんだなーーーー!!!!Crazy Rollingの「どうやって連れ去ろうか」のところはちゃめちゃに悪い顔してて「誰!?かわいかったクリスチャンどこ行った?」ってなっちゃう勢いだったんだけど、Elephant Love Song Medleyとかの時点でしっかりかわいいだけじゃない雰囲気も見せていたからちゃんと役柄が直線上にあって「ああ、この男は愛ゆえに暴走するタイプだ」って思えるんですよね。でもやっぱりギャップはものすごくて、テンションがぶち上がりました。絶対ぴったりハマるとは思っていたけれど、2幕で本当に期待を超えてきて。これで音圧がパワーアップしてきたら本当にありがたい。これからの日本ミュ界をよろしく頼むね(年上に言う台詞じゃない)。
望海サティーン
The Sparkling Diamondsからとっても華やかで「流石トップスターだ」っていう輝きでした。表情とか身体のちょっとした動かし方とかがすごく魅力的なんですよね。あと瞼を少し重く見せる感じの笑顔、あれすごいセクシーで大好き。音源聴きながらも思ってたけど、だいもんが歌うとより一層ダイヤモンドがだいもんに聴こえてきて面白かったです。「だいもんはフォーエバー」って。
だいもんサティーンは、クラブとそこで働く仲間を守ろうとする姿が印象に残っています。多分「強くあろう」と思えばそれなりに「強くなれてしまう」人間で、でもそれがクリスチャンとの関係の中でどんどん剥がれ落ちて崩れ落ちていく感じがとてもよかったです。ジドラーやニニたちの前で「もうできない」って言ってカウチに座り込むところが良かった。あのシーン、サティーンを擁護するためにジドラーに対してレディM'sがやいのやいの詰め寄るのも好き。
そしてサティーンとジドラーの関係も好きよ。「私のお葬式で下品な歌うたってね」って、本当に心を許した人間にしか言えないやつね。それに対するジドラーの「とびっきり下品な歌をうたってやる」も良いし。
後半の結核の症状が悪化していくところのお芝居もすごかったです。本当に舞台上でどんどん痩せてやつれていくように見えるんですよね。不思議だ。だいもん。
伊礼デューク
待ってましたーーーーー!!!!もうずっと「公爵は伊礼さんロールすぎるからキャストにいなかったらどうしていいかわからん!」と思っていたので、無事キャスティングされて、そして公演を見られて嬉しかったです。
扮装もはちゃめちゃに似合うで冒頭の「Don't you think I'm so sexy I'm dressed so flesh so clean」にものすごい勢いで頷きたくなるし、私は今回のMR!はスペクタクルを楽しみに来ている部分が大きかったので公爵のお金パートに劇中1番の共感をしてしまいました。あんなゴージャスになった帝劇を見せられたら「わ~お金ってすげえや」ってなるもん。
Sympathy for the Dukeも良かったです。「自己紹介からはじめよう」の時点でありがとうございますっていう感じでした。「It's just a kiss away~!」の高音も流石でした。WEで見たときはデュークが予想以上にコミカルで笑いをとるような場面が多かったのですが、伊礼さんのデュークはあまり表情を動かさず、落ち着いていて底が知れない恐ろしさみたいなものが全面に出ていて、そこに「爵位」が感じられて好きでした。でも、So Exciting! でコートがサンティアゴかな?の腕の下敷きになってそれを取ろうと必死でひっぱる場面とかはおもしろかわいかったです。
そしてデュークからはサティーンへの愛が全く感じられなくて、完全に「所有」だけを目的にしているのも面白いなと思いました。なんとなく伊礼さんロールってメインヒーローと恋仲の女を好きになってしまって暴れているイメージがあるから、別に愛に狂ってはないっていうのが新鮮でした。← これはたぶん『キングアーサー』のイメージなんですけど、それに関連して今回のだいもんと伊礼さんの強強な並びを見ながらちょっととうこさんモルガンと伊礼さんメレアガンの並びの強さを思い出しました。
あとカテコですよね~!!!あれはずるいじゃんね!?個人のレベランスのところで伊礼さんが謎のハイキック(あんまり脚が上がってない笑)をかましたかと思ったら、次に出てきた上川くんが完璧なキレのハイキック(流石キャッツ役者)を出してきたのに爆笑しました。最後の強制ラインダンス(私あれ大好きなんですよね、男も女も関係なく強制カンカン)では、だいもんと上川くんに挟まれて一生懸命脚をあげる伊礼さん(でも1人だけめっちゃ脚低い)がかわいいし、上川くんがすごい笑いかけながらサポートしてあげてるのも面白くて、笑いが止まりませんでした。
藤森ニニ
もうかっこよすぎてニニが出てくるたびにオペラグラスが吸い込まれてしまいました。元々ニニとサティーンのシスターフッドは好きだったんですけど、蓮華さんのニニを見てさらにニニを好きになりました。クールで率直な物言いがかっこいいし、踊りも好みだし、筋肉もかっこいいしで最高でした!
Lady M's
メンツが強い!!!菅谷さんとMARIA-Eちゃんがいたらそりゃ歌は強いですし、シュートさんは『キンキーブーツ』でも鬼のハイヒールを履いて踊ってらっしゃった方なのできらめきがすごいんですよね。そこにぶっ刺さった蓮華さんニニが入るわけじゃん。楽しすぎました。このメンバーのLady Marmaladeはしゃかりき踊っている感じがまぶしくて、パワフルなLady M'sでした!
あと今回見ていて気が付いたのが、ニニとアラビアのハードワークね。2人はLady Marmaladeのあと早替えしてカンカンに加わって、そのあとまた着替えてLady Marmaladeパートに戻らないといけないんですね!なんてハードワーク!とびっくりしてしまいました。
松村さんのジドラーも中井さんのサンティアゴも上川くんのロートレックも愛らしい雰囲気で素敵でした。ロートレックの「俺みたいな欠陥品じゃ」っていう台詞にはしんみりしてしまいますね。
そんな感じでみなさんキャラクターにはとてもハマっていたんですけど、音域はあんまりしっくりきていない感じで。サンティアゴとロートレックは低音が大変そうで、サティーンとクリスチャンは高音がきつそうでした。デュークもキーがもうちょっと高い方が得意だよなって感じ。皆さん実力があるのでそれなりに対処してらっしゃるんですけど、音域がハマっていない感じはありました。MR!はダンスもある分、いろいろ兼ね合いがあるのかもしれませんね~
機材トラブル発生の記録
最後に、今回発生した機材トラブルの記録をしておきます。ここまでの公演期間も何度かトラブルが起きて公演が一時中断になっていたと思うのですが、私が見たこの公演でも一時中断になりました。
Come What Mayのあと「Champs-Élysées」の幕が上手く降りてこなくて上手側から舞台奥が見えてしまう状況になっていて「どうするかな?」と思っているとしばらく間があいたのちアナウンスが入って中断となりました。体感では10分弱といったところでしたが、本当は5分くらいかもしれません。Come What Mayのあとのロートレックパートが終わったときに大きな音がしたというツイートも見かけたのでそこで何かトラブルが起きたようです。
「Champs-Élysées」の幕に当たっていた照明は中断の間は1度切られていて、再び照明が点くとアナウンスが入って再開しました。赤いドレスを着たサティーンが「ずいぶんお待たせしちゃってごめんなさい」と言ってデュークが「君のためならいくらでも待てるよ」というのは普段はないアドリブでしょうか?あと、2幕が始まる前にハートの照明の上手側が点灯していなのは、あれは演出なのかな?とか。色々と次回の観劇時に確認しようと思います!ちなみに終演後も松村さんから軽くご挨拶がありました。
今後も大きなトラブルにならずに公演が進みますように。
そんなこんなで色々と書きましたがとても楽しかったです。Backstage Romanceとカテコでぶちあがって幸せな気分でした。
来月はあーや×芳雄さん回を観劇予定です!楽しみにしてます~!!
【だいもん&かいしょーま関連】
N2Nまた見たいな。。。
来年1月は『イザボー』で再び親子を演じるそうで、しかも今度は敵対する親子らしいです!楽しみだ~!!!
【伊礼さん関連】
MR!後の作品ってまだ出てないですよね?はよ知りたい。