Mind Palaceがない代わりに

ミュージカル観劇レポの保管庫です

変わるべきは自分じゃない『シュレック・ザ・ミュージカル』トライアウト公演 8/15 S プレビュー感想

地獄系ミュージカルを主食としており、コメディ作品はいつも楽しめるか不安になるのですが、そんな心配は杞憂でした。とても楽しかった!!ちなみに私はシュレック関連作品に触れるのは今回が初めてでした。

f:id:yadokarinko:20220816201700j:image

作品感想

作品自体も面白かったんですが、その前に「普段からこういう配役で作品を見せてくれーーーー」という気持ちが爆発しました。みなさん歌唱力は当たり前に高いし、キャラクターの表現も素晴らしい。spiさんはご自身でも「日本でシュレックやるなら俺しかいないんじゃないかと思っていた」とおっしゃていた通りのハマり役でしたし、ドンキーの吉田さんは台詞のハイテンションなテンポ感も歌唱も素晴らしい。そして私は福田さんのフィオナが大好きでした。歌もお芝居も最高なんですよ。

その役を演じるのに必要なものを備えている人がきっちり配役されている、というのは本来であれば当然なはずですが、残念ながらそれができていない作品が私が見た中には多くあります。集客力とか事務所の力とかいろいろあるんでしょうけど、観客(少なくとも私)が見たいのは今回のようなキャスティングなんですよ!!!今回の公演は全キャスト完全オーディションの形を取っているそうです。

 

私が今作で好きだったところは「ありのままでいいんだ」という話で終わらずに「変わるべきは私ではない、周りこそが変わるべきなんだ」という価値観を打ち出しているところです。「ありのままでいい」というテーマは大切だけれどだいぶ世の中にあふれてきていると思うのですが、「お前らこそが変われ!俺を受け入れろ!」と直接訴えかける作品はまだ少ない気がします。変わり者だと排除されてきたおとぎ話の登場人物やシュレックたちがこのテーマを歌い上げる様子は見ていて爽快でした!こういう主張が子どもたちが触れやすいアニメーション原作のミュージカルでなされるのは大事ですよね。ボブミュも政治的ですごかった。

登場人物たちはみなコンプレックスを抱えていて、シュレックは自身の種族、フィオナは性格と呪い、ファークアード卿は見た目、(ドンキーはしゃべるロバという特殊な存在だけれどコンプレックスには思っていないか笑)、それをまず自分で受け入れること、それができた者は相手のコンプレックスを受け入れることができるし、自分を受け入れてくれる相手にも出会えるという話になっているのもよかった。ファークアードは自分のコンプレックスを受け入れられなかったし、排除された側の苦しみを知りながら自分もまた排除する側に回ってしまった人として描かれているのもいい。

今作は教訓に満ちているけれど、それを全面に押し出し過ぎないという点でもよかったな~と思います。

 

舞台美術は本型の背景と書き割りのセットに映像を投影する形。チープな印象ではあるけれど、作品が始まってしまえばアニメーションらしい物語の世界観にも合っていていい味を出していました。

 

最後に、ドラゴン役の須藤香菜さんの歌唱が最強で心を鷲掴みにされたことを書き残しておきます。これからあらゆる公演のキャストが発表される度にお名前を探すことになりそうです!!!!!

 

書き忘れていた、今回、台詞中の拍手や曲中の手拍子がやたら多かったのが少し気になった。盛り上げるのはいいんだけれど、曲が終わりかけているタイミングで手拍子が始まってしょんぼり終わったり、逆に盛り下げているような気がしないでもない瞬間が多かった気がする。

 

ブリリア見え方・聞こえ方の記録

今回はご縁があって、1階H列サイドブロックで観劇しました。サイドブロックであることや前が両方女性だったこともあり視界的な問題は特になく、スピーカーの真ん前なので音響面もそこまで気にならなかったです。いつもは聞き取れない大人数で歌う曲の歌詞もおおむね聞き取れました。

 

アフト

印象に残ったところを書き残します

ハンドマイクがなかなかちゃんと機能しない状況を受けて

spi「地声で行くかーーーーーー!」

かっこよかったです笑

 

spiさんがオーディションを受けた経緯について

幼いころからスポンジ・ボブやカートゥーンネットワークのアニメーションを見て育った経験などがあり、「自分しかいないでしょ」となったそうです。

 

好きなシーンについて

吉田さんはドラゴンの登場シーン。頭と羽のパペットを演者さんが動かしているのを観客の想像力で補完してドラゴンを出現させるというところが好きだそうです。私もああいったシーンは好き!

spiさんは3世代のフィオナが塔から助け出される日を待ち続ける楽曲、I Know It's Todayのシーンで稽古場で見たときには思わず泣いてしまったそう。

私もこのシーンがとても好きでしたー!!

 

この記事を書くにあたって曲名が知りたくて今OBCを見たらフィオナを演じたのがサットン・フォスターだと知りびっくり!この後音源聴いてみようと思います~

ジルーシャの言葉に魅了されっぱなし『ダディ・ロング・レッグズ』8/14 M 初日感想

なかなかチケットが手に入らず(1回何かの先行寝坊したので自業自得でもあるけども笑)、行けないのか😢と諦めかけていましたが、フォロワーさんがシアター1010公演のU25チケットが発売されるとの情報をリツイートしてくださり、友人がそれをLINEに送ってくれて、チケットを手にすることができました〜!フォロワーさんと友人、ありがとうございます🙇‍♀️💕💕

f:id:yadokarinko:20220816154515j:image
というわけで行って参りましたシアター1010北千住駅直結でエレベーターを使って劇場のある11階まで上がることができます。U25チケットの引き換えは10階にある受付ってところだったので、エスカレーターで1階分下りました〜

作品感想

まだまだ本数を見れているわけではないけれど、私はどうやら少人数の登場人物の関係性を掘り下げるようなミュージカルが好きなんだなということがわかってきたところでして、解禁があった時からずっと楽しみにしてきた公演でした。まずは無事に見られてよかった😌そして期待通り素敵な作品、パフォーマンスでした。

 

お金持ちの寄付者の男性と彼の援助を受けた才能ある女性の恋愛関係って一歩間違うと受け入れ難いものになってしまうと思うのだけれど、作品そのものも配役もパフォーマンスもちゃんと気配りがされていて、心穏やかに見られました。と言いつつキスシーンにはそれなりに動揺してしまったよね😂 2人の関係は恋愛関係に終着しなくてもよかったのではと思わなくはない。というか、お互いへの愛は家族としての愛だと思って観劇していたから恋愛関係にたどり着いて少しびっくりした〜。私は友情至上主義者なのでとびっきりの親友として着地してくれてもいいのよなんて思ったりもする。

 

ただ、2人の関係性はとても素敵だと思ったし、ジミーへの嫉妬からジルーシャに対して支配的になっていったジャーヴィスをジルーシャがしっかりと突っぱねたところなんかがとてもよかった。秘書にもっと早く打つように伝えないとって台詞も好き。

 

でも何にも増して、ジルーシャの手紙の内容が面白くて面白くて。文筆家を目指す彼女の才能がしっかり感じられる言葉に溢れていていました。特にThings I Didn't Knowの歌詞が好きだった。ヘンリー8世が何回も結婚したことも人間の先祖は猿だということもエデンの園が存在しないことも知らなかったというように、ジルーシャが知らなかった事柄が並べられていく。そのセレクトも面白いけれど、彼女が知らなかった事柄の当たり前度合いにはかなりばらつきがある。そこにも彼女の知らないことが途方もなく多いことが感じられて面白かったです。

 

「神を受け継がなくてよかった」という話もよかったな〜。ジルーシャには親がいないから、優しくて寛大な神様を自分で持つことができるんだと。発想も面白かったし、そこで使われた形容詞が序盤にダディを表す言葉として使われていたようにも思ったんだけれど記憶は曖昧です。農場の夫妻は彼らが信仰する神よりもよっぽど善良だという意見を本人達にぶつけて気まずくなるのも面白かった。

 

それから、ジルーシャの政治をめぐる発言もよかった。まだ女性参政権がない時代に彼女は、自分たちに参政権を与えないなんて国はとんでもない無駄遣いをしていると言い切る。原作が出版されたのが1912年とのこと。筆者の怒りを感じられてよかったです。他にもジルーシャはフェビアン主義者になると言い切っていたり政治的な立場をどんどん表明していく姿もかっこよかったです。ジルーシャという役は私の中でかなり好きなミュージカルキャラクターになりました。

 

ジャーヴィスの台詞で1番好きなのは「支援した側とされた側には感謝というどちら側からも越えられない高い壁ができてしまう」という内容の箇所。支援した側からも越えられない、ということは意識したことがなかった。ジャーヴィスは彼がダディだと知られることで壁ができることを恐れて名乗り出ることができない。対してその壁を越えるために支援金を返済し、孤児院の理事になりダディに会いに行こうと考えるジルーシャ。賢いからこそ「壁」の存在を認識してそれにがんじがらめになるジャーヴィスと同じく認識したうえで対処法まで考えついて行動に移すジルーシャ。この関係性とても好き。

萌音ジルーシャ

歪みのないまっすぐな声が心地いい。彼女の声で発せられる聡明でウィットに富んだジルーシャの手紙が面白くて魅力的であっという間に心を掴まれました。歌唱は序盤はもう少し声量欲しいなと思ったりもしたのだけれど曲が進むごとにどんどん歌声も伸びてきて素晴らしかったです✨ 歌声も澄み渡るように綺麗で素敵。

 

序盤の声での演じ分けがうますぎて、録音した他の方の声を流しているのかと本気で思って口元確認してしまった😂 もちろん萌音氏がその場で発してました。凄すぎる。いたずらっ子のような笑顔とあふれ出る好奇心が子供らしい一方で、自分と社会の未来を真剣に考えて行動に移していく姿には自立した人間としてのかっこよさがあって、それらが合わさってとても魅力的なジルーシャになっていました。大好きだったわ~!!!

芳雄ジャーヴィス

とても素敵だったな〜。安定に歌がうまいのはもちろん、ガイズでの華とはまた違った繊細な魅力に溢れたパフォーマンスでした。ここ数ヶ月で芳雄さんの凄さを実感させられまくりですね。

 

ジルーシャの手紙を読んで好奇心を掻き立てられまくってニヤニヤしているところやジャーヴィ坊ちゃまとしてジルーシャの前に現れるときのお茶目な動きだったりにとてもわくわくさせられた。手紙に自分のことが書かれたときのリアクションもいちいち面白くて最高でした。

そして私は芳雄ジャーヴィスの「弱さ」がとても好きでした。好奇心でぐいぐい進む萌音ジルーシャに常に主導権を握られっぱなしでタジタジな芳雄ジャーヴィスという構図がしっかりしているから安心して観劇できる。チャリティで目に涙を浮かべる姿がとても印象的だった。

カテコ

ずっと笑わされっぱなしでした😂 中でも好きだった箇所を。

 

も「芳雄さんはパンフレットの写真を10年ぶりに撮り直して」

よ「別に若い頃の写真じゃなきゃダメとか言ってたわけじゃないですよ!でも今回新しく」

も「全然違いますもんね」

よ「突然の悪口??笑笑 あれだよね、渋みが増したみたいな〜」

「自分で言っちゃったよ笑笑」

 

開演9分後という謎タイミングで初日おめでとう連絡を芳雄さんにする坂本真綾さん笑

 


芳雄さんによれば、萌音氏の出演は急遽決まったそうで

よ「千と千尋終わってゆっくりしたかったろうに、どうして出てくれたんですか?」

も「私、この作品初演も見てるんですよ。この前の公演も見てるし、DVDも持ってるし」

よ「ファンだね」

も「ファンだからです」

 

入場者プレゼントをいただきました🎁

入場時にはクリアファイル

f:id:yadokarinko:20220816154622j:image

退場時にはミルキーの箱

f:id:yadokarinko:20220816154649j:image

【追伸: 配信を見て】

とっても素敵な台詞だったので書き留めておきたい!と思っていた箇所を配信で確認できました。

言っておきますけどダディ、我々女性が全ての権利を手に入れたとき、あなた方男性はそれらの権利を失わないように注意しなくてはダメよ。

 

もしも女性が参政権を持ったら、私は尊敬に値する有権者になれると思いません?先週21歳になりました。この国は酷い無駄遣いをしているわ。こんなにも正直で、(教養があって、)良心的で、(知的な)私のような市民を打ち捨てるのだから。

(あ、それで思い出した。昨日の教会でジョージアから来た説教師がこう言ったんです。私たち女の子は女性らしさを犠牲にしてまで知性を発達させることがないよう注意せよって。) 毎度のことよ、いったいなぜ彼らは男子校へ出向いて行って知性の使いすぎで男性らしさを台無しにしないようにって忠告しないのかしら。

 

ねぇ、私も社会主義者になると思います。構わないでしょ、ダディ。おそらく社会主義者であるべきなのよ。確実に無産階級の人間ですから。じゃあダディ、♪おやすみなさい。楽しみだわ〜どんな社会主義者になろう〜。

作品としての完成度を追求してほしい 音楽劇『スラムドッグ$ミリオネア』8/11 M 感想

ご縁があって行ってまいりました~!

f:id:yadokarinko:20220824155638j:image

私はふうかちゃんが笑顔で踊る姿を見られたのでそれなりに満足なのですが、作品としてはうーんと思っているのでそれを踏まえて読んでいただければと思います。映画も未見です。

 

お話自体は面白いと思う部分も多かったんですが、音楽劇にする必要はあったのかなとう疑問が浮かびました。多分物語の舞台がインドだからインド映画の歌って踊る世界観を反映させたかったのかなと思うけれど、その割には音楽が活きるシーンであったり、歌唱シーンはかなり少ない。また、音楽劇と銘打たれているけれど、登場人物が心情を歌うミュージカル的楽曲が多かったので、インド映画的シーンを追加して音楽劇として見せるか、心情を歌う曲を増やしてミュージカルに寄せるかした方が楽しいような気がしました。

また、演出意図が全く分からなかったシーンとしてラムの無音ダンスがあります。あれは一体なんだったんだ。。。ラムが苦悩をダンスで表現するシーンがあり、はじめは鳴っている音楽が止まり、無音でダンスが続くという展開。先ほども書いたように今作にはミュージカル的に心情を歌う楽曲があり、高まった感情は歌唱で表現するという形を取るんだなと思っていたんです。それなのに突然ダンスのみで感情を表現しますという風に表現形式が変わると一貫性がないと感じました。途中から無音になることにも意図を感じられず、おそらく作品にとってそのシーンが必要だったのではなくただ無音ダンスシーンそのものを挿入したかったんだろうなと思ってしまいました。そしてなんだか悲しくなってしまいました。

似たように不自然に挿入されていると感じた要素がラムとシャンカールが逃亡するシーンのパルクールです。パルクールシーン自体は楽しく見ることができましたが、こちらは不自然に長い尺で、途中から「パルクールをしている主演俳優を見せる」という意図ばかりが前面に出てきていてうーんそれはどうなのと思ってしまいました。

主演俳優さんを見ることを主目的にしている方もいるかもしれないけれど、主演俳優の見せ場を作ることと作品としての完成度、私は後者を優先すべきだと思うし、作品としての完成度が高いほど主演俳優さんひいては出演者の方々が輝けるはずだと思います。屋良さん村井さんの子ども演技がとても素敵だっただけになんか演者さんたちが損してしまっている気がします。

【WE観劇記1-5】「言葉」のアンジョルラスとの出会い Les Misérables 7/31 M 感想

WE観劇旅行の締めはレミゼでした。

f:id:yadokarinko:20220818002447j:image

このあとロンドンからパリに渡って観光して帰ったのですが、そこで新たに出来たフィリピン人の友達に「何見たの?」と聞かれたので、「レミゼムーランルージュと〜」と答えたら「両方パリじゃん笑笑」と言われたし、そのあと咄嗟に口に出たのもオペラ座「それもパリじゃん笑笑」って言われたのがめちゃくちゃ面白かったです。ロンドンにいながら意図せずパリに近づいていた😂

 

チケット購入までのあれこれ

MR!同様にやはり当日になると公式サイトのチケットの価格も下がるようだったので、当日購入することに決めました。

どうせ当日に買うならTKTSを利用するのもありだね〜ということになり、TKTSで売り切れていたら急いで公式サイトで押さえようということに。

12時のオープンに合わせてTKTSを訪れると既に人だかりが。15人くらいが3列に分かれて並んでいました。

時間通りに窓口が開いたのですが、開いた窓口は2つ。3列が合流しながら進むことになって進みにばらつきが出たので同行者がいる場合は分かれて列に並ぶのがいいかもしれません。

混雑していたので売り切れも覚悟しましたが、無事にStalls J列端のチケットを49.5英ポンドでゲット!公式サイトだとその辺りの席は90英ポンドほどしたのでかなりお買い得でした💕

いざ、劇場へ

レミゼが上演されているのはSondheim TheatreQueen's Theatreと記載されているものもあったのですが、2019年にQueen'sから改名されたらしいです。

f:id:yadokarinko:20220822112215j:image

劇場内にはソンドハイム御大の写真があったり、レミゼ2012年映画の写真があったり。

f:id:yadokarinko:20220822112247j:image

ちょうどアロンジョが隠れるんだが~!なぜ!!

座席からの眺めはこんな感じ。

f:id:yadokarinko:20220822112318j:image

傾斜があまりないので座高ガチャではありましたが、前の人が来なかったので視界良好。それにものすごい八百屋舞台でした。角度がえげつない。

当日のキャスト

バルジャン:Jon Robyns

ジャベール:Richard Carson (Factory Foreman / Combeferre / Fight Captain)

ファンティーヌ:Jessica Joslin (Ensemble)

エポニーヌ:Sha Dessi

マリウス:Harry Apps

コゼット:Charlie Burn

テナルディエ:Gerard Carey

マダムテナルディエ:Josefina Gabrielle

アンジョルラス:Jordan Shaw

グランテール:Connor Jones

ガブローシュ:Max Lester

レミゼオペラ座同様に液晶タイプのキャストボードがありました。もしかしてマッキントッシュが関わっているところはあるって感じ?

感想

はじめましてのキャストで見るレミゼ楽しすぎますね。新鮮!!とにかくアンジョとグランとガブが良すぎたのでその辺の話が長くなるのと、マリウスが面白すぎて腹筋耐久レースだったのでそのお話がメインになるかと思います。

Jordanアンジョルラス

めちゃくちゃかっこよかった。私は結構、神性が高いアンジョが好きなんですが、そういうアンジョって「声」に特徴があると思うんです。声を張り上げなくても喧騒を切り裂いて静まり返らせることができて、時に冷たささえ感じさせるような滑らかな歌声を持っている。そして一単語一単語よりもメロディが先行するイメージがあります。

対して、ジョーダンアンジョは「言葉」のアンジョルラス。単語の重みをずっしりのせてくるんですね。そうするとすべての台詞と歌が演説になる。学生たちと一緒に観客の私も彼の言葉に心を掴まれましたし、なんだろうな鼓舞されるというか、戦うんだという気持ちにさせられるというか。母国語での上演でもここまでアンジョの言葉に心を掴まれるという経験はしていないのでかなり新鮮な経験でした。

加えて、ジョーダンアンジョはカリスマ性もすごい。熱い心を持ちながらも冷静で、厳しさも見せるけれどとても仲間想いで慕われているのがよくわかる。ストイックで厳しいけれど仲間や後輩から信頼されていて愛されている体育会系のコミュニティの長みたいな印象。今回のABCが体育会っぽかったかというとそんなこともないのですが。

言葉で心を掴む姿や仲間たちとの関係性を見ていて彼のアンジョは英雄的なアンジョルラスだなと思いました。確実に人間ではあるんだけれどあまりにも理想的で現実にはありえないような存在。

あと歌唱面でとても好きだったのが、ガブ死の Let others rise to take our place until the earth is free!~の高音をとんでもない拍数伸ばしてくるところ。8拍くらいいってたと思う!!!

Connorグランテール

帝劇に比べるとかなり劇場の横幅が狭いこともあって、割とセンター寄りにグランがいてくれる嬉しさ。私が下手に座っていても上手にいるグランが良く見えるからありがたい。

コナーグランテかわいかったです~。ABCカフェでめっちゃ踊る。謎のステップを踏んでたわ笑 

何よりやばかったのはDWMです。。。。

Drink With Me

まず、Is your life just one more lie?は悲しさが前面に出ていてその時点で泣ける。そのあとアンジョがハグしてくれるんだけれど、Jordanアンジョ、Connorグランの気持ちを全部受け止めてくれてるんですよ。全部わかってるんです。わかってるからっていうハグなんです😭😭😭 そして、グランもアンジョがわかってくれているのをちゃんとわかってるんですよ。思い出しただけで涙目になってしまう🥹見ていて「グランちゃんわかってもらえてるよ、よかったね😭😭😭😭😭」ってなってしまうようなハグでした。

よろよろと上手に向かったグランに後ろからガブが抱きついてくるんですが、もうその時には2人とも失った側の人間って感じがしました。

アンジョを失うとわかっているグランだからこそ唐突にガブまで失ってしまったのがつらくてつらくて。アンジョも比較的早く亡骸をグランに託していてそこもまたよかったな。

そこからのアンジョの崩れ方もものすごくて、完全に頭を地面につけて悔やんでいるのか泣いているのか。Maxガブが全然擦れていない普通のかわいい子どもなのもあり悲壮感が大きかった。そして久しぶりにレミゼを見たこともあってか学生たちが目の前で死んでいくのが堪えました。辛かった😭😭😭

異次元のマリウス

ハリーマリウスのあのクセの強さをどうやって伝えよう~。挙動不審な上に圧が強いからめちゃくちゃ面白かったんですよ。Red & Blackではマリウスが大暴走しすぎてアンジョはどん引き。今まで見たアベセだとグランが盛り上げていくイメージだったけれど、今回はマリウスが勝手に盛り上がっててグランが合いの手を添えるくらいのバランスだった。楽曲全体をハリーマリウスが飲み込んでいた。

プリュメ街あたりも大暴走で、窓に石を投げたあとの動きとかも具体的には何も思い出せないが客席大爆笑だった。Charlieコゼットがおしとやかというよりは好奇心が前に出た演技と歌唱だったことも相まってマリコゼがかなりの変人カップルに見えました。こんなマリコゼみたことない笑 レミゼ見てこんなに笑ったの初めて。ずっと腹筋耐久レースでした。

極めつけはODM。I did not live until today~からのマリコゼ2人のはもりパートでなぜかマリウスが間違った音程で歌い続けるという。あそこってオクターブのはもりだと思うんだがなんで!!!絶妙な不協和音に包まれました。一体なんだったんだ。幕間入った瞬間、友人とODMの音程何事???って盛り上がってしまいました。普段だったら怒っちゃうかもしれないんですけど、もはやずれすぎていて笑えました。

その他いろいろ感想

Jonバルジャンめちゃくちゃかっこいいです。歌声もバチーンと飛んでくるタイプでとても好きでした。すごく強そうなビジュアルなので序盤殴られるところは違和感あった。絶対やり返せる。その点、Richardジャベも体格が良くて声の圧もあるので対決が最高にかっこよかったです。猛獣の戦いという感じでした。BHHの盛り上がりの箇所も素晴らしかったな。

ジャベソロ曲はRichardさんがまさに「話すように歌う」ので、イギリスで演劇見てるぞ~という気分になりました笑 英語の演劇はNTLで見るだけなのですが、シェイクスピア劇の台詞が読まれるときとかって独特のテンポ感というかメロディというかを感じる、私だけかな。。。演劇に明るくないからちょっとわからないんだけれど、そういうのを感じたんですとだけ書いておきます。のちに読み返す私の為に。

今回のエポニーヌ役者さんがあまりベルティングをしないタイプみたいだったのと声量があまりないなという点でOMOは少し物足りなかったです。屋比久ちゃんの歌唱を浴びすぎて耳が肥えてしまったのかもしれない。世界中の人に屋比久エポのすばらしさを知ってほしいから周年コンサートとかに出演してほしい。

それから、出演者の人数が日本版よりも少ないかも?と思いました。舞台のサイズ的に帝劇が広いから増やしているとかなんだろうか。キャストの数を真面目に数えればわかるんですけどね、いつかやります笑

 

映画も周年コンサートも帝劇版も誰かしらよく知っているキャストがいる状態で鑑賞したので、はじめましてのキャストでレミゼを見られたのがとんでもなく楽しかったです。これからも新しいアンジョルラスにたくさん出会いたい!!!!

 

 

【WE観劇記1-4】社交場としての劇場 Moulin Rouge! 7/30 S 感想

BWに行ってアーロンのクリスチャンを見ることが夢でしたが残念ながら叶わなかったので、海外でMR!を見ることには少し抵抗があったのですが、やはり今作は原語で見ておきたいという気持ちが強く、WEで観劇することに決めました。

f:id:yadokarinko:20220817001240j:image

チケット購入までのあれこれ

MR!には「Ticket Lottery」という制度が導入されており、当選すると4週間以内の公演のチケットを25英ポンドで購入することができます。応募はメールアドレスを登録するだけと簡単なのですが、応募ページから小さいリンクから飛べるTerms & Conditionsには「Ticket Lottery is open to all residents of the UK.」と書いてあるので日本からの旅行者は購入できないのかも。ただ応募ページには条件の記載がないのでみんな気にせず応募する気がする。一応劇場にも問い合わせのメールを入れたのですが返信はありませんでした。当たってから聞いてみるかとりあえず抽選に申し込むだけ申し込んでみたのですが、結局当たらなかったので真相はわからずじまいです。住所を入れる欄があったのでその時点ではじかれているような気もする。

そんなわけで公式サイトから購入することに。何日間か価格の変動を見守っているとやはり当日になると値段が下がることが多いようだったので、当日購入することに決めました。10時にDEHのRush Ticketと無事購入し(中止になったけどね)、その後でMR!公式サイトに移動。Stalls M列サイドのチケットを103英ポンドで押さえることにしました、、がクレジットカードの決済がうまくいかず買うことができませんでした。

そこで、劇場窓口に行って購入することにしましたが、劇場にたどり着く前に通りかかったTKTSで同じ席の取り扱いがあったのでそこで買ってしまいました。値段も101.8英ポンドと少しだけ安く購入できたのでラッキーでした。おそらく公式サイトよりもTKTSの方が手数料が安かったのではないかと思います。

f:id:yadokarinko:20220817001533j:image

ちなみに、前日に劇場近くを通りかかった際に「学割」があるのか尋ねたところやっていないとのことでした。他にもレミゼやメリポピでも同様の質問をしましたがWEは学割をやっているところはほとんどなさそうです。

いざ、劇場へ

MR!が上演されているのはPiccadilly Theatre。Piccadilly Circusという駅のすぐそばでお店もたくさんある賑わったエリアに位置しています。劇場の周りにはパブがたくさんあり、公演が土曜日の夜だったこともあってかお酒を手にした人があふれかえっていて、特に実害があったわけではないですが、1人で歩くには少し怖い雰囲気でした。 レミゼを上演しているSondheim Theatreもエリアとしては近いです。

開演1時間ほど前に劇場に着くと、建物には入れるが客席は解放されていない状態でした。はじめはそれに気が付かず客席はどこかと迷路のように入り組んだ階段を下りたり登ったりして、ふとした瞬間にバランスを崩してふらついてしまいマダムに「Oh, Oh~」と言われて恥ずかしかったです笑 その時間でもバーカウンターは既にオープンしていてかなりの混雑。みんなお酒を片手に会話に花を咲かせていました。

上演中も多くの人がグラスを手に、お酒をあおりながら観劇していました。中にはワインボトルを持っている人も笑 ほとんどの人が2人〜4人組で開演前や幕間にはお酒を飲みながら盛り上がっている感じ。1人で観劇しにきている人は周りにはいませんでした。加えて、お酒飲んでる分、上演中トイレや立つ人も多いし、隣のお父さんは開演早々集中力切れてました。がっつり観劇を楽しむというよりは一緒に見に来た人たちとわいわいやるのを楽しむという側面が強いような空気で、そこに社交場としての劇場を見たような気がします。ただその雰囲気は他の演目ではそこまで強くなくて、MR!特有のものなのかもしれないとも思いました。

f:id:yadokarinko:20220817181101j:image

客席に入ると一面が赤い照明に照らされていてテンション爆上がりです。開演15分前くらいからはプレショーも行われてそれがまた楽しい😆

当日のキャスト

多分この人だったと思うって感じです。サンティアゴと公爵がメイクもあって自信がない。。

クリスチャン: Jamie Bogyo

ティーン: Liisi LaFontaine

ハロルド・ジドラー: Ian Carlyle (Ensemble)

ロートレック: Jason Pennycooke

サンティアゴ: Elia Lo Tauro

公爵: Tommy Wade-Smith (Swing)

感想

当たり前っちゃ当たり前だけれど、音源を聴いて想像していたのとはまた違った印象を受ける部分が多かった!!

Jamieクリスチャンはでっかい犬みたい。頭がぱやっとした感じでサティーンにもとにかく真っ直ぐな気持ちをぶつけていく。とにかくピュアな印象で、私は音源を聴いている限りクリスチャンはそこまでピュアだと思っていなかったから意外。El Tango De RoxanneやCrazy Rollingも怒りに身を焦がされるようなタイプじゃないのに頑張って怒っているように見えた。とても優しい歌声の持ち主でサティーンが心を掴まれた気持ちもよくわかる。高音は少し苦労している印象ではあった。

Liisiサティーは出てきた瞬間「まさにOne and Onlyだ〜」と思わず口を開けてしまう圧倒的存在感。歌声もソウルフルでかっこよくて私はFireworkが刺さりました。ゴージャスなスパークリングダイヤモンドとしてのサティーンと「How wonderful life is while you're in the world」って1人で呟くときの笑顔やElephant Love Medleyでクリスチャンの言葉に思わず笑ってしまうところに見える少し子どもっぽいサティーンのギャップが大きくて、後者のサティーンとJamieクリスチャンは相性ピッタリなんですよね。1つ前に見たオペラ座ロンドンとも構図が似ているなとも思う。クリスティーヌやサティーンの子どもの頃のような自然な状態にできるのがラウルやクリスチャンで、彼女たちの魅力を外の世界に示そうとするのがファントムや公爵で、どちらの公演でもファントムや公爵のサイドには全く勝ち目がなかったですね。

クリスチャンとサティーンの印象の違いにも驚いたけれど、公爵がかなりイメージと違った。というのも音源を聴いていると公爵は男性的な魅力に溢れていて抗い難いような存在なのかなと思っていたんだけれど、今回の公演では観客に笑われる場面も多くて思ったよりもコミカルな存在だった。

 

それから笑いのポイントも意外に思うところが多かった。これまでのWE観劇でも笑いのポイントのずれは感じていたのだけれど、どうやらMR!では劇中に自分の知っている歌が挿入されることに笑っている人が多いようだった。要するに登場人物たちが突然レディ・ガガやアデルを歌い上げる状況を楽しんでいる。こういうことは日本でジュークボックスミュージカルを上演するときには起こらないんだろうなと思うと同時に、自分の予期せぬタイミングで爆笑が起こるので観劇しながら不思議な気分になりました。クリスチャンがChandelierのone, two, three, one, two, three, drink〜に合わせて酒をあおり始めたときは私も爆笑したけども。

 

正直私は今作のストーリーそのものにはあまり面白さを感じていなくて、実際に観劇してもそれは変わらず少し退屈するな〜というシーンもあった。それでもエネルギッシュなカンカンに始まり、情熱的なBackstage Romanceのダンスパート、大盛り上がりのアンコール、全出演者でのラインダンスを見たら見に来られてよかった😭😭😭ってなりますね。それに楽曲もやっぱりかっこいい。OBCを聴き始めたときには使われている楽曲の1/5も知らなかったけれど、緻密に編まれた楽曲に魅了されて今では元の楽曲を聴くようになっているし。逆に言えば、楽曲をいかに魅力的に歌い上げられるかとダンスでいかに魅せられるかにものすごくかかっている演目なんだなと実感しました。2023年の日本版上演も楽しみにしてます。キャスティングよろしく頼みます。

 

P.S.

ティーンとニニの関係性は最高に刺さりました。

 

 

【WE観劇記1-3】時代の転換点に居合わせる The Phantom of the Opera 7/30 M 感想

f:id:yadokarinko:20220813144546j:image

チケット購入までのあれこれ

詳しくはこちらを読んでもらえればと思うのですが、マチネに見る予定だったDEHが開演15分前に突然中止になりまして。何がなんでも昼公演を見たかった私は、同じく15分後にオペラ座が開演するHer Majesty's Theatreまでダッシュしました。別行動予定だった友人がオペラ座を観劇するということで、彼女がチケットを買うのに付き添って一度劇場を訪れていたのがよかった😭

劇場に着いてすぐにBox Officeに直行。2組ほど並んでいる方がいたのでその後ろに並びます。すると中国語話者っぽい女の子が話しかけてきて、言葉はわからなかったけれどどうやら彼女の持っている電子チケットを買い取らないか?という提案をされたようだったのですが、もうすぐ自分の番だったこともあり断ってしまいました。。

自分の番になって、今日の昼公演を見たいと伝えると「どのくらいの予算で見たいですか?」と聞かれます。私は大混乱×酸欠で頭が回らない上に焦っていたので「おすすめは??」と聞きました。するとStallsの5列目ドセンが120英ポンド代と言われました。ものすごい良席ですがさすがに高すぎるのでその旨を伝えると、4列目の1番端が75英ポンドとのことだったのでそこで即決しました

f:id:yadokarinko:20220813144628j:image

見え方はこんな感じ!席に着いた時点で開演3分前とかでした〜息ぜいぜいでした😌

当日のキャスト

f:id:yadokarinko:20220813150435j:image

デジタルのキャスボがありました!!ありがたい〜!!!!私が感想でたくさん名前出すと思われる人たちだけ書き出しておきます!

ファントム:Killian Donnelly

クリスティーヌ・ダーエ:Lucy St. Louis

ラウル:Rhys Whitfield

カルロッタ:Saori Oda

メグ・ジリー:Ellie Young

ルーシーさんのクリスティーヌと小田さんのカルロッタは前々から見たかったので、まさか2人とも見られるなんてラッキーがすぎる。BWとWEでは初となる黒人の方によるクリスティー英語圏では初のアジア人の方によるカルロッタの共演というわけです。彼女たちの素晴らしいパフォーマンスを浴びられる幸せを噛み締めると同時に、時代の転換点となるキャスティングが成された公演を目撃できることへの感動も大きかったです。

人種とキャスティングについては、これまであんまり考えを書いてこなかったのでこの機会に思うところを書いておこうかなと思います。(もしも私が何かおかしなことを書いていたり、それは間違っている、あるいは誰かを傷つけているということがあればぜひコメントかTwitterのDM経由で指摘していただけるとありがたいです。私自身は差別や偏見の足枷から自由になりたいと考えていますが未熟者ですので学ばなければならないことがたくさんあります。)POTOの感想だけを書くべきか迷ったんですけど、ちょうどルーシーさんの起用を「望ましい在り方とは思わない」とブログで書いている方がいてふーんなんで?(その人の言わんとしてることは伝わってきたが納得はできない)と思ったので私もこの配役が好きだということを明記しようと思った次第です。特に新しいことは言えないけれど、立場を表明しておくことは大事だと思うから。

多分、今回の配役を嫌う人の主張の根幹にあるのは「その時代の歌手は全員白人だったじゃないか」っていう考えだと思う。それはまあ事実なのかも(音楽史に詳しくないから全員白人は言い過ぎだったらごめんなさい)。でも今作は現代に上演される現代の舞台作品であって歴史の再現ではないわけで。歴史そのままを見たいならばドキュメンタリー映像を見るしかない。そもそも現代人が作った時点で仮にどんなに再現を試みたとしても現代人の価値観が反映されるものだと思うしそれでいいと思う。再現ではないという前提が成立すれば、描かれている時代にそぐわないからという意見は成立しなくなると思うのだがどうだろう。

そうなれば、役を演じるのに必要な才を備えていれば人種に関係なく登用されるという方向に向かう。そして私たち観客は作品を見るときに人種というものを気にしなくなっていく、それが行き着く先なんだと思う。黒人女性がクリスティーヌを演じたとしても、クリスティーヌという役があの時代に黒人女性がオペラ座に登板するという困難を背負うわけではない。つまり作品を見ている観客はクリスティーヌを演じている役者の人種には影響を受けずにオペラ座の怪人という作品を体験できるはず。

そんなことを言いながら、ブログの書き手だってある意味では人種を気にしまくりじゃないかと言われるかもしれない。でもここ数年は配役における人種の壁がなくなって、観客もそれを気にしなくなる、そんな未来に至るちょうど転換点なんだと思うんです。だからこそこれまでの配役の型に囚われないキャスティングがされたら賞賛したいんです。そしていつかは私もただ公演内容についてだけ感想を書くようになる。そんな時代が来るんだと思います。もちろんこの話は全ての作品に当てはまるわけではなくて、人種を重要なテーマとして扱っている作品ではその話を伝えるために必要なキャスティングがなされなければならないと思うけれど。

感想

オペラ座は25th円盤→四季1回→映画のみの履修。四季版は2階席から見たので4列目から見るオペラ座の臨場感が堪らなかったです!!シャンデリアが上がっていくのを真横から眺めました😂 当初勧められた席だと多分頭上を通るんだろうな。横から見ていてもかなりハラハラしたので頭上を通る席は私には怖すぎて無理だろうな。

ルーシークリスティーヌはとにかく可憐!少女性が強くてリトルロッテのまま大きくなったんだな〜って感じ。歌声は圧が強いわけではないのだけれど、綺麗で純粋な美しい音色で無垢という言葉が1番近い気がする。Angel of Musicでも音楽の天使を純度100%で信じきっているところは子どものようで、その少女性はファントムとラウルとの関係においてものすごい影響を持っていたんですよね。

私が今回の観劇で1番印象に残ったシーンはAll I Ask of Youの場面。この楽曲やシーンが特別好きかと言われるとそういうわけではなく、反対にそこまで意識してこなかったシーンなので自分でも意外でした。では、なぜ印象に残ったかというとリースラウルは怯えるクリスティーヌを一瞬にしてリトルロッテに戻すことができるんです。ルーシークリスの笑顔を引き出し自分も子どものように笑うラウル、あんなAIAOYを見せつけられたらファントムはそりゃ敵わないよ。こればかりはどうしようもないよ。って思わされてしまった。

しかもThe Point of No Returnでルーシークリスは自分を奮い立たせてファントムと対峙する。ファントムのせいでクリスはリトルロッテのままではいられなくなってしまう。おわかりの通り、私はルーシークリスの本質はリトルロッテだと思っているので、ファントムは何やってんだと思いましたね。

キリアンファントムについては、私の頭の中でもまだ「こうだった」という言葉が見つかっていない状態。歌声はオペラっぽくビブラートをかけるタイプではなくまっすぐと音を伸ばしてくるので表題曲はロックやポップス寄りに聴こえて新鮮だった!それでいてThe Music of the Nightのファルセットは優しくて優しくて。繊細な美しさとクリスへの行動の気持ち悪さのギャップが激しくて、そのアンビバレントさが前面に出ている。そんな印象で、そこに少女性の強いルーシークリスをぶつけると気持ち悪さがましましになる。というところかしら。あー!The Music of the Nightでクリスの腰から腿にかけてあたり触ってたの思い出した。そういうとこ!でも、"Christine, I love you〜"では本当に純粋な愛が見えたりして。その真っ直ぐな想いをもっと早くクリスに伝えられたら、恋人として愛しあえなくとも友人として愛されただろうにととても悲しくなった。

あとは箇条書きで

・冒頭ハンニバルのシーンで、私はエリーさんのメグ・ジリーに目が釘付けになってしまった!!手足の使い方がダイナミックでとても美しくて〜💓 インスタ見てみたらやっぱりバレエをしっかりやっている方みたいで納得。元々メグ・ジリーという役はとても好きだけれど踊りが好みでさらに好きになるとは思っていなかった!Think of Meでクリスティーヌがみんなを圧倒しているときの「すごいでしょ!」って誇らしげな表情も素敵だった〜!そして私はAngel of Musicで手を取り合うクリスティーヌとメグのシーンがとても好きなのですよ。しかも今回になってやっと気がついたんですけど(今まで私は何を見ていたのかな?😂)メグ・ジリーはクリスを救出するために男装までして地下に乗り込んできてるんですね。ああああ。メグ・ジリー最高じゃんか。

小田さんのカルロッタめちゃくちゃよかったな。硬くてまっすぐ飛んでくる声で歌声がとても好みだったのと歌唱力に裏打ちされた下手歌唱の塩梅が良くて。ルーシークリスの柔らかい声と小田カルロッタの硬い声の対比もいいしナイスキャスティングだわ。ビジュもだけど声質や演技も可愛いから今までに見たことのないタイプのカルロッタで新鮮だったな〜!

・Think of Meでファントムに怯えるバレエガールに別のバレエガールたちが後ろから肩をちょんちょんして怖がらせていたのがかわいかったな。目の前だったからバレエガールズばっかり見ちゃった。

・Little Lotte〜The Mirrorは角度的に楽屋のドアが邪魔になってみんなの表情が少し見えにくかった。このシーンをじっくり見たい人は上手側を取ることをお勧めします。他のシーンは特に見えにくいということはなかったと思う。

・至近距離で見るMasqueradeが最高に楽しかった。豪華絢爛で奇抜な衣装を着た面々がところ狭しと並んでいる状況にテンション爆上がりだし、曲も素晴らしい。ただしここでもメグ・ジリーをついつい目で追いかけてしまった笑

 

ちょっとした期末レポートくらいの長さになってしまいましたのでここらで終わっときます。ハプニングのおかげで素晴らしいオペラ座に出会えたので私は運がいいですね!

【WE観劇記1-2.5】人生初の当日中止をロンドンで食らうとは Dear Evan Hansen 7/30 M

本当にタイトルそのまんまなんですけど、開演15分前に中止を言い渡されまして。。。日本国内でも当日中止は食らったことがなかったのでかなり動揺しました。

せっかくですので、チケット購入の流れや中止に至った過程、中止を受けての劇場間ダッシュ、返金交渉など色々と書き残しておきます!

f:id:yadokarinko:20220810024822j:image

チケット獲得までのあれこれ

DEHのチケットはTodayTIXアプリ内で公演当日に放出される「Rush Ticket」で取りました。他演目でもRush Ticket制度が導入されているのものも割とあるので要チェック。その多くは公演当日の午前10時から25英ポンドで販売を行うものですが、DEHについては発売時間と価格が明記されていません!私が取った日は当日午前10時の発売でチケット代27英ポンド+手数料3英ポンド=30英ポンドでした〜。

1公演2枚まで購入可能。座席は選べませんが、私は5列目センター寄りのチケットだったので安く良席をゲットできる可能性が高いです😆 ちなみにこちらのチケットはiPhoneのウォレットに収納できるEチケットでとても便利です。

って書きながらも見られなかったショックで落ち込みます笑笑 私の良席チケットが😢

いざ、劇場へ

劇場はNoël Coward Theatre。シアターカフェのすぐ近くにあります。

f:id:yadokarinko:20220810025039j:image

チケット購入時に開演1時間前を目安に来場するようにとの記載があったので、50分前には劇場に到着。その時点では開場されておらず劇場に沿って長い列ができていて私も並びました。

その後45分前開場なのかな〜とのんびり構えていましたが一向に開場されず、開演30分前になりいよいよ私も焦り始めました。まず、自分が並んでいる列が本当に劇場に入るための列で合っているのか気になります。そこで前に並んでいた方にその旨を尋ねると「大丈夫よ!ここに並んでいればそのうち入れるわよ!」なんて言われました。それで少し安心しましたが、そうこうしている間に開演15分前に。

すると、なにやら前方で動きがあり劇場スタッフの方々が紙を配っているのがわかりました。すぐに私のところにもやってきて「申し訳ありませんが、出演者の体調不良のため公演がキャンセルになりました。返金対応についてはこちらをご確認ください」とこの紙を渡されました。

f:id:yadokarinko:20220810025203j:image

劇場間ダッシュ💨

その時の私はもう頭が真っ白😨 だってせっかくの観劇旅行なのにここで1本見られないなんて辛すぎる。どこも昼公演の開始は14:30と揃っているのであと15分でどこか別の劇場に移動しなくては!!となりました。とりあえず友人に中止になった旨をLINEすると「オペラ座来る??」との返信が。オペラ座を上演しているHer Majesty's Theatreまでは徒歩7分。行ける!と思いGoogleマップ片手に爆走しました🏃‍♀️🏃‍♀️🏃‍♀️

幸い同日に友人のチケットを買うべく一度Her Mejesty's Theatreには訪れていたので迷うことなく辿り着きました。

(続きはオペラ座の観劇レポにつなげますね)

返金について

今回は公演が中止になっているため当然返金対応の対象となるのですが、私は劇場から直接ではなくTodayTIXを通してチケットを購入したため、返金もTodayTIX経由になります。

ここで困ったことが発生。なんとTodayTIXでは公演中止の場合、サイトで使用できるチケット代と同額のバウチャーを配布するという対応なんです。しかもその期限が1年!旅行客の私には厳しすぎる!!!ってことで色々サイトを詳しく読んだところ、公演中止から10日間以内に返金の申請をすればお金を返してもらうことも可能という記述を発見。すぐにメールで問い合わせを入れました。(このメールアドレスもなかなか見つからなくて苦労しました😩 uksupport@todaytixgroup.com 困って私の記事に行きついた人のためにメアド貼っときますね)

はじめは返信がなかったので翌日もう一度メールを送るとその日のうちに、メールがサポートチームに届いてこれから対応するよというメールが届き、その後、5〜7営業日中にクレカ経由で返金しますねという旨のメールが届きました。カードの明細も確認したところしっかり返金されてました☺️

 

それにしても、見知らぬ街で予想だにしていなかった当日中止をくらい、そこから街中をダッシュすることになるなんて😂 いい思い出になりました。あーでも舞台版の演出が見てみたかったな〜とか生でSincerely, Me見たかったな〜とか色々湧き出てきてしまいます。WEは今年11月で上演終わってしまうし。映画作っちゃったから舞台映像は残らないよなーん。悲しみ!!!!!