BW観劇3本目は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』にしました!
2022年にロンドンに行ったときはノーマークだったのですが、ちょうど渡航前の1月24日、2025年に劇団四季が今作を上演するとの発表がありまして、一気に興味が高まって観劇する運びとなりました。結果大興奮だったので、ご縁があったな~!と嬉しく思っています。
作品・公演概要
Back to the Future: The Musical
原作: Back to the Future (1985 film)
作曲: Alan Silvestri(アラン・シルヴェストリ)
作詞: Glen Ballard(グレン・バラード)
脚本: Bob Gale(ボブ・ゲイル)
演出: John Rando(ジョン・ランド)
初演: 2020年 マンチェスター
2021年 ウエストエンド
2023年 ブロードウェイ
劇場: Winter Garden Theatre(ウィンターガーデン劇場)
オープン日: 2023年8月3日
キャスト
マーティ・マクフライ: Casey Likes(ケイシー・ライツ)
ドク・ブラウン: Roger Bart(ロジャー・バート)
ジョージ・マクフライ: Hugh Coles(ヒュー・コールズ)
ロレイン・マクフライ: Becca Petersen (U/S)
ゴールディー・ウィルソン/マーヴィン・ベリー: Joshua Kenneth Allen Johnson (U/S)
ビフ・タネン: Nathaniel Hackmann
ストリックランド校長: Merritt David Janes(メリット・デイヴィッド・ジェーンズ)
ジェニファー/アンサンブル: Mikaela Secada
+13名
新しい作品なので、ドクとジョージがマンチェスターからのオリジナルキャスト、マーティもブロードウェイ初演キャストで見られました!!!
チケット購入までのあれこれ(ラッシュ挑戦の記録)
この日も前日の『スウィーニー・トッド』に続き、朝8:00少し前からラッシュチケットの列に並びました。並んだ時点で前から3組目、合流などもあって人数的には前から5~6人目くらいになった気がします。
この日はまさかの雪で寒かったのですが、前日の教訓を活かして敷物を用意したのと入り口の前の庇が風除けになっていたのもあって前日ほどは凍えずに済みました。
また『スウィーニー』の日はホテルの部屋で朝ごはんにパンを食べてから劇場に向かいましたが、この日は待ち時間を活用して朝ごはんを食べることにしました。Googleマップで周辺の飲食店を調べて「Burger Man」というお店をチョイス。友人に列に残ってもらい、私が歩いて買いに行きました(この辺りは旅行記で詳しく書くことにしましょう)。
そしてこの日はチケットサイト「TodayTIX」のアプリで9:00から『& Juliet』のラッシュチケットがオンライン販売されるとのことだったので、こちらにもチャレンジしてみましたが一瞬で完売してあっさり負けました。正直日々のチケット争奪戦に慣れているのでいけるかとも思いましたが甘かったです。「誰が取れるの?」っていうスピードでなくなります。
10:00に劇場の扉が開いて建物の中に入ります。9:45くらいの時点で列は36人ほどまで伸びていましたので、すぐにボックスオフィスの前がいっぱいになっていました。
まず昼公演で$40のラッシュチケットはあるかと聞くと2階サイドの「Partial View(見切れ席)」ならあると言われました。初見演目で見切れは避けたいな~と思い、夜公演は?と聞くと、夜公演は連番のラッシュがないと言われました。ここで「バラバラでOKよ」と伝えると、Mezzanine(2階席)センターブロックの1列目と3列目に1席ずつなら用意できると言われました。$40でそんな良席が出ると思っていなかったので即決。大喜びでチケットを受け取りました。
欧米では1人で観劇する人はあまりいないようで、チケットサイトでも端から1つ内側の席が1番外側の席と2席セットでないと買えない仕様になっていたりもするので、もしかするとポツンと空いた1人席というのは安く売りだされやすいのかもしれません。
いざ、劇場へ
作品に合わせて全面青色になっているウィンターガーデン劇場はとてもかわいかったです。外壁には思わずにやにやしてしまうようなポスターも掛かっていました。そういうところがちょっとテーマパークっぽい!!
マーティとドクもいます。終演後にテンションが上がった私たちはこの前で腕時計ポーズで写真を撮ってもらい、撮影者の方にきゃっきゃされました笑
プレイビルをもらって席に着きます。
友人が譲ってくれまして、私は2階最前列に座ることができました。本当にこんな良席が$40でいいのだろうか?と思ってしまうような完璧な視界です。
ただ、メザニンの手すりが横にまっすぐではなく花びらのような形でちょっとしたカーブで前に飛び出している部分があり、私の席の前がちょうどそのでっぱりだったので手すりは舞台の前の方に少しかかりました。でも今作ではそこまで役者が前に出てはこなかったのでノーストレスです。
常に青い光が動いていて、スペースマウンテンの乗り場にいるような感覚がありました。客席に着いただけでわくわくが止まりませんでした。
感想
ネタバレありで書いていきますが、映画を見たことのある人でも舞台版をこれから見る予定のある人は事前情報を入れないで劇場に行くことをおすすめします。特に舞台映像は見ないで行くのを強くおすすめします(カテコ動画は楽しいのでいっぱい見たらいいと思います)!!!それを踏まえても読んでくださる方だけこの先にお進みください。
大興奮で爆沸きする観客が最高
とーーーーーーーっても楽しかったです!!!大興奮でした!!!
ミュージカル版を作った方々の「全人類、BTTFは好きだよな~!?」っていう圧が作品全体に沁み込みまくっていて、それに観客たちが大歓声で応えてとんでもない空間が生み出されていました。デロリアンが舞台上に滑り込んできた瞬間、ドクが現れた瞬間、マーティがデロリアンを走らせる瞬間、ジョージとロレインがキスした瞬間、そしてマーティの乗ったデロリアンが消えた瞬間、その瞬間ごとに観客みんなが初めてBTTFを見たときの興奮を呼び覚まして、それを劇場全体で共有し合うようなそんな熱い観劇体験。ジョージとロレインのキスで我を忘れたように「ふぉーーう!!!!!」って叫びまくる客席は本当に最高だし、マーティが消えて炎の残る道にドクが現れたのを見た瞬間、もう脳からアドレナリンがダバダバ出てきて完全に興奮状態になったし、思わず泣きそうになりました。
そして極めつけの The Power of Loveからの観客の頭上を飛ぶデロリアンですよ。映画ではCGだとわかるのでデロリアンが飛んだからといって「おお!」くらいにしか思わないんですけど、目の前で飛ばれるとやばいです。全く舞台映像を見たことがなくてこの演出は知らなかったので、私もみんなと一緒に絶叫してしまいました。「わわわ!飛んでる!!しかもマーティとドクが手振ってくる!!きゃーーー!回った!!!!」って大興奮でした。
舞台化の意義
一昨年に『千と千尋の神隠し』の舞台版を見たあたりから映像作品を舞台化する意義を考え始めまして、BTTFについてもやっぱり考えました。
今作は映画の内容に忠実ではあるものの、観客が映画を見ている前提のもとハイペースに話を進めていくような節があります(その点はちょっと2.5次元作品的でもあるかも)。もしも映画を全く見たことのない人が見たとしたら反応はどうだろうかとも思います。舞台オリジナル要素として新鮮なのはドクのソロナンバーがショーアップされていて派手なダンサーが出てくるところくらいかな。
元となった映像作品に忠実であるほどに私は「舞台化の意義」を探してしまうわけですが(映像作品の得意分野であるCGを使った強烈なビジュアルイメージや迫力のある移動シーンとはまた違った魅力を舞台版には求めたくなります)、今作については大興奮で叫ぶ観客の存在にその意義を見出すことができました。
体感としてブロードウェイの観客は「みんなでリアクションをするのも含めて観劇」として楽しんでいるような感覚がありました。シリアスな『スウィーニー・トッド』の冒頭場面でもスターが出てきたら歓声を上げるし、『キンバリー・アキンボ』でキンバリーが傷つく場面では「Oh....」と声に出してリアクションします。ブロードウェイの方がリアクションは大きい気がしましたが、ロンドンでも似たような感覚はありました。
そしてこの作品はみんなで大きなリアクションを取るのも楽しむ観客たちとの相性がとても良いんだと思います。まずは「目の前に」マーティが、ドクが、デロリアンが現れる興奮があって、1回目のタイムトラベルでは映像作品の臨場感は再現できずとも舞台上を走るデロリアンと手前のスクリーンへの映像投影で疾走感を出した上でおなじみの音楽を使うことでわくわく感を高めて、結末まで知っている観客に「新しいタイムトラベル」を見せる。ここで観客1人1人が舞台版の世界に完全に引き込まれて没入していくのがわかりましたし、1人1人があげる歓声が劇場中に溢れることで客席全体が感覚を共有していく一体感のようなものが生まれていました。もうこの後は見せ場ごとに盛り上がりが大きくなる一方です。ダンスパーティーの場面で2階席からシャボン玉が噴射されるとみんなパーティーの参加者みたいに盛り上がっていました。私も絶叫しました。この感覚にこそBTTFを舞台化する意義があったのではないかな思います。
「ミュージカル化の意義」となるとまた別の話になってくる気はします。今作は歌がなくても成立するだろうなと思うので。でも作品の持っている高揚感と熱狂する観客とミュージカルという表現手法は相性がいいとも思います。カーテンコールでマーティとドクがハンドマイクを持って歌って、ビフがタンバリンを叩きながら踊って、マーティの恰好をしたダンサーが大量に出てきたらそりゃ楽しいもん。
機材トラブルの記録
私が観劇した回はドクの家のセットの下手側半分が出てこないという機材トラブルが発生しました。下手の舞台袖を見ながらマーティが「ここはカリフォルニアだからね。家が半分なくなるなんてよくあることさ!」って笑っていました。ドクはそのまま芝居を続けようとしていたのですが、マーティがとにかく気にしまくるものだから芝居が続けられなくて、2人して笑い始めたのが面白かったです。芝居は止まったけれど劇中の雰囲気の延長線上にあるような2人を見られました笑
ちなみに翌日ソワレをおかわり観劇した友人によると、今度は終盤のタイムトラベルで機材トラブルがあったそうです。大がかりなセットが多い分、大変そうですね。
マーティがあまりにもマーティ
映画を久しく見ていないのでまた見たら違う感想を抱くかもしれませんが、マーティ役のケイシーがあまりにもマーティで笑いました。顔立ちがマイケル・J・フォックスに似ているかというとそうでもないんですけどね、声のトーン、話し方、動き、どれをとってもマーティで見ていてとても面白かったです。歌は上手いし、動きのキレもすごくて最高でした。
ジョージもものすごいジョージでした。どうやってあんなにジョージらしさ全開の方を見つけたのだろうか!ロジャー・バートのドクはクリストファー・ロイドのドクとはまた違った雰囲気の魅力がありました。見比べたいので近々映画を復習しようと思います。
【今回のBW観劇旅行の記事】
【映像作品の舞台化】