イタリア旅行に行くことがなんとなく決まったあと「どうせイタリアまで行くならウィーンまで足を伸ばして『レベッカ』を見るべきでは?」という話になりまして、夜行列車に乗ってヴェネツィアからウィーンへ移動するコースになりました。
作品自体見てみたかったのもありますが、1番の目的はなんといってもマーク・ザイベルトです😌✨
たまたまYouTubeサーフィンをしているときにザイベルトとウードくんが闇広している動画にぶち当たって「誰これ!ビジュも歌声も完璧すぎるんだが!?!?」って衝撃を受けてからずっと憧れていて「いつか生で聴きたい!!」と思っていました。
作品・公演概要
Rebacca
原作: Daphne du Maurier "Rebecca" (1938 novel)
作曲: Sylvester Levay(シルヴェスター・リーヴァイ)
作詞: Michael Kunze(ミヒャエル・クンツェ)
脚本: Michael Kunze
初演: 2006年 ウィーン
劇場: Raimund Theater(ライムント劇場)
公演期間: 2023年9月9日~2024年1月7日
演出: Francesca Zambello(フランチェスカ・ザンベッロ)
2022-23年ウィーン新演出版のレプリカらしいです(wiki読んだ感じ)。
キャスト
Ich: Livia Wrede(Ensemble/Cover: Ich)
マキシム・ド・ウィンター: Mark Seibert(マーク・ザイベルト)
ダンヴァース夫人: Sophie Mefan(Ensemble/Cover: Mrs. Danvers)
ジャック・フェヴァル: Boris Pfeifer
ヴァン・ホッパー夫人: Ana Milva Gomes
ベアトリス: Silke Braas-Wolter
フランク・クロウリー: James Park
ベン: Aris Sas
+プリンシパル 6名
+アンサンブル 13名
+スウィング 3名
キャスト案内の紙が客席の入り口に張り出されていました!
※この記事では役名の「私」を「Ich」、書き手を「私」と区別して書きますね。
チケット購入までのあれこれ
ウィーンの滞在日は17日と18日の2日間のみだったのでどちらの日に観劇するかという話になりました。
当初はザイベルトチャンスを増やすために17日の夜に見て、もしもザイベルトがいなかったら18日の夜も・・・という話になっていたのですが、なんとザイベルトの公式サイトに登板スケジュールが記載されているではありませんか!!!
↑このサイトのトップページを下までスクロールすると3ヶ月分の出演情報がカレンダーで紹介されています(全ミュ俳優これ作ろう??)
しかも16日にコンサートに出演する関係か17日はお休み!危なかった💦 18日は出演予定とのことだったので、観劇日が決まりました。
次はチケット購入です。VBWの公式サイト「Musical Vienna」から購入できそうで結構良い席種もしっかり残っていたので、旅行キャンセルのリスクなども考えて直前に買おうという話になりました(ちょうどコロナとインフルがWで流行っていて怖かったので)。
でもその後、学生(27歳以下)向けのチケットが発売されるとの情報を友人がキャッチ!
↑このサイトの「Pupils, Students, Apprentices and Military Service Personnel」という欄です。
公演当日の2時間前から1時間前までオンラインで、1時間前からは劇場のボックスオフィスで売り出され、15ユーロ〜でチケットが買えるとのことでこちらにチャレンジすることにしました!
迎えた当日寒空の下、私たちはホーフブルク宮殿の庭にあるフランツ・ヨーゼフの像に見守られながら学割チケット獲得に勤しみしました。
フランツが顔を向けている方に写っているベンチです😂
公式サイトに初回登録をして、学割チケットのページから販売を待ちます。この画面から更新ボタンを押すとA、B、C、D席のシニア割引の下に学割チケットがそれぞれ€15で表示されました。
友人はA席の学割枠が取れたのですが、私はやや出遅れてA席が売り切れに。B席の学割をGetしました。しっかり激戦みたいなので時間ぴったりに張り付いておくことをお勧めします。
どちらも値段は15ユーロ(日本円で2430円でした😳‼️)で、友人は2階1列の上手側ブロック、私は1階11列の上手側ブロックでした。友人は手すりに、私は前の人の座高にやや阻まれましたがしっかり観劇できてこのお値段はとてもありがたかったです!
チケットは確認メールを下に下にスクロールすると添付されています(私たちは劇場引き換えかと思って窓口に行ってしまいましたが窓口でのやり取りは不要で、チケットに付いているQRコードを読み取ってもらって直接入場できます)。
いざ、劇場へ
学割チケットをもぎ取った私たちは一旦別れて、友人はホテルにモバイルバッテリーを取りに帰り、私はアルベルティーナ美術館に行きました。そこから各々劇場へ向かうことに(友だちには驚かれるのですが私たちは旅行中に割と別行動をします)。
ライムント劇場はアルベルティーナなどがあるウィーンの中心地から電車で20分ほどのところにあります。
私は地下鉄のU3に乗って歩いて友人はU4の駅から歩いてきて劇場前で合流です。
劇場の外観はこんな感じ。街を歩いていると突然劇場が現れます。
この日は学生団体が入っていたようでもう少し経つと劇場前がワイワイした学生さんたちでいっぱいになります。
これが私の座った座席からの眺め。まだ前の人が座っていないのでクリアですが、真ん中にちょうど前の人の頭がかかる形。右前が空席だったので少し右側から舞台を見ていました。それにしてもこの近さで2500円以下はやばいですよね!日本も学割当日券ばんばん出せばいいのにね。
ホームページに「英語字幕付き」と書いてあったので舞台の上にでも表示されるのかな〜と思っていたら、2階席(1階か)のへりにサイネージがありました。友人の座った席からの写真がわかりやすいです。☟
私の座った座席からは舞台と字幕を同時に視界に入れることはできなかったので、字幕は気にせず舞台上に集中して見ることにしました。そもそも表示される文字が小さめなので字幕自体ほぼ見えませんでした😂 映画を事前に見ておいて良かった!
感想
ついに『レベッカ』を見られましたよ☺️ 過去のキャストを眺めながら「なんでレベッカ役はいないんだろう🤔」と不思議に思っていたころが懐かしいですね。
物語と楽曲について
事前にヒッチコックの映画版を見て「この規模感、この話の進み方の作品をミュージカルにしたんか?」とちょっと拍子抜けしていたのですが、実際に作品を見た感想もそんなところです。お話がややアップダウンに欠けるかな。
ダンヴァース夫人の圧力を跳ね除けて強くなっていくIchの進化は面白いんだけれど物語の顛末にIchはあんまり影響を与えないし、マキシムによるレベッカの本性の暴露も面白いけれどその後のスローな展開で盛り下がってしまうし・・・。家が燃えるクライマックス頼みになっている印象は受けました。
ただやはり随所でリプライズされまくる表題曲のRebeccaが曲としてもパフォーマンスとしてもあまりにも強くて楽しくて、もうイントロが来るだけでヒャッハーしてしまいますね😂
他の曲はあんまりキャッチーじゃないな〜という印象でしたが、IchのMrs. de Winter bin Ich!とかマキシマのKein Lächeln war je so kaltとか要所要所にはしっかり盛り上がるナンバーがあってそこはさすがリーヴァイというところです。
あとはアナさんの魅力に頼る部分も多いとは思うけれど、ヴァンホッパー夫人のナンバーがどれも楽しかったのは意外でした。映画だと序盤で退場してあまり活躍しない印象だったので、中盤に再びやってきてI'm an American Womanで観客の心を掻っ攫っていく存在になっていくとは、驚きです。
使用人たちや漁村の人々が歌う楽曲は不穏で厚みがあってとても楽しかったですが、話の小ささを考えるとちょっと仰々しいかも・・・。
それからファヴェル、ベアトリス、クロウリーにそれぞれソロ曲があるのはちょっと間延びするな〜と思いました。お三方とも上手かったので全然見ていられるんですけど(特にファヴェルのナンバーはダンスも軽快で楽しかった)、物語の進みを考えるとやや停滞すると感じました。
そんなこんなで結構演者のパフォーマンス力頼りの力技構成だなと思ってのですが、そもそも本筋自体も家を燃やして終わらせる力技なのでこんな感じでアリなのかもしれません🔥 それに私はとりあえず歌唱力で押し切る作品は嫌いじゃないのです😂
演出と美術について
映像の使い方が特徴的でややおもろいポイントになっているところもありましたが総じて美しかったです。
特に冒頭、Rのロゴが消えて炎のゆらめきが海の潮の流れに変わったところは美しすぎてぞわぞわしました。それからダンヴァース夫人がバルコニー立つ場面(確かIchを飛び降りさせようとするところとレベッカの病気のことがわかったあとの2回)で、バルコニーの周りが蔦のような葉っぱの映像で覆われてそれがうにょうにょと蠢くのが奇妙で恐ろしくて、バルコニーに立つキャラクターの精神状態を写し取っていて気持ち悪けれど美しい演出だと思いました。
気になったところは序盤のIchとマキシムのデュエット。空の映像背景のみでセットがなくてさっぱりしすぎかなと思ったのと、あとは後半レベッカが通っていた理由を確かめるためにロンドンに行っていたIchがマキシムに電話をかけるシーン。薄い幕に赤いテレフォンボックスが投影されてその幕の裏にIchが立つことでボックスの中に立っているのを表現していたのが愉快でした。同じような技法でロンドンから帰ってきたIchをマキシマが駅で迎える場面、ホームに鉄道が入ってくる映像が流れて、鉄道のドアが下手の袖に繋がっていてそこからIchが出てくるんですね。これもまた「そうきたか!」と愉快でした😂
舞台美術はどの場面も美しかったです。ホテルも大きな階段のあるお屋敷もボートハウスもみんな素敵でした。
キャスト感想
Wrede Ich
前半ちょっと高音が小さめでおやおやと思っていたのですが、1幕中盤あたりからIchの感情が高まるごとにどんどん声が大きくなっていってそこからは「これぞ私がウィーンに求める歌声!!」という勢いで地声で高音を張り上げながら劇場の空気を切り裂いていって最高でした〜💕
ザイベルト マキシム
いや~やっぱりビジュも歌声もかっこよすぎる!!!!燃え盛るマンダレーを背景にザイベルトがハイキーを歌って物語のクライマックスを迎えるのは楽しくて仕方がなかったです。
レベッカのことを思い出してIchに高圧的な態度を取るところは心の中で「よ、待ってました!!」声をかけてしまいました。尊大な役があまりにもハマる。その分レベッカのことをIchに打ち明けるシーンでの弱さも光りますよね~。好きだー!!!
Mefanダンヴァース夫人
第一声から「こりゃ歌が上手い人の発声だ・・・」と肌がざわざわしました。ダンヴァース夫人が出てくると確実に盛り上がる歌が来るの彼女が出てくるたびに目で追いかけていました。素敵でした。
中低音やファルセットが柔らかくてやや温かみがあるような響きだったのが印象的でした。そこにダンヴァース夫人からレベッカへの狂信だけでない愛情みたいなものも垣間見えて私の中で解釈の幅が広がった感じがあります。それでいて最高音までばっちり決めていたのであっぱれです。
Gomes ヴァン・ホッパー夫人
強~うま~最高~!!!観客の心を鷲掴みにしてらっしゃいました。ヴァン・ホッパー夫人のソロ曲のあと、私も完全に無意識で「ひゅー」って歓声をあげてしまいました。そのくらい熱いステージを見せてくれました(ちなみに1幕終わりのRebeccaでも咄嗟に口から歓声が出てきました)。
作品として好きかというと「そうでもない」というのが結論なのですが、歌唱力の高いキャストで見るとテンションがぶち上りますね。韓国のダンヴァース夫人はオク・ジュヒョンさんなのだから日本では新妻聖子姐さんにやってもらいましょうね。
SDの話
終演後、SD付近を覗いてみると常連さんっぽい方々が数組待っていらしたので、私たちも恐る恐る待ってみることに。スタッフさんらしき方やオケの方々が数人出てきたすぐあとになんとザイベルトが出てきました。
そしてそして、一緒に写真を撮っていただきました!!!わわわ!
とても優しく対応してくださりました。あまりの出来事に全然実感がわかないままいそいそと帰りました。
劇場からホテルに帰る道すがら、友人と「日本でまた『レベッカ』をやるならマキシムは伊礼彼方であれ!!!!」と話しました。私は「ザイベルトが演じた役はとりあえず1回伊礼さんを通してくれ」と思って生きている人間なのでね。そのときはそれで終わったのですが、帰国してふと「ザイベルトと伊礼さんって役被ってたっけ?」と調べてみたところ全然被ってなくて笑いました。嘘やろ。ラダメスは被っていたけれど作品違いだった・・・。伊礼さん、ディボルトもマキシムも演ってないんですよ。東宝さん、手始めにトート閣下に起用するところから始めませんか?
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