Mind Palaceがない代わりに

来年には大学生じゃなくなるのでタイトル改めました。

【🇺🇸BW観劇記1-1】Aaron TveitとSutton Fosterが目の前に『Sweeney Todd: The Demon Barber of Fleet Street』2/16 S 感想

念願のブロードウェイ!1本目は『スウィーニー・トッド』にしました。今回の旅行のメインイベントです。なぜなら私がミュオタになるきっかけを作った1人であるアーロン・トヴェイトが出ているから!!きゃーーーー!!!!

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作品・公演概要

Sweeney Todd: The Demon Barber of Fleet Street
原作: Sweeney Todd by Christopher Bond(1970 play)
作詞・作曲: Stephen Sondheim(スティーブン・ソンドハイム)
脚本: Hugh Wheeler(ヒュー・ウィーラー)
初演: 1979年 ブロードウェイ

 

Sweeney Todd: The Demon Barber of Fleet Street
劇場: Lunt-Fontanne Theatre(ルント・フォンテーヌ劇場)
演出: Thomas Kail(トーマス・カイル)
オープン日: 2023年3月26日
※アーロン・トヴェイトとサットン・フォスターの当番は2024年2月9日からの12週間限定

Sweeney Todd: The Demon Barber of Fleet Street (2023 Broadway Cast Recording)

Sweeney Todd: The Demon Barber of Fleet Street (2023 Broadway Cast Recording)

 

キャスト

スウィーニー・トッド: Aaron Tveit(アーロン・トヴェイト)
ミセス・ラヴェット: Sutton Foster(サットン・フォスター)
アンソニー: Felix Torrez-Ponce(Understudy)
トバイアス: Joe Locke(ジョー・ロック)
乞食女: Ruthie Ann Miles(ルーシー・アン・マイルズ)
ジョアンナ: Maria Bilbao
ターピン判事: Jamie Jackson
ビードル・バンフォード: Jonathan Christopher(Understudy)
ピレリ: Raymond J. Lee(Replacement)
小鳥売り: Dwayne Cooper(Swing)
通行人: Patricia Phillips
ジョナス・フォグ: Stephen Tewksbury

+アンサンブル 16名

 

チケット購入までのあれこれ(朝からRush Ticketsの列に)

作品によってチケットの売り方はまちまちなのですが、スウィーニーは公演当日の朝10:00から劇場のボックスオフィスでラッシュチケット(Rush Tickets)を販売するということだったのでこちらにチャレンジしてみました。何時から並ぶべきか迷いつつ「Reddit」というSNSで情報を集め、朝8:00ごろから並ぶのが良いだろうと判断して寒い中ホテルを後にしました。

結局8:10ごろに劇場の前に着くと7人ほど既に並んでいる人がいました。列のどちらが後ろか定かではなかったので、端にいたお姉さんに「これはラッシュの列?ここに並べばいい?」と尋ねると「そうだよ」と言ってくれました。気さくそうな方だったので「今日ってアーロンは出ると思う?」と聞いてみると「きっと出ると信じてる」と答えてくれて、朝から並んだのにアーロンがいないかもしれないという不安を少し和らげてくれました。

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私たちは着の身着のまま並んだのですが、待っている人たちは敷物や毛布を持ってきていて寒さへの備えが万全でした。2つ前のお兄さんだけは薄着でぶるぶる震えながら待っていて心配でした。ここから2時間とにかく待ちます。手袋から手を出すと一瞬で手が凍えてしまうのでスマホを触り続けることもできず、とにかく寒さに震えながら10:00を待ちます。時間が過ぎるのがとんでもなく遅く感じました。

10:00を迎えると劇場のドアが開いてボックスオフィスの前に列が動きます。前の人の窓口でのやり取りを聞いているとどうやらラッシュがない模様。こんなに並んだのに!と絶望しつつ、前の2人に話しかけると「$49のラッシュはないみたいだね」と言われました。がーーーーん。でもめげずに窓口の会話を聞いていると、$79のラッシュチケットが販売されているとわかりました。

そしていよいよ私たちの番に。まずはアーロンが出演予定か聞くと「今晩はスケジュールされてるよ」と言われました!やったーーー!!!!念のため$49のラッシュの存在を聞くと「今日は売っていない」とのことでした。そしてやはり代わりに$79のラッシュがあるとのことだったので席を聞きます。するとオーケストラ(1階)の7列目、1番端の席と隣の車椅子席に劇場の椅子ではないダイニング用の椅子を置いて1人はそこ座る形があると言われました。まさかそんなに前のチケットを提示されると思わなかったので快諾。$79でその日の晩のチケットを手に入れました。

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ちなみに2つ前のお兄さんはチケットを買わず、おそらく「立ち見待ち」と思われる列に並んでいました。スウィーニーの立ち見はチケット完売時にのみ売られるので「20分後になるか3時間後になるかわからないよ」と言われていたけれど了承していました。

 

いざ、劇場へ

この後は観光に出かけて、18:25ごろにルント・フォンテーヌ劇場に戻ってきました。

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相場に比べてかなり安くて前の方の席だったので「見切れるかな」と思っていましたが、舞台が近い上に見切れもない素晴らしい席でした。スウィーニーは舞台が高めに作ってあるのと、2階部分を使った演出が多いので、前の方の列はかなり見づらそうな印象です。

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念願のプレイビルを開くとアーロンとサットンの名前が!!わーーーーーーー!!!!!

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車椅子席+ダイニングチェアには友人が座ってくれたのですが他の椅子よりも1段高くなっていて面白かったし、実際に座った友人は「なんか自分だけ上に飛び出ていてちょっと恥ずかしい」と言っていました。席自体は見やすかったそうです。

 

感想

幕が開いてすぐにアンサンブルの方々のかっこよさに心を掴まれました。不穏な雰囲気と熱量がものすごい。今作のアンサンブルパートは地の文を歌うみたいな不思議な役割を担っていて、ともすると退屈になってしまいそうでもあるのだけれど、Steven Heggette の振付とNatasha Katz 照明デザイン、そしてアンサンブルの方々のパワーによって一気に見どころにまで昇華していました。特にジョアンナとアンソニーの精神病院からの逃走の場面は光と影、アンサンブルの身体の使い方がとてつもなくかっこよくて興奮しました。

セットは2階建てで、2階にスウィーニーの理髪店、1階にラヴェット夫人のパイ屋さんとオーブンのセットがあります。スウィーニーが殺した人の遺体は(首から血糊あり!!!)椅子の下へと滑り落とされたあと客席の目には見えませんが、トバイアスがミートパイの正体に気づく場面ではダクトからビードルの死体が飛び出てくるという仕様になっていて面白かったです。作品としてはアンソニージョアンナのパートがちょっと眠いかな。それ以外は見せ方が上手いので見せ場になっていたように思います。

そしてアーロン演じるスウィーニーが飛び出してくるととんでもない歓声が!!!これがブロードウェイの雰囲気!!!私も憧れの人が目の前に現れた感動をそのまま声に乗せて思いっきり叫んでしまいました。まさかスウィーニーでこんなに叫ぶことになるとは笑 アーロンはキャスティングが発表されたときには「スウィーニーはテノールが演る役じゃない」とバッシングを受けていましたが、低音も歌いこなしていたし、何より声が良すぎて耳が溶けました。魔法の声ですよ。Epiphanyの気迫と歌声の迫力が特にものすごかったです。何度でも聴きたいです。

髭がもじゃもじゃで顔つきも険しくしているので無愛想に見えるのですが、歌い出すと声が甘いのとミセス・ラヴェットとの絡みの中でふとした瞬間に見せる柔和な雰囲気が相まって、事件が起きる前の若く幸せだったころのスウィーニーが垣間見えるのがすごく良かったし辛くもありました。ターピン判事と出会わなかったスウィーニーの人生を想像してしまいます。そしてこのアーロンスウィーニーの魅力はミセス・ラヴェットにとっても酷ですよね。そりゃどんどん好きになっちゃうわな。アーロンの夢を見させる力というか醸し出すロマンチックさみたいなものはオーブンの前でのワルツでも存分に発揮されていてただでさえ大好きな場面にまた違った魅力が乗っかってとても好きでしたね。

サットンのラヴェット夫人は可愛かったです。あのツインお団子スタイルが似合いすぎる!そしてとにかくやりたい放題なサットンでした。登場シーンからニンジンを口で切っていると思ったらニンジンを鼻の穴の中にまで入れてそこからフンフン吹き出していました。面白いし謎すぎる笑笑 1番やりたい放題だったのはBy the Seaですね。歌いながらアーロンスウィーニーにとにかく触りまくって、最終的にはサットンラヴェット夫人はスウィーニーの座る椅子の真下に仰向けに寝っ転がって足でアーロンスウィーニーの耳を弄ったり、スウィーニーのシャツの首元を開いて胸を捏ね回したりしていました。1幕ではサットンがやりたい放題すぎてアーロンが笑いそうになっている(笑わなかったけどちょっと顔が綻ぶ)雰囲気があったので「今度こそ笑ってしまうのでは!?」という謎な不安に駆られながら見守りましたがサットンの攻撃をなんとか笑わずにやり過ごしたアーロンでした。サットン怖すぎる😂

サットンのラヴェット夫人はとんでもなく明るくて暗くて陰鬱な作品の雰囲気と対照的なまでなのですが、このやたら明るくてコミカルなラヴェット夫人は今作の持っているコメディの性質をかなり広げていたのが面白かったです。ちょっとした言い回しでもドッカンドッカン笑いをさらっていて作品をカラッとさせていました。そこに若くして全てを失って鬱々としたアーロンスウィーニーが出てくると落差でグッと引き込まれるし、反対にスウィーニーがラヴェット夫人に乗ってくるような場面では2人がやたらキラキラして何か真っ当なことを成し遂げようとしているかのような雰囲気になるのも面白かったです。

歌唱力は皆さん素晴らしく、特に『ハートストッパー』で話題のJoe Locke演じるトバイアスが伸びやかな歌声で良かったのとビードル・バンフォードとピレリ役の2人が短いソロでとんでもない歌唱力を発揮していたのが印象に残っています。

昨年にティム・バートン監督の映画版を見ていたので話にはついていけましたが、ソンドハイム特有のおしゃれな韻の踏み方や言い回しはまだまだキャッチできていないので近々ジョシュ・グローバンの音源を聴きながら歌詞を読もうと思います。

 

SDの話

酷いと思ったのが、ファイナルシーンになると周りの人たちがガサガサ準備をし始めるんですよ。それでカーテンコール中に出ていってしまう。多分ステージドアに並ぶために。観劇している人にすごく迷惑だし、舞台上の役者にだって失礼だと思いました。私たちも終演後に急いでSDに向かいましたが既に大きな人だかりができていました。このうちの何人が途中で抜けたんだと思えて悲しかったです。

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1番に出てきてくれたアーロンはめっちゃ遠い!遠巻きから写真を撮ることしかできませんでした。そのあとサットンとジョー・ロックが帰った雰囲気がありましたが気長に待っていると、アンソニーでU/Sを務めたFelix Torrez-Ponce、ターピン判事のJamie Jackson、ビードル・バンフォードのJonathan Christopher、
ピレリのRaymond J. Leeからサインをいただけました。皆さんペンは持ってきてくれていました。

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そして最後に出てきた乞食女役のルーシー・アン・マイルズにサインと写真をいただきました。恐れ多くも写真を撮ってもらった後も私は彼女が『王様の私』でチャン王妃を務めていたルーシー・アン・マイルズ様だと気づいていませんでした!チャン王妃のメイクと髪型のイメージが強かったので家に帰ってきてから気がつきました。レジェンドにお写真を撮っていただいてしまったわけですね!!大切にします😌✨

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SDの人だかりが捌けたあと、劇場に貼ってあるサットンのポスターの前で友人と写真を撮り合っているとタイムズスクエアにいた着ぐるみのミニーが写真に写り込もうとしてきました。怖かったしお金を取られても嫌なので追い払いたかった私から咄嗟に出たのは「I Love Sutton! So don't do that!!」笑笑 謎のサットン大好きアピに負けたのか偽物のミニーはすごすごと帰っていきました。

P.S.

実は今回の旅行を考え始めたときにはアーロンのスウィーニー登板は発表されておらず、私の旅行の目的は『メリリー・ウィー・ロール・アロング』を見ることでした。でもチケット代が高騰しすぎて、私はいくら好きな作品でジョナサン・グロフが出演しているとはいえ3階席に2万円は払えないと判断しました。Lotteryも試して外れました〜🙃

でもこうしてアーロンのスウィーニー登板が決まり、旅程もそこに合わせて後ろ倒して、ブロードウェイでソンドハイム作品を見ることができてとても幸せでした!!!

 

【今回の旅行記