Mind Palaceがない代わりに

来年には大学生じゃなくなるのでタイトル改めました。

柿澤ジキルの誕生に立ち会う『ジキル&ハイド』3/12 S 感想

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ずーっと先だと思っていたのにいつのまにか3月。時が経つのが早い。ちょうどWE遠征行く前日かなんかに解禁があったのよ。なつかし。

 

謎に緊張しながらフォーラムに着いたら、ロビーでワイホと鹿賀さんが何やら楽しげに会話してた🤗

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作品・公演概要

Jekyll & Hyde
原作: Strange Case of Dr Jekyll and Mr Hyde (1886 novel)
音楽: Frank Wildhorn(フランク・ワイルドホーン)
作詞: Frank WildhornLeslie Bricusseレスリー・ブリカッス)Steve Cuden(スティーブ・クーデン)
脚本: Leslie Bricusse
初演: 1990年 ヒューストン
          1997年 BW

ミュージカル『ジキル&ハイド』
劇場: 東京国際フォーラム ホールC
演出: 山田和也
上演台本・訳詞: 髙平哲郎

 

キャスト中心感想

柿澤ジキル&ハイド

実験開始おめでとうございます㊗️🎉 日本ミュ界の「この役はこの人が演じる」って固定されていってしまう状況に危機感を覚えていたので、ベテランの石丸さん+新キャストの柿澤さんでっていう今回のスタイルはとても良いな〜と思ってます!

 

解禁の段階から、薬作って自分を実験台にして人を殺してしまう社交性のない科学者なんて柿澤さん似合わないわけないじゃんと思ってたけど、やっぱりハマってましたね。ビクター・フランケンシュタインの系譜🐻

アターソン「君が墓を掘って死体を使って実験してるなんて噂も流れてるんだぞ(笑)」

ビクター「な〜んで今まで墓ばっかり掘ってたんだ〜😂

ビクターは葬儀屋撲殺したこと無かったことにして「アンリを死なせたら〜↑↑↑僕は殺人者〜😩」とか歌い始める倫理観のバグり方なのでヘンリーは割とまとも。「人を1人〜」ってちゃんと正式に手続き踏もうとしたの偉い!!

 

私の中のミュ界科学者=ビクターだし、役柄的にもやや似ているから比較しながら見てたのよ。そして科学者って成功を目指していく姿が「野心」と結びつきがちなのかな〜と思うのだけれど、柿ヘンリーはその「野心」による負のエネルギーみたいなものを敢えて一切出さないように組み立てられていて、そこに柿ビクターとの明確な演じ分けが感じられて良かった。柿ヘンリーの言動は「父を助けたい」という想いがベースになっているから、傲慢さはあまりない。「おやすみ、父さん」という台詞にヘンリーの全てがぎゅっと詰め込まれている感じがした。

 

評議会で全く取り合ってもらえなくて、呆れ困り果ててずっと笑顔になっちゃってるヘンリー好きだったな。そして落ち込む柿ヘンリーと励ます上川アターソン、必修落としそうな大学生と優秀な友人みがあってかわいかった。

 

今回1番刺さった場面はFirst Transformation。天才よ。柿澤さんの身体表現の素晴らしさが活かされまくってた。床にびったんびったん張り付いてたし、各部位が予想外の動きをするからそのまま本当に何か奇妙な造形に変化してしまうのではないかと思わされた。

 

そして柿ハイド。エキセントリックかつ明らかな狂気って感じでくるだろうと思ってたら、むしろダークヒーロー色が強めでびっくりした😳 ルーシーに手をあげていることを除けば「正しい」ことをしているように思えてきて応援したくなる。ダークヒーロー的ハイドの背景として、理想主義というか、純粋で幼いから清濁飲み込むことができないジキルの存在が大きいよな〜と思う。

ハイドのステッキ捌きに柿ジャを感じた。

 

2幕頭のMurder, Murderが華やかで楽しいのと、柿ハイドの殺しの手際があまりにも良いからスウィーニートッドもやってほしいなと思った。

 

ルーシーを傷つける奴は絶対許さないの民なので、ハイドはほんと死罪なんですが、「る〜し〜、る〜し〜」の言い方とDangerous Gameズルすぎて。。。

 

対決はほんっと楽しいわ〜!!!!曲前に手についたルーシーの血をナチュラルに顔に塗りつけて血まみれで対決し始めたので「うおおおおおおお🙌」ってなりました。ただ血糊べったり対決は初日限定だったらしいですね。きっとその後の結婚式のシーンに響くんだろうな笑笑

 

そして柿澤さんめっちゃ楽器を育ててきてた!時が来たを中心にジキハイは鬼肺活量ソングが多めなので楽器の大きさ?(体格は関係ない、抱えて響かせる空気の量的な問題かも?)が必要になってくる中で、相性的にどうなのかなと思ってきたんだけど、ミュージカルTVと歌唱披露から何段階にも楽器がデカくなってた。低音もかっこよかった。

 

歌声的には、ジキルの方が普段の歌声を少し柔らかくした感じ。高音刺すところは刺す。ハイドは太めでビブラートかけて響かせてる。これもまた逆で来るかと思ってたから意外だった!

 

希帆ルーシー

大好き💘 ルーシーを不幸にする奴は絶対許さないマンになる!


A New Lifeで手紙を指でなぞりながらたどたどしく読み上げるルーシーに泣いてしまう。彼女はきっと十分な教育を受ける機会はなかったんだろうし、無知なんだけれど「決して愚かではない」と感じられる希帆ちゃんのお芝居とても好きだった😭なんで幸せになれないんですか?ほんとハイドなんなんですか??

 

希帆ちゃんはソプラノ鬼強音圧のイメージが強かったけれど、地声張り上げもうまくてしっかり役にぴったり合った歌声で完成させてくるところが大好き!!ってなりました。「連れてきて」の希帆ルーシーカッコ良すぎて😩✨声色が最高なのよ。ゲネ映像にも残ってるよ。ジキハイ、エマ&ルーシーの描き方を筆頭に解せないポイントで溢れかえってるんだけれど、希帆ちゃんの歌声で納得させられる。思いっきりねじ伏せられた。好き。


Dangerous Gameもやっばかった。ひゃーー🙈ってなりながら見た。視覚にだいぶ神経持ってかれちゃって歌詞全く覚えてないのが困った!


カテコでめっちゃにこにこ会話してるかきほ。塩ちゃんにちゅっちゅっちゅって投げキッスする希帆ちゃん😘 玲香ちゃんのベール弄りながら柿澤さんが上手にはけたら、「なんでそっちに行くのー!」って感じでぷりぷりしつつ「じゃあ上川くんとはけよー」ってしてる希帆ちゃんのかわいさにやられた。

 


桜井玲香ちゃんのエマは素敵だしかわいいんだけど、歌にお芝居が乗ってこなくてうーんってところだった。そもそも作品におけるエマの描かれ方自体もあんまり良くないと思ってるんだけど、エマのシーンで作品が停滞しちゃうな・・・と思った。

 

上川くんのアターソン陽キャで面倒見が良くてめっちゃいい奴。ヘンリーが部屋から出てこなくてエマが追い返されるシーンで「俺にすら会わないんだ」っていうアターソンくん図太くて好き笑笑 友人>フィアンセって価値観いいと思うよ。

畠中さんのストライドさんはかわいい。どんだけエマのこと好きなん🤗

 

作品について思うところ

ハイドの目的

ハイドの性質として、解放された喜び、理事会メンバーへの殺意 (復讐かつ世直し的)、ルーシーへの肉欲+支配欲、ルーシーがヘンリーを好きなのは嫌ってのがある。じゃあハイド→ヘンリーに対しての気持ちはどんなものなんだろうってのが描かれてない、はず。別に憎んではなさそうだけれどどう思ってんだろ。ハイド的にはたまに出て暴れられる今の状況がベストなのかなとか考えてたけどわからずじまい。今後も考えとく。


ヘンリーの実験は罪なのか

フランケンでは怪物がビクターの大切な者を全員殺すことで、ビクターの実験は罪であり罰せられるってことを示してる。対してジキハイにおけるヘンリーの実験は罪なのかどうなのか。ヘンリーは苦しんで死ぬけれど、ハイドがエマに危害を加えるのを防ぐことができたし、エマの腕の中で、しかもエマが自分を変わらず愛してくれているのを確信して死んでいく。ヘンリーは幸せな死に方をしたので、罰せられたとは思えないんですよね。でも実験の結果生まれたハイドがルーシーを殺したことを思うと (評議会メンバーはそこそこ悪人だから一旦置いておくとして) やはり実験は罪だと感じられる。実験が罪なのかどうなのか、しっかり作中で示されないのは今作のもやっとポイントの1つ。

 

ルーシーの罪とは

ハイドがヘンリーの声真似

→ヘンリーかと思ったらぬか喜びだったルーシー

→ルーシーの肩・首辺りを触るハイド (=ヘンリーの治療と重なる)

→曲入り

って流れを考えると、ルーシーはヘンリーに想いを寄せながらも、ハイドにヘンリーを重ねて抱かれる選択をしたのが罪ってことになって、彼女が殺されるのはそれに対する罰だと考えられるんだけど、ヘンリーの死が罰であるようには見えない分、なんでルーシーだけそんな罰受けなきゃいけなならんの?と思ってしまう。あと娼婦が肉欲に溺れるっていう展開も割と不満。

 

エマとアターソンの役割

エマは「待ち続ける妻」アターソンは「献身的な友」という役割でしかなくて、そこからキャラクターとして動き出してこないのが気になった。特にOnce Upon a Dreamの作劇上の効果が感じられなかった。過去のPVを見ると玲奈エマ&エマエマは、過ぎ去った夢を苦々しい気持ちで振り返るような演技プランだったぽくて多分そういう方向だったら理解できたんだけど、今回の公演ではどちらかというと幸せそうな表情で歌っていて「わからん!」ってなった。エマ周りの脚本が弱い分、役者の力で補わなくちゃいけない部分が多いんだと思う。

 

脚本的に不満は色々あるんだけど、音楽の力で楽しくなってしまう作品〜!家でずっとAlive口ずさんじゃう!

 

 

【柿澤さん関連】

【希帆ちゃん関連】

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