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冗長で仰々しいが、きっとこういう様式美 雪組『ベルサイユのばら』 -フェルゼン編- 9/7 M 感想

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初のベルばら!原作もアニメも、宝塚の映像も見たことがなかったので、正真正銘の初見!

 

作品・公演概要

ベルサイユのばら

原作: 池田理代子による漫画『ベルサイユのばら』(1972~73年)
脚本・演出: 植田紳爾
初演: 1974年 兵庫

 

宝塚グランドロマン
ベルサイユのばら』 -フェルゼン編- ~池田理代子原作「ベルサイユのばら」より~

劇場: 東京宝塚劇場
脚本: 植田紳爾
演出: 植田紳爾谷正純
作曲・編曲: 𠮷田優子、寺田瀧雄、入江薫、鞍富真一、河崎恒夫
作曲: 平尾昌晃
編曲: 伊賀美樹子

 

 

キャスト

フェルゼン: 彩風咲奈
マリー・アントワネット: 夢白あや
オスカル: 朝美絢
アンドレ縣千
メルシー伯爵: 汝鳥伶
+78人

 

感想

これが「宝塚歌劇団の様式美」なのかも

上演が発表されたときから「宝塚ベルばらは賛否両論」という印象を受けていました。実際に見てみて「なるほど」と納得。

BWやWEをはじめとする海外版権ミュージカルに慣れていて、それを(無意識にでも)期待していると「あれ?」となります。

場面と場面はぶつ切りされたようで繋がりが滑らかでないし、脚本の盛り上がりと楽曲の挿入部分も一致していない(「ここで歌わないのかい!」というツッコミどころが多かったように思います)。

ストーリーは分断されたお芝居・歌・ダンスを見せるためのお飾りにすぎず、それは脚本と楽曲が密接に結びついた「今でいうところのミュージカル」が完成するよりも前の作品群に近いです。

私は古い宝塚作品を見たことがありませんが、朝ドラの『ブギウギ』を見ていた感じ、昔の歌劇に近い形なのではないでしょうか。レビュー形式のような。

演じ手や見せる側も「今でいうところのミュージカル」とは違ったアプローチをしていたように思います。

まず驚いたのは幕が開いてすぐに「前説」のような楽曲があること。花が散りばめられたゴージャスな舞台の中で、本編とは無関係な役どころの役者が華やかに歌い踊る姿は、私が宝塚の作品を見る前に抱いていた宝塚歌劇団のパブリックイメージそのもののような光景でした。

その次に驚いたのは、マリー・アントワネット、フェルゼン、オスカルの3人の場面。背景のセットには、原作そのままの3キャラクターの絵が掲げられていました。これまで漫画原作の舞台作品を何作品か見てきていますが、こんな手法は初めて見ました。(ここの場面は3人並んで乗っている台が表彰台にしか見えなくてじわじわと笑いそうになりました)

2次元のキャラクターを舞台上に3次元に起こして、リアリティを持たせようとするならば、舞台に2次元の「元絵」を持ち込むことはしないと思います。この辺りで、私はこの作品が普段見ている「ミュージカル」とは違うぞ、ということに気づきました。

早いところそれに気づいて、受け入れ始めると、長々とした台詞パートや大仰でゆったりした演技も「あえて残している」、作品に合わせて「あえて仰々しい演技をしている」のだと分かりはじめました。これは様式美の追求なのですね。

この様式を美しいと思うか、好ましいと思うかはかなりはっきり分かれてくるのだと思います。私は、あんまり好みではないかな。でも、古典芸能に初めて触れたときに感じたような「こんな世界があるのか」という新鮮さと、それが継承されてきたことへの尊敬の念のようなものは湧いてきました。

 

それでもやっぱり「ミュージカル」として見て、批評してしまう自分もいて・・・。話の筋としてヴァレンヌ逃亡がないとフェルゼンの到着が遅すぎる、とはならないか?とか、コンシェルジュリーで同じ背景同じトーンでメルシー伯爵&マリー、フェルゼン&マリーの長い会話が続くのはどうにかすべきでは?デュエットをもっと効果的に入れて気持ちを表現しては?とか考えていました。

 

初めて「ベルばら」の世界に触れて

ベルばらの物語でまず驚かされたのは、オスカルが女だと作中で皆が知っていること。

オスカルが男装の麗人だということは私も知っていましたが、勝手にそれを隠して生きているものと思い込んでいました。アンドレは幼少期から共に過ごしてきたとのことだったので、知っていても違和感はありません。が、フェルゼンもとは。

そもそもなぜオスカルは最初からフェルゼンが好きなんでしょう。一通の手紙でアンドレに心変わりするのもなんだかな、という感じです。この辺りは漫画やアニメで見たら分かるのでしょうか。古典芸能だから、あるいは2.5次元ミュージカルだから、予備知識が必要なのかもしれません。

 

演者さんたちはキラキラしていました。彩風さん(以外、咲ちゃん)と夢白あやさんは相変わらず見目麗しさが凄まじいし、朝美さん(以下、あーさ)は眩しかったです。

そう、潔くて眩いあーさオスカルにとても惹かれていたので、アンドレに気持ちが傾いてから急に女仕草になるのが耐えきれず・・・。人を好きになっても覇気があってカッコいいままのオスカルでいてほしかったです。

 

 

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