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ミュージカル観劇レポの保管庫です

飛行士の物語としての『リトルプリンス』1/29 M 感想

公演始まるまでは完全にノーマークだったのですが、公演が始まると素晴らしいとの評判がたくさん舞い込んできて気になりだし、チケットをお譲りいただいて観劇してまいりました。素晴らしかった~!!!!劇場を後にしてからもしばらくはうっとりしたため息だけが口から零れ落ちていく。そんな素敵な公演でした。言葉にするのが難しいのですが、なんとか書き残す努力をしてみようと思います。

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前日に友人が持ってきてくれた原作をさーっと読ませてもらったのですが、読んでおいてよかった!ありがとう友人!もちろん読んでいない人も楽しめるとは思うけれど、ベースがあるとすっと入ってきますね。今度はゆっくり読み返そうと思う。

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シンプルなセットは原作の多くを語りすぎないところとかミニマルな印象を表現していてよかったです。壁に空いた穴が無数の星にもヘビが消える穴にもなる🕳

飛行士の物語としての『リトルプリンス』

原作はあまりにも猛スピードで読んだ分ほとんど何も拾えてないの可能性が高いからまた読んでから考え直すかもしれないけれど、原作を読んでいるときは、飛行士と王子さまは完全に切り離された個体として受け取ったんですね。けれどミュージカルでは飛行士の内側に在る王子さまを強く感じましたし、花もヘビもキツネも全て飛行士が内側に持っているものであるように感じられました。関係が拗れている彼女、死の誘惑、キツネはうーんまだわからないや。原作読んで考えます。でも飛行士とキツネは同一キャストが演じているという点では最も明示的に繋がりが示されているのよね。たいせつなことは目に見えないというキツネの言葉も飛行士によって繰り返されるし。ここはおいおい深追いしたいです。

こんなことを書きつつも、私は飛行士の内側の物語としての美しさと王子さまやキツネや花が飛行士の外側に存在した物語としての温もりを混在させながら受け取りました。どちらかを切り捨てるにはあまりにも両方とも素敵ですからそのような見方をできてよかったなーと思います。

王子さまと花のやり取りを飛行士がずっと舞台上で眺めているのに対してはじめは疑問に思ったのだけど、まさかカットインしてくるとは!冒頭で触れられた飛行士と彼女の間にある何かしらのわだかまり、そして彼女を置いて霧の中を飛んできたことは王子さまが花を星に置いてきたことに重なる。これだけでも十分美しいリンクだけれど、王子さまと花のやり取りに飛行士が介入し、彼女に対しての苛立ちをぶつけることで『リトルプリンス』の物語の軸が飛行士の物語として定まってくる。カットインするっていう演出の面白さ、視覚的な面白さもあるし、物語全体を洗練されたものに持ち上げる効果もある素晴らしいシーンだと感じました。

キャスト別感想

こんなにもキャストさんたちがぴたっとハマりきっている公演ってなかなかない気がします。声質、演技、まとう雰囲気、音域含め。最高のキャスティングがなされ、最高のパフォーマンスがなされ、素晴らしい作品が出来上がる。そうやって作り上げられた作品は特別に大きな力を待っているなということを改めて実感しました😭😭😭

梨里香王子さまとっっっっっっても素敵だった!!!純粋無垢できらっきらで好奇心のかたまりで重力がないみたいにぱたぱた駆け回って歌声は澄み渡っていて王子さまがそこにいたわ!ほんとうに素晴らしかった。全編ほぼ出ずっぱりでこれだけのパフォーマンスをできる梨里香ちゃんすごすぎる。

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大きな耳に挟まる梨里香ちゃん王子さまと頭わしゃわしゃされとる芳雄さんキツネがそーきゅーとでした🥺💕

花を演じる花さんのすばらしさは後世に語り継ぎたいです。なんてチャーミングなんでしょう。美しくて優雅でわがままでかまってほしくてさみしがりなのに強がりでこんなにも愛おしい気持ちになる、王子さまから花への愛を観客がそのまま自分の心に見つけることができる。素晴らしいお花様でした。

ヘビの大野さんははじめましてでした。うまーーい!動きの滑らかさが最高でダンスシーンはずっと見ていられる、むしろ足りない、もっと見たいって思わされる。歌も圧がすごくてどっちもできるんかーいっていう衝撃。撤退するときに壁をするする登って上の段の穴に消えたり、小さな穴にしゅーって消えたり、ヘビでしかないです。すごい!

飛行士!芳雄さんはよく見ている気になりがちだけど実は生で見たのはプロデューサーズだけなんよな。あれはドタバタコメディだったから今回はなんだか新鮮な気持ちでした。王子さまに出会ってすぐの彼は「箱の中のひつじが見えなかった」って言うけれど、見たいという気持ちを失っていない、大人になりきってはいない、そんな心が見てとれてとても素敵でした〜

キツネさん!!!なんて愛おしいキツネさんを作り上げてくるんですか芳雄さん!最初の方の、まだ飼いならされていないけれどほだされ度は高めなキツネさんが可愛すぎる。音楽座の音源の「トゥギャザー」聴いては王子さまとキツネさんのシーンを思い出してほわほわする。「黄金色の麦畑」も素晴らしかったし、王子さまの頭をしっぽでぺしぺしはたいてくすぐって王子さまが笑っているうちに走っていなくなるキツネさんの姿を見てもう心のダムが決壊して感情の洪水が起こりました。

カテコの飛行士で出てきたと思ったらしっぽを後ろに隠しているのもいいですよねー!去り際も壁からしっぽだけ出して振ってたし!しっぽの使い方を熟知している🦊

 

友人に言われて音楽座の音源があることを知りました。Spotifyとかamazonミュージックにもありますので音源の存在に気づいていない人に届きますように〜

The Little Prince

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