Mind Palaceがない代わりに

ミュージカル観劇レポの保管庫です

唯アンジョは担がれた首領?『レ・ミゼラブル』1/25 M 感想

@帝国劇場

f:id:yadokarinko:20250217095123j:image

今期3回目でした〜!過去2回はこちら👇

キャスト

f:id:yadokarinko:20250217095149j:image

ジャン・バルジャン: 佐藤隆紀
ジャベール: 石井一彰
ファンテーヌ: 生田絵梨花
エポニーヌ: 屋比久知奈
マリウス: 三浦宏規
コゼット: 加藤梨里香
テナルディエ: 駒田一
マダム・テナルディエ: 谷口ゆうな
アンジョルラス: 小林唯
グランテール: 近藤真行

ガブローシュ: アッカヤ陽仁
リトル・コゼット: 平山ゆず希
リトル・エポニーヌ: 井手陽菜乃

+23名

 

キャスト中心感想

今回はまず、佐藤(しゅが)バルジャンのプロローグの悪のオーラに圧倒されました。「銀の食器だこいつは高い」のあとのニヤッとした笑顔が完全に悪役のそれで「悪シュガー良すぎる!?!?」とぶち上がりでした。ホットでした。すでに記憶の彼方ですが、2021年のしゅがバルはそんなにワルワルしてなかったと思いますよ!?!?(このポテンシャルを待つしゅがさんに解像度が低すぎるモラハラ夫役をやらせた『ベートーヴェン』・・・。)

喉の調子は良くなさそうで「生きてきたのだ 俺の人生」が結構力技だったので「生まれ変わるのだ」も心配していましたが、そこは流石プロ!

それにしてもここ数回(2023年末の韓国版含む)は、プロローグはヒヤヒヤしながら見守ることが多くて、バルジャンという役の過酷さに改めて驚かされています。2021年はたまたま皆さんの調子が良い日に当たった説もあるんですかね。最近は結構ギリギリのことが多いです。あの音域の幅、歌い方の幅、そして稼働量。過酷すぎますよね・・・だからこそ素敵な役なのですが。歴戦のスーパー歌うま俳優さんたちをも苦しめる、とんでもない役です!!

そんなことを考えながら、配信ライブか何かでハドリー・フレイザーがラミン・カリムルーに「バルジャンもやりなよ!」と言われて「嫌だよ、大変だし。ジャベールは楽屋でゆったりできていい」と話していたのを思い出しました。もちろんハドリーはやろうと思えば出来ちゃうんだと思うんですけど、そんなジョークが飛び出すくらいにはバルジャンは過酷ですよね。

それはそうと、しゅがさんの声はやっぱりとても素敵で、作品のテーマにもぴったりで、大好きでした。柔らかくて温かみがあるから他の人とのハーモニーも最高!!BHHも最高!

 

石井一彰さんは、これまで見たかったのに見逃してしまった作品に出ていることが多くて、生で見るのは初めてでした。ロミジュリ2011年版CDのマキュでお声は聴いているんですけどね。立ち姿がかっこいいのはもちろん、声量もあって、ビブラートをかけながら帝劇の空気を揺さぶるパワーがあって上手でした。

ジャベとしてはややサッパリめで、何回かちゃんと腹を割ってバルジャンと話せば、彼もまた光の道に行けただろうにと思います。学生でも見てみたかったな〜と思っていたら、東宝ミュージカルアカデミー出身だし、フイイやってたんですね!本物の「昔は俺も戦った」だった!!

細かいところだと、石井ジャベは「わからんぞ」で「そ↑」がしっかり上にあがってて本当にわからなさそうで可愛い。絶対に自殺以外の道があったジャベールだよ!!!

 

生田絵梨花さんも生で見るのは初めてでした。前期のエポは見てなかったので! 生田ファンテは工場での振る舞いから、あまり人の目を気にせずに自分の正義に従って生きている感じがあり、いわゆる「優等生」的な立ち居振る舞いが反感を買ったんだろうな〜と容易に想像できました。

音域は合っていて音もばっちりハマっているのですが、音圧・声量・感情のギアはもう3段階くらいほしいな、というところでした。ハリのある素敵な声ですが、声色での表現の幅が狭くあまり調子がかわらないような印象もあり、夢やぶれてがやや物足りなかったです。

 

屋比久エポの感想は前回も書きましたが、また違ったお芝居を見せられてぶっ飛んじゃいました。

前回は中桐マリウスの前で「可愛くない女」を演じ続けるエポが大変切なくそして可愛らしくもあったわけですが、今回の対三浦マリウスではもうちょっと素直に恋心を表に出していたんですよ。強がりを言った後もしっかりマリウスの反応を気にしているし、気を許している度合いも高い気がします(もしかして2期目の組み合わせだから?)。

そして歌声は安定の屋比久バズーカ。今回一緒に行った子は初の生レミゼだったんですけど、終演後「屋比久ちゃんだけ声量おかしいて。笑けてしまうくらい上手😂」と言っていて「わかる、そうなんよ😌」と深く頷きました。

そして、私は屋比久エポのキリキリとした鋭さが好きなんだよな〜と改めて感じました。研ぎ澄まされた身のこなしや物言いに、厳しい寒さと貧しさの中を「生き抜いて」きたエポニーヌの人生が透けて見えてきます。

私たちが見る屋比久エポはマリウスに夢中な時期だけれど、全然違う時期の屋比久エポに出会ったとして、優しくなんてしてくれなさそうで(したくてもできない。金と心に余裕がないと善くあることは難しい)、そこがたまらなく好きです。そんなこともあって恵みの雨のあとにマリウスに「暗い人生〜」とか歌われるとカチンと来ます笑 

今回3期目ですよね。。。まだまだ見たい。けど新しい役もたくさん見たい。

 

三浦マリウスはなんだかズルい人でしたね。「誰が導くか 誰がこの国を」で怒りと情熱がこもった(少し恐ろしさも感じる)演説を見せたあとのエポニーヌとの気さくな会話のギャップ。「サツも探してた」でニヤッと笑う姿を見ながら「なるほど、エポニーヌはこういうところに夢中になっちゃったのか」と。

アベセでも圧倒的愛され陽キャで「恵まれた家庭で育ったいい奴!!」って感じでした。その点、この作品において(少なくともミュージカルにおいて)マリウスだけは「ミゼラブル」ではない、のかもしれません。もちろん友を亡くし、1人だけ生き残った苦しみを背負いながら生きていくことにはなるわけですが。

歌は前期よりも音程のハマりが良くなっている&楽器が大きくなっているように思いました。

話は逸れますが、今期見た中桐マリウスも三浦マリウスも結婚式でのテナルディエ殴りに突然のやんちゃ味があって大変好き〜!

 

駒田テナは流石の上手さ。なんかもう秘伝のタレみたいな感じですよね。憎めない愛嬌と底の知らない恐ろしさが共存する熟練の技。

今回はハプニングが多めな公演で、宿屋の後半にテナルディエがお客さんに両脇を抱えられて椅子や机の上をタタタッと駆け上がる場面で、1個目の椅子から机に上がれずにそのまま机に向かって盛大に激突していてびっくりしました。何事もなく2つ目の机に登っていって曲は終わりましたが、そのあとマダムのパートに移る前かな?のオフマイクで駒田さんが「滑ったわ!」と言っているのが聞こえました笑 お怪我なさそうで良かったです。

その前に小林バマタボアがファンテを蹴っ飛ばした瞬間クツがスポーンと天高く舞い上がってオケピのすぐそばに着地したのを目撃したあとだったので「今日はハプニングデーだー!!」と少しアワアワしながらの観劇でした。

 

梨里香コゼットと谷口マダムは安定に上手い〜!

 

唯アンジョは担がれた首領?

2021年の緊急事態宣言明けに見た『キャッツ』ぶりの小林唯さんでした!あのときはまだ認識しておらず、スキンブルシャンクス上手い、としか記憶にないので、今回がほぼ初見でした。

事前の歌唱動画などから「上手いな〜、良い声だな〜、小野田さんや海宝さんも感じるな〜」とずっと楽しみにしてきた唯アンジョをやっと見られて歓喜です!

「この声、この歌い方なら唯アンジョはきっと厳しめ、神性高め、ピリリとした小野田アンジョ路線!」と勝手に想像してきたわけですが、舞台で見るととっても人間らしいアンジョでした。

Look Downの演説にはかなり「怖い系アンジョ」の可能性を感じて、燃える太陽の矢でしたね。アベセ→砦と人間味がどんどん上がっていきました。絶対怖い系アンジョも似合うと思うんだけどな?(厳しいアンジョに飢えた個人の見解です)

唯ンジョのアベセ〜民衆の歌は、落ち着いた肝の据わった感じがありつつも、ちょっと自信満々でドヤっとしたところに自らの力を過信している雰囲気がありました(決めポーズとかも絶妙にスタイリッシュじゃない!笑)。あのアベセのリーダーはアンジョルラスで間違いないんだけれど、周りからの純粋な信頼と学生たちが思い描く理想の首領像を投影されて、それを自分でも信じてきっているような。

でも結局のところ1人の若者でしかなかった・・・というのがわかるのがガブ死での動揺の大きさだったなと。遺体を預けたあとでその場にへたり込んでしまって自分で起き上がることができず、フイイと(クラクスー枠?)学生に助け起こされてやっと「死のう」に繋がる。

ここの「死のう」はちょっとヤケクソ気味にも感じました。砦を見ながら、これが最善の道だったとは思えない、というような気持ちになったのは初めてで新鮮な砦でした!これだから新しいアンジョに出会うのは楽しすぎますね〜🫶

あと流石キャッツ役者ですね、結婚式給仕の捌け際の脚上げがとんでもなく高く美しくて笑ってしまいました!

 

過去のレミゼの感想は「レ・ミゼラブル」タグに格納してあります〜🇫🇷 合わせて読んでいただけたら嬉しいです〜