3月、怒涛の観劇ラッシュの締めくくりは『ジェーン・エア』でした。
2回目でストーリーがわかっているのと音楽が耳に馴染んできた影響もあってか、前回よりも楽しんで観劇したように思う。独特の台詞回しにも慣れてきた。1回目に「精霊」だと思って聞いていた歌詞は「セイレーン」だった。
萌音氏と芳雄さん、声の相性が抜群にいい。
前回の屋比久ジェーン回の感想はこちら
萌音ジェーンを形作るのが屋比久ヘレンって最高じゃん?
萌音氏ジェーンの場合、大人になったジェーンと幼少期のジェーンのギャップがかなり大きいのよ。だからこそ、その間を繋ぐ屋比久ヘレンの存在がとても際立つ。萌音ジェーンのあたたかいお芝居と声質の根底には、屋比久ヘレンがいると思うと胸が熱くなるし、最後にヘレンがジェーンの子どもを抱いて出てくるところでも心を掴まれた。
Painting Her Portrait の比較
今作の中でとても好きな場面の1つ。ロチェスターが「俺はブランチ・イングラムと結婚する気だよ~」っていう余計な匂わせ(実際はジェーンを嫉妬させたかっただけ)をしてきたことを受けて、ジェーンが歌うのがPainting Her Portrait。
屋比久ジェーンは、普段から冷静で感情をあまり表に出さない分、ロチェスターに気に入られていると勘違いした「自分の愚かさ」に驚き呆れて動揺しているギャップがとても印象的。
萌音ジェーンは、柔らかい心が普段から見え隠れする分、彼女が自分を嘲る様子に胸が苦しくなるし、彼女のがっかりした気持ちにとても共感できる。
どっちのジェーンも素敵だったし、ロチェスターはなんなんですかまったく。
ジェーンの選択について
彼女がソーンフィールドを発ってから再び戻ってくるまでの選択について考えてみると、私の解釈ではこうなったのね。
妻のいる人を愛してはならない(イングラム嬢との結婚を匂わされた時にもそんなことを言っていたように思う)
→ソーンフィールドを出なければならない
→神が示すなら宣教師の妻になろう
→ロチェスターの声が聞こえる
(=神の答えはNO)
→ソーンフィールドに戻ろう
(=妻のいる人を愛するのは罪だが)
それで実際にソーンフィールドに帰ってきたら、ロチェスターの奥さんは死んでいてたわけだけれど、もし彼女が生きていたらジェーンはどうしたんだろう。罪を抱えて生きる覚悟をしたということなんだろうか。原作読めばわかるのかしら。
ロチェスターの罪とは
ジェーンとの結婚後、ロチェスターの視力は徐々に回復して、彼と同じ目の色をした子どもを見ることができる。それをジェーンは「神が罰を緩めた」と考えていたのだけれど、ロチェスターの罪ってどれを指すんだろう。妻の存在を周りに隠し続けていたことなのか、ジェーンを騙して二重結婚しようとしたことなのか。だとすれば、彼の罰が緩められる理由はなんだろう。屋敷が燃えたときに妻を助けようとしたことなのか。それにしては、暫く時が経ってから視力が戻るっていうタイムラグが気になる。わからん。神による罰の与え方がいまいち掴めない。やっぱり教養が足りないのか。
そう、私はジェーンを傷つける奴は許さないマンなので、ロチェスターに対して当たり強めなんですけども、彼には「金のために家族に売り飛ばされた」っていう悲しい過去があるのよね。それにしても、2回目の鑑賞で展開をわかっている分、彼が具体的な説明をしないままジェーンに泣きつく様子を見て「報連相しろ!」って思っちゃってけどさ。売り飛ばされた=家族を失い、かつ新たに得た家族の気が触れていた、彼の孤独には前回よりは寄り添って観劇できたような気もする。いやでもな。ジェーンへのプロポーズがだんだん「俺を助けてくれ」って内容になってくるのがな。確かにロチェスターはユニークだけどもさ、本当にいいのか?ジェーン!そいつでいいのか??ってなってしまうよね。
最後に
2回見てやっと作品の魅力を味わえたような気がする。ジェーンの歌う「どうぞ世界よ見捨てなさい でも私を壊せやしない」という歌詞がとても好きだったわ。しっかり教養を身につけて、古典作品を味わいつくすことができる人間になりたいな。やっぱりジルーシャを見習おう。
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