2022年公演も気になってはいたけれど行けなかったので、初モダンミリーでした〜👠 観劇後ずっとGimme Gimmeばかり聴いてます!
作品・公演概要
Thoroughly Modern Millie
原作: Thoroughly Modern Millie (1967 American musical film)
音楽: Jeanine Tesori(ジニーン・テソーリ)
詞: Dick Scanlan(ディック・スキャンラン)
脚本: Richard Morris(リチャード・モリス)& Dick Scanlan
初演: 2000年 サンディエゴ
2002年 BW
2022年 東京(2020年は全公演中止)
劇場: シアタークリエ
演出・翻訳: 小林香
訳詞: 竜真知子
キャスト
ミリー・ディルモント: 朝夏まなと
ジミー・スミス: 田代万里生
トレヴァー・グレイドン: 廣瀬友祐
ミス・ドロシー・ブラウン: 夢咲ねね
チン・ホー: 大山真志
マジー・ヴァン・ホスミア: 土居裕子
ミセス・ミアーズ: 一路真輝
ミス・フラナリー: 入絵加奈子
バン・フー: 安倍康律
+アンサンブル 11人
作品感想
プロットは大味でもミュージカル表現は絶品
2組のカップルの恋の行方を追うメインプロット、「愛か金か、愛に決まっているだろ」という強烈なメッセージ、そしてなんだかんだ全てが丸く収まる大団円は、2000年代初頭の作品にしてもだいぶ「古典的」な感じがします。1967年の映画からの要素が強いのでしょうか。ジュリー・アンドリュース主演ということなので、近いところ見て確かめようと思います。
靴を片方だけ盗られるミリーだったり、そんなミリーを「カンザス」と呼ぶジミーだったり、細かい描写はとても面白いんですけどね、ストーリー面での新鮮さはあまり・・・という感じ。
ただ、歌やダンス、ミュージカル表現の魅力はとてつもなかったです。
ホテル・プリシラの「誰かがタップの練習をしたせいでタップを踏まないと動かないエレベーター」は衝撃的でした🫨 そんな発想どこから出てくるんでしょうね〜!1幕でキラキラのミリーとドロシーがタップを踏むだけでも楽しいのに、2幕のドロシー救出の場面ではミリーがジミーとグレイドンを率いて3人でタップを踏むのには本当に驚きましたし、大興奮でした(この場面の朝夏まなとさん、以下まぁ様のドヤ顔も最高👍)!
机に座った速記者たちがタイプライターの音を足元のタップで表現するのも素晴らしい👏👏👏 『メリリー・ウィー・ロール・アロング』のOpening Doorsにも通ずるな〜と思いました。
飲んでいたクラブが検挙されたあとのマグショット撮影の場面もとっても好きでした。1人1人とハッちゃけたポーズで写真を撮って捌けていくパーティ客と、撮影を待ちながら話すミリーとジミー、とても良かった~!
楽曲も好きでした。やっぱりなんといってもGimme Gimme・・・曲自体は素晴らしいのですがこの公演ではあまり目立っていなかったのが残念。というのも肝心の「Gimme Gimme」というフレーズが訳詞によって無くなってしまうんですよね。訳詞問題は本当に難しい!そして歌唱面も・・・という感じだったので。この辺りはキャスト感想でまた。
観劇後、OBCを聴きながらこの「Gimme Gimme」というフレーズとJimmyという名前、なんならMillieも掛かるな〜と思いました。作品通して言葉遊びになっているのかも?
中国人の描き方についての対応
今回の上演ではブロードウェイチーム側からの要望でミセス・ミアーズの役どころに変更が加えられ、歌や台詞も大幅に変わっていたようです(そして改訂版の世界初演にあたるそう)。一路真輝さんがブログで書いていました。
新「モダン・ミリー」 | 一路真輝オフィシャルブログ Powered by Ameba
今回の「モダン・ミリー」再演は、
アタクシ演じる(ミセス・ミアーズ)の
役柄が大幅に変更になる為、
ディックさん、マイケルさん緊急来日
ミアーズ関連の台詞、歌詞、音楽!
ほとんどが変わります!
(略)
栄光と歴史あるブロードウェイ作品の改訂版を、
世界で初めて演じさせて頂ける!
こんな名誉な事はないです。
しかとプレッシャーと向き会い、
楽しい作品になるよう精進します。
私は元のバージョンを見ていませんがWikiのあらすじには、ミセス・ミアーズは元女優で香港の白人奴隷売買組織のために働いていて、孤児の少女たちを誘拐、東洋に出荷している、と書かれています。そして少女たちの愚かさをThey Don't Knowというナンバーで嘲笑するようです。
対して改訂版のミセス・ミアーズは、ドロシーの持っている高額な手形を見て、彼女の誘拐を企み始める...という役どころになっています。誘拐で金を儲けようとするという本質は変わらないままなので「白人奴隷売買」という部分を嫌った形かと思いましたが、どうやら詳しく読んでいくと旧バージョンはミセス・ミアーズが「中国人のふり」をするらしく、そういった描写を取り除くための改定だったようです。
そもそもこの作品の「中国人描写」はアジア人のステレオタイプを助長するとして批判の的になっていたようです。確かにミセス・ミアーズの話す英語を解さずにドタバタ喜劇要因の役割を担うチン・ホーとバン・フーは見ていてあまり気持ちのいいものではないかな・・・というところでした。アジア系がプリンシパルを張る機会の創出になっていただろうとは考えられますが、出られればいいというものでもないですしね。
かといって「こうだったら良かったのに」という展開も思い浮かばず。ドロシーの愛を勝ち取るチン・ホー、ラジオで磨いた能力で仕事を得るバン・フーは物語の着地点としてはそれなりに納得のいくものですし。やっぱり少し前の時代の作品と向き合うのは難しいです。嫌ではないですし、古い作品に触れる機会があるのはありがたいことですが。
演出・キャスト感想
やっと小林香さんの演出を見られる!と張り切っていましたが、どうやら2021年の『マドモアゼル・モーツァルト』で見ていたらしい!今回の『モダン・ミリー』を見て、今春の『王様と私』も見たかったな・・・と思いました。
今回の公演はクリエの限られた空間の使い方が巧みでした。3階建てのセットの2階にバンドを置くのが華やかでいい。
それにメインのお芝居は1階で進めつつ、3階にグレイドンのオフィスを置くことでニューヨークの摩天楼をイメージしやすくなるし、金持ちと結婚したいというミリーの上昇志向とも重なるし、すごく「理にかなった」セットになっていると感じました。
1階が一面回転扉になっていて瞬時に場面を切り替えられる+人の出入りも賄えるのもいいし、ホテル・プリシラの場面では2階・3階も客室ドアの描かれたセットが出てきて驚きました(最初はこの場面転換に全く気付かず、「いつの間にドアが?」とびっくり)。
配役も作品にハマっていました!
まぁ様ミリーは思い切りの良さと溌溂とした雰囲気が輝いていました。あの明るさは天性のものなのでしょうか。オーバーになりすぎないけれどコミカルでポップなお芝居で作品の楽しさが増し増しになっていました。後半のジミーとグレイドンを引き連れて突っ走るミリーがとっても可愛かった〜!!!↓ここ特に!!
あしたせんしゅうらぁあーーーーーーーー pic.twitter.com/5zkcwRbP60
— 廣瀬友祐(Yusuke Hirose)&スタッフ (@hirose_yuusuke) 2024年7月27日
事前に聞いていた通り、喉の調子は良くなさそうでそこは残念でした。特にGimme Gimmeは物足りなくて・・・。この曲との出会いが2022年オーブガラコンのケイシー・リーヴィ歌唱だったのでね。
そして全体的に訳詞はハマっていたように思うけれど、この曲はやっぱりキャッチーすぎて難しいな・・・というところです。話は逸れますが最後のスタンザ、やばいですよね。
I want it
Here I am, St. Valentine
My bags are packed, I'm first in line
Aphrodite, don't forget me
Romeo and Juliet me
Fly, dove! Sing, sparrow!
Gimme fat boy's famous arrow
Gimme, gimme that thing called love!
おしゃれすぎる。Romeo and Juliet meって!なに!!!!
万里生ジミーは「感じの悪いアウトローな役」をやるのは珍しいな〜と思いながら見ていると段々いつものお坊ちゃま感が出てきて(ミリーのオフィスに押しかけてくるところが特に!)、種明かしのところで「いや、配役がネタバレのやつかい!!」と笑ってしまいました。これまで風変わりな役で見ることが多かったので、クラシカルなミュージカル楽曲で久し振りに歌声を聴き、改めて「上手いな〜」と聴き入りました。What Do I Need with Loveの最後の伸ばしで珍しく声が掠れていたので少し心配。あとダンスは苦手とよく言っているイメージがあったので『カム フロム アウェイ』に続きしっかり踊っているのに驚きました!大変😂
ねねドロシーは出てきた瞬間からあまりの可愛さに卒倒しそうになりました。圧倒的美。衣装チェンジをするたびに可愛さを更新してきて困りました。ピンクのスパンコールのグリンダみたいなドレスが最高に似合っていました。ソプラノキーの楽曲も軽々歌いこなしていて良かったです。犬になったグレイドンを飼い慣らしている感じもたまらん。リフトされている時のポジションも完璧でした!
土居マジーも素敵でした〜😌✨ とてもチャーミングで温かくてキラキラしていて、スターとしての風格と周りの人たちにとっての「よき友人」らしさのバランスがとても良かったです。そしてやはり歌声が美しい。
一路ミセス・ミアーズも改変でキャラクター解釈が難しいだろうなと思いましたが、コミカルなお芝居の上手さを感じました。『ブラッド・ブラザーズ』のときからコメディで見てみたいと思っていたので嬉しかったです。
そしてそしてタイトルでも言及しました廣瀬グレイドンですよ!!初演時から噂には聞いておりましたが、本当にコメディセンス大爆発でした。台詞のちょっとした言い方や間の取り方が天才的すぎて兎に角笑えました。ビシッと決まったスーツ姿とちょっと窄めた口元、ドロシーに一目惚れした後の残念すぎる挙動不審ぶりのギャップがとんでもなく面白かったです。
↓この口😂😂😂
[fromスタッフ]
— 廣瀬友祐(Yusuke Hirose)&スタッフ (@hirose_yuusuke) 2024年8月3日
本日から「モダン・ミリー」大阪公演がスタートします!本日の夜公演終演後にはアフタートークショーもございます。
暑い日が続きますので、お気をつけて劇場までお越しください☀️https://t.co/brvcQu4957 pic.twitter.com/2RYWoYBkVq
翻訳コメディでこんなに笑えることってあるんですね😂 キャスティングした方グッジョブすぎます!
今年上半期はテソーリ祭りでした!私はね『Fun Home』が見てみたいよ。よろしく頼みます各所👍