Mind Palaceがない代わりに

来年には大学生じゃなくなるのでタイトル改めました。

合わなかったのは演目かプロダクションか「FLOWER DRUM SONG」4/26 S 感想

うーん結構辛いことを書いてしまうと思いますので、楽しかった思い出を傷つけたくない方は回れ右してください🙇‍♀️

ただこれだけは先に言っておきたくて。彩吹真央さんが出てくると一気に締まるのがすごかったな。台詞も歌も耳に心地よいし流石でした。石井さんも歌唱パート以降、本領発揮という感じで、2人のナンバーDon't Mary Meは特に素晴らしかったです。流石としか言いようがない。

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正直なところ、他には心が動く箇所がほとんど無かった・・・作品自体の古さとかも関係しているんだろうな。あとは稽古中断や公演一部中止の影響もあってかちょっとした間の悪さや音源とのズレが気になってしまうのもあった。

 

今作は、ショーアップされたナンバーの比率が高い。これは多分古いミュージカル作品の特徴でもあるのかなとまだ鑑賞本数少ないながら感じていて、そのようなナンバーがクラブの様子を表すのに必要なのもわかる。ただ、もっと心情を歌に乗せるような楽曲もあったらよかったのにな。そこには私の個人的な趣味もある。でも、移民として生きることの難しさとそれにより生まれる苦悩や恋愛面での葛藤を描きたいならもっと「心」を楽曲を通して描くべきなのではないかと感じた。これは製作陣への気持ち。大事なところは全て台詞で、正直伝わってきたものはかなり少なかった。演技力的な側面も大きいとは思う(私は演技には詳しくないのであれだが)。桜井玲香さんの演技は好き。お芝居は悪い意味ではなく控えめで、それが大切なものを大事に抱えて生きているメイ・リーと合っていてよかった。彼女はチャイニーズオペラの踊りの場面の動きも綺麗だった。逆に他の方は踊りの所作が微妙に決まっていなくてむずむずしてしまった。

演出面、序盤のアメリカへ向かう船の中と2幕の船の出航を待つところは、移民たちの心を描いた重要なシーンだけれど、1人ずつ立ち上がって思いを述べて座るっていうのがダサくて(ストレート表現ですまない)これは一体・・と思ってしまった。他にも序盤は演者の動きで魅せる意図の場面が多いけれどあまり完成度は高くなかったし、歌があるわけでもないのでうーんという感じであった。

 

リンダの役柄は面白かったな。女は男にさんざん苦しめられてきた。デートで男に償いのチャンスをあげているの。って言うんですよね。それが興味深いのと同時に今作の中では彼女の男に対する怒りみたいなものは行動として描き出されないので勿体無いなとも思う。

正反対とも思えるようなリンダとメイ・リーが仲良くしているのはよかった。ターがメイ・リーを「慰み者」とか言った時には平手打ちするかハイキックするかしてくれるかと思ったけれどそうはならなかったね。脚本ターに甘すぎません?

白人男性とだけデートをしているのをターに責められた時に彼女は、デートしている少しの間くらい「元いた場所に帰れ」と言われずに、ここにいてもいいんだって思ったっていいじゃないかって言うんですよね。彼女は確かシアトル生まれと言っていたので移民2世なのかなと思う。アメリカに生まれたのに受け入れてもらえない疎外感はおそらく他の登場人物以上のものなのかもしれない。

 

ストーリーとしては、エターナルラブでまとめようとすなと思ってしまうな(笑う男の感想参照)。それも主人公を「慰み者」なんて言った男、キスをしておいて他の女に惚れているとのたまった男との結婚式で終わるのよ。なぜなの、それでいいの?ターに甘すぎませんか?彼は彼女が売ってしまった太鼓を買い戻してくれたけれども。結果的に2人でチャイニーズオペラを上演できているなら良かったけれども。なんとなく解せない。

そして移民としての葛藤を作中に散りばめながらもラストではそれを取っ払って恋愛の描写で終わるってのがこれまた既視感を感じてしまった。。。

 

演目としてもプロダクションとしても私向きではなかったな。こうなってくると他のロジャース&ハマースタイン作品も合わないのか試してみたくなる、それくらい合わなかった。